
ハゼム・バルーシャ
ガザ:パレスチナ自治政府(PA)は、国の財政を襲った「経済激震」により、約15万5千人の公務員の5月分の給与の支払いを延期せざるを得なくなった。
イスラエルによる税収移譲の停止と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による支出、さらにパレスチナの経済不況が相まって、経済的に最悪の状況を作り出している。
パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は、このように述べた。「我々に給与を支払う能力があれば支払うが、そうでなければもう少し待つことになるだろう」
イスラエルは通常、イスラエルの港を経由して輸入された商品に対する税金の還付金を徴収しており、パレスチナ自治政府は、その取り分を西岸やガザ地区の従業員に対する給与の支払いの一部に使用している。その合計は、パレスチナ自治政府の総公支出の約70%を占める。
パレスチナ自治政府の内部収入と海外からの支援により残りを埋め合わせている。
パレスチナのシュクリ・ビシャラ財務大臣は、新型コロナウイルスの危機に取り組むための支出は、70%もの国の財源を占めていると述べた。
パレスチナ経済政策研究所(MAS)の事務局長で元パレスチナ計画相のサミール・アブドゥッラー氏は『アラブニュース』に対し、パレスチナの最新の経済危機は、新型コロナウイルスの世界的大流行、イスラエルによる税収停止、パレスチナ経済の不況などにより、他国とは異なっていると語った。
また、彼はこのように述べた。「コロナウイルスの対策に加えて、約70日間の経済活動の停止、ならびに収入の減少と高い失業率の結果として、パレスチナ自治政府は支出の増加に直面している。」
「経済に激震が走り、収益は急激に減少した。世界銀行の予測によると、来期も税収は減少する。」
「パレスチナ自治政府は、融資総額の10%の上限を超えたため、パレスチナの銀行から再び借り入れができなくなる可能性がある。パレスチナの銀行に対するパレスチナ自治政府の債務は約18億ドルに上る」と付け加えた。
2012年以降、外国からパレスチナ自治政府への援助は、18億ドルから昨年は約7億ドルまで減少しており、アブドラ氏は、現在のパレスチナ自治政府の経済危機はすべての分野に影響を与え、最終的にはパレスチナ自治政府の崩壊や破産につながる可能性があると指摘した。
「パレスチナ自治政府は国家事業に基づいており、公務員は忍耐があるだろうし、給料を受け取っていないことに対し、街頭に出てデモすることはない。パレスチナ社会には政治的・経済的な連帯がある」と述べた。
しかし、パレスチナの『アル・アヤム新聞』の経済ジャーナリストであるハメッド・ジャド氏は、現在の財政状況は長続きしないだろうと予測した。
「これは、解決に至るまでの短期間の段階に過ぎない。今回のような危機が発生し、税収が停止したのは初めてではない。
「誰にとっても危機的な状況にもかかわらず、パレスチナの銀行は預金額の価値が170億ドルにのぼることから、パレスチナ自治政府に貸し出すことができる。これは現在の政治危機が終結するまでの最良の解決策かもしれない」と述べた。