Saeed Al-Batati

ムカッラー：イエメンで新たに人道的停戦が呼び掛けられる中、2日に新型コロナウイルス感染症の患者が増え、確認された患者は合計9人、死亡者は2人となった。

感染者は南部の港湾都市アデンで2人、タイズで1人報告されたと同国の緊急コロナウイルス委員会はFacebookへの投稿で述べた。

タイズで新たな感染者が見つかったことで、この市で感染症が急速にまん延しているのではないかと懸念されている。この市では、イランの支援を受けているフーシ派と、フーシ派に包囲されている国際的に認められた政府との間で激しい戦闘が2015年初めから行われている。戦闘と包囲により、市の医療システムが破壊されたと地元の当局者は述べている。

イエメンのアブドラボ・マンスール・ハディ大統領は2日、タイズのNabil Shamsan知事と電話で新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための新たな措置や取り組みについて話し合った。国営サバ通信は、ハディ氏が保健省に至急医療品と医療チームを市に送るよう指示したと伝えた。

地元当局はこれまで、ラマダン期間中のモスク内外での宗教集会を禁止し、市場を閉鎖し、住民の地区間の移動を制限して、市を閉鎖してきた。

地元当局者と住民は、必要不可欠な食料や医薬品の供給が途絶えると市の人道的状況が悪化し、450万人の住民が飢餓に瀕すると言い、政府の管理下にある市の唯一の入り口を閉鎖しないよう知事に警告した。

「市の境界線が閉鎖されれば、飢饉が起こるでしょう。パンデミックに対処すれば、別の問題が生じます」と地元情報省のNajeb Qahatan局長はアラブニュースに語った。

フーシ派は、市の中心部の占拠に失敗した後、包囲を強行した。地元の人権団体や国際的人権団体は民兵を、救援物資や食糧の供給を妨害し、住民に危険な道路をらくだを使って物資を運び込ませようとしたとして批判している。

政府軍は、アラブ連合軍の戦闘機による支援を受け、市とアデンを結ぶ道路からフーシ派を追い払い、2016年に包囲をどうにか部分的に破った。

「市のアデンとの唯一の横断地点を閉鎖すれば、経済問題と健康問題が起きるでしょう。唯一の解決策は、横断地点を開放し、市に入る人々の検査を強化することです」とQahatan氏は述べた。

保健当局は、検査キットや保護具が全く足りていないため、イエメンで新型コロナウイルス感染者数が最も多いアデンから毎日市に入る数百人を検査することはできないと訴えている。

軍隊は、タイズの戦場で2週間兵舎にとどまった後、家族のもとに帰るよう命令された。増援部隊は、戦場に派遣される前に消毒を受ける予定だとイエメン軍のスポークスマン、Abdul Basit Al-Baher氏は述べた。

「こういった措置は、軍隊の中で感染症がまん延するのを防ぐことを目的としています」と同氏はアラブニュースに語り、タイズで新たに新型コロナウイルス感染者が見つかったことで、包囲の解除はさらに急を要すると付け加えた。「私たちは戦争をやめる前に包囲を解きたいのです。包囲は、砲撃や戦闘以上に市に多くの害をもたらしました」。

イエメンの政治家と人権活動家たちは、世界的な健康危機の中、新たに人道的停戦を呼び掛けた。

「イエメンにおける包括的な停戦と、全被拘禁者、受刑者、拉致被害者の釈放は、イエメン人を起こりうる新型コロナウイルスのパンデミックから守るために努力をささげるために人道上必要であり、義務です」とイエメンのAbdulmalik Al-Mekhlafi元副首相はツイートした。

政府軍は多数のフーシ派戦場司令官を殺害し、ダーリウ、バイダー、マーリブのセルワで領土を獲得したと発表し、イエメン全土で戦闘が続いている。