
ベイルート:武器庫を収容するシリアの軍事基地で金曜日に起きた爆発は、弾薬を移動中の「人為的ミス」によるものとシリア国防省は述べた。地元の医師によると、基地外の民間人10人が負傷したという。
だが、シリア内戦を監視する在英団体であるシリア人権監視団は、シリア中部ホムス近郊の基地で起きた爆発は、イスラエル軍によるものと思われるロケット弾攻撃によって引き起こされたと述べた。
監視団は、爆発前にシリア軍の防空システムが作動していたことから、接近中の攻撃に対処しようとしていたと思われる、と述べた。
監視団によると、武器庫はイランが支援するレバノンの武装組織ヒズボラが使用しているものだという。ヒズボラは9年間にわたるシリア内戦でシリア軍と一緒に戦ってきた。
イスラエル軍はコメントを控えているが、イスラエル国境周辺でのイラン政府の影響力増大は容認できないとして、過去にもシリア国内のイラン標的やイラン支援組織の標的を攻撃したことがある。
シリア国内では最近、イスラエル軍によるものと思われる空爆が何件か伝えられている。最も最近の空爆は月曜日に起きたもので、シリア軍とアサド政権に近いメディアの発表によると、レバノン上空を飛行していたイスラエル軍の軍用機がシリアの首都ダマスカス近郊に向けミサイルを発射し、これにより民間人3人が死亡した。監視団によると、この空爆でイラン支援の過激派4人も死亡している。
金曜日の爆発の原因については説明が分かれているが、これらの説明は一致を見なかった。
イランやイラン支援の組織はこれまでずっとアサド政権を支持し、内戦の流れを政権にとって有利な方向に変えることに尽力してきたが、これらの組織がシリア軍の基地や施設を利用していることについてシリア政権が認めることはめったにない。
爆風の音は市内からも聞こえ、その後で遠方に煙が見えた。
同地のハッサン・アル=グインディ保健局長が国営メディアに伝えたところでは、現場近くを歩いていた民間人10人が負傷した。
同州のタラル・バラジ州知事によると、基地内には武器庫があるという。
人権監視団は、爆発によって基地に破壊が生じ、敷地外にも破片が飛び散ったと述べた。
これとは別に、シリアの親政権メディアは木曜日の午後、イスラエルのヘリコプターがイスラエル占領地ゴラン高原上空を飛行し、何らかの標的に発砲し、物的損害を引き起こしたと報じた。
イスラエルは自国の軍が長年にわたり多数の空爆を行ってきたことについては認めている。その大半はヒズボラ行きと考えられるイランの武器輸送を狙ったものだったという。イスラエル当局者はこれまでも、ヒズボラが精密誘導ミサイル製造施設を建設しようとしているとして懸念を表明してきた。
イスラエル軍によるものと見られるここ数週間の攻撃には、シリア中央部パルミラ近くの砂漠におけるイラン支援の戦闘機を狙った攻撃や、レバノンとの国境近くで起きた、ヒズボラのメンバーを乗せたSUVに対するイスラエル軍のドローン攻撃などがある。
金曜日のその他の動きとして、人口300万人を擁し現在は反体制派が占拠するシリア北西部の住民が、アルカイダ系のイスラム過激派組織「ハヤト・タハリール・シャム」(HTS)がデモ隊に発砲し抗議者を殺害した次の日にHTS反対デモを行った。
木曜日のデモは、反体制派占拠地域と3月に政府軍が占拠した町村との間に通過地点を設けるというHTSの計画に反対するものだった。
通過地点の設置には、この2つの地域を行き来する交易物資に対しHTSが税金を徴収できるようにするという目的があった。他の方法による密輸品への課税は、このアルカイダ系組織の主な収入源となっている。
HTSが放った銃弾により、デモ参加者サラ・マリーさん(41歳)が死亡した。マリーさんは金曜日に埋葬された。
マラット・アル・ナッサンという町で木曜日に抗議していた活動家のエゼディン・アル=イディルビさんは、マリーさんはこの内戦ですでに3人の子供を失い、シリア政権の元政治犯だったと語った。
シリアの反体制派占拠地域で最も強力な武装勢力組織であるHTSは、この死について「悲しみを覚える」と表明し、通過地点のオープニングを延期すると述べた。
HTSはアルカイダのネットワークから距離を置こうと努めてきたが、米国とトルコは同組織をテロ組織として認定している。
AP