
アンカラ:トルコは崩壊しつつあるリラを買い支えようとの無駄な努力で外貨準備を使い果たしつつあり、7月までに米ドルが尽きるかもしれないと経済専門家たちが土曜日にアラブニュースに語った。
レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はさらに、新型コロナウイルスという2重の経済的難問に直面している。感染拡大阻止のための都市封鎖や移動制限で経済損失は膨らみ、通常の夏季観光客による景気も新型コロナウイルスの影響で見込めないからだ。
トルコリラの価値は1月から14%、過去2年で36%落ち込んだ。先週、1米ドルに対して7リラという、心理的に意味を持つレベルを超えて下落した。
その対応にトルコ中銀は、今年最初の4カ月間で国内の銀行にリラを買い支えるために外貨準備高から320憶ドルを供給した。これは昨年1年間の額に匹敵する。
中銀自体が持つ外貨準備高は年初の約400億ドルから4月中旬には259億ドルまでに減少した。
ある外国為替取引業者は、中銀の準備高は先週20憶ドルのマイナス領域に落ち込んだと見ている。「このように急速な準備高の落ち込みにはどの国であっても長期間は耐えられない」と業者は語った。
TDセキュリティーズの専門家は、深刻化するリラへの重圧がこのまま続けばトルコは7月には外貨準備を使い果たしてしまうと予測している。
[caption id="attachment_14052" align="alignnone" width="517"]ムラト・ウイサル中銀総裁は、パンデミックは「途方もない状況」を作り出しており中銀の資本バッファーが不安定になる可能性があると認めた。しかしロンドンのテネオ・インテリジェンスの政治リスク専門家ウォルファンゴ・ピッコリ氏は、中銀には下落をコントロールできるだけの資金が残っていないため、中銀の政策は持続不可能だと述べた。
「たとえ米国とのスワップ枠が獲得できたにしても、それは時間稼ぎに過ぎず、進行中の財政問題の解決にはならない」と彼はアラブニュースに語った。
「そしてそれらのスワップ枠は額が非常に限られており、リラが一息つける時間は得られそうにない」
ピッコリ氏は、トルコの金融・財政政策は市場の目から見た信頼性を欠いており、中銀によるリラの買い支えは信頼性をさらに悪化させるだけだと述べた。
トルコはまた、観光産業の崩壊にも直面している。中銀の最新の年間インフレ率報告は、「観光収入の損失が経済成長、雇用、経常収支に重要な影響をもたらす」ことを予告している。
今年残り3四半期の観光収入損失は、250憶ドルに達する可能性がある。
また、これら観光収入の3分の2の書き入れ時は夏季の何カ月間かであるが、依然として続く新型コロナウイルスの影響により、それも「失われた期間」となりそうだと専門家たちは指摘する。