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水泡に帰す:新型コロナのパンデミックでもレバノンの水タバコ愛好家には敵わない

新型コロナウイルスのために、喫煙がなお一層大きな健康上のリスクを伴うと警告されている中、レバノンの水タバコ愛好家たちは、バーやレストランに戻って来ている。(ファイル/AFP通信)
新型コロナウイルスのために、喫煙がなお一層大きな健康上のリスクを伴うと警告されている中、レバノンの水タバコ愛好家たちは、バーやレストランに戻って来ている。(ファイル/AFP通信)
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21 Jun 2020 07:06:57 GMT9
21 Jun 2020 07:06:57 GMT9

ナジア・フサリ

ベイルート:新型コロナウイルス蔓延のために、喫煙がなお一層大きな健康上のリスクを伴うと警告されている中、レバノンの水タバコ愛好家たちは、バーやレストランに戻って来ている。

ラムジ・ムシャラフィエ観光大臣は数日前、レストランやコーヒーショップの水タバコ提供を許可した。しかし、客を集めるために、数週間前から提供を始めたカフェも中にはあった。

水タバコとは、アップルやミントのような、香りの付いたタバコを吸うために使用される水煙管(みずぎせる)のことであり、中東で人気がある。

「水タバコだけでも健康にとても害を及ぼします。そして、新型コロナウイルスが蔓延している現在、その健康被害ははるかに高まっているのです」と、胸部および救急医療を専門とするワエル・ジャロウシュ医師は、アラブニュースに語った。料理の食べ残しを廃棄することで、客の健康を守っていると主張するが、同時に水タバコも客に提供していたレストランオーナーに、ジャロウシュ医師は不快感を示した。「水タバコを吸うだけなら、まるで人々の健康を脅かさないかのようです」と、ジャロウシュ医師は付け加えた。「レバノンの最新統計データでは、16歳から18歳の少女たちの33パーセントと、同じ年齢幅の少年たちの42パーセントが水タバコを吸っていることが明らかになっており、これは紛れもなく災害に勝るとも劣らないことなのです」

レストラン、カフェ、ナイトクラブ、ペイストリー店のシンジケート・オブ・オーナーの社長、トニー・ラミー氏は、お客さんのうちの4分の1が水タバコを吸うためにレストランやカフェに来ていると語った。

「金銭上の危機から、レストランやカフェを救えるものは何もありませんが、水タバコがあれば、レストランは一定の雰囲気を取り戻すことができ、レバノン料理に付加価値がもたらされるのです」と、ラミー氏はアラブニュースに語り、レバノンが耐え忍んできたこの数か月間の経済的な混乱と苦難に触れた。

レバノンにはカフェが2,500軒あり、再び水タバコの提供を許可することで、商売が繁盛するかもしれない、とラミー氏は語った。

医師でもあるムシャラフィエ観光大臣は、水タバコは屋外で提供しなければならないし、吸引することによる健康リスクや、呼吸器系に与える害について人々に警告しなければならないと定めていた。

パンデミックに融和的な水タバコの習慣に対しても、条件が存在する。その条件とは、水タバコを殺菌消毒し、1日に1度しか使用せず、水タバコを提供する各従業員の体温を定期的に測定し、使用の前後に水タバコのボトル内の水を変え、使い捨ての喫煙チューブを使用し、テーブルごとの適切な距離を維持することだ。

しかし、同大臣の決定は、大学や労働組合、そして社会を怒らせた。

レバノン医師会の会長、チャラフ・アブ・チャラフ医師はムシャラフィエ観光大臣を批判し、屋外だろうが屋内だろうが、レバノン国内の公の場で喫煙を禁じる法律の施行を主張しており、この法律が短期間施行された後、放置されたままになっていると語った。

「喫煙は、どんな種類でも、新型コロナウイルスの感染リスクを高めます。特に水タバコを吸うときは、リスクが高まるのです。水タバコを吸うとき、1つの水タバコを多数で分かち合って、ソーシャルディスタンスを無視して、必然的に両手で繰り返し顔に触れることになるからです。これは、この感染症をうつす機会を増やします」と、チャラフ医師はアラブニュースに語った。

水タバコはいくら洗浄され、殺菌消毒されても、微生物の寿命を延ばし、水タバコを1本吸うことは、紙巻きタバコを40本分吸ったことになる、とチャラフ医師は付け加えた。

「喫煙者が新型コロナウイルスに感染したら、喫煙していることで、合併症になるリスクを高め、(それらは)非喫煙者が合併症になるリスクよりも高くなるのです」と、チャラフ医師は語った。「この病気に感染した喫煙者は、感染した非喫煙者の数の3倍にもなっているのです」

「喫煙者は死亡リスクや、呼吸装置が必要となるリスクも、非喫煙者より高いのです。さらに、レバノンで発見された感染者の40パーセントが喫煙者なのです」

チャラフ医師は、喫煙がこの国から年間5,300万ドルを失わせていると語り、新型コロナウイルスとの闘いで得た成果を無駄にしないように、政府に要請していた。

「脆弱な経済のために、そしてレバノン人の大多数を犠牲にした少数派の利益のために」、喫煙がレバノンを「振り出しの升目に」戻すことになるだろう、とチャラフ医師は語った。

また、チャラフ医師は政府に現在の状況を利用し、「きっぱりと水タバコのパンデミックから」レバノンを解放するように促してもいた。

これは新型コロナウイルスに劣らず危険であり、レバノンの医療制度は非常に危険な段階に入りつつある、とチャラフ医師は警告した。「私たちの病院は深刻な物資の不足に苦しんでいます。だから、このような医療問題が、再び生じることは許されないのです」

 レバノンが普通の状態に戻るにつれて、水タバコ再登場に関して懸念が生じている。そして、人々が予防措置を無視しているような動きも目立ってきている。

外出禁止令が解除され、交通渋滞はロックダウン前のレベルに戻っており、店舗、銀行、カフェ、保育園、電子ゲーム店に人々が群がっている様子が窺える。内務省が正式に認めていなかったが、顧客を受け入れるために、こうした施設の全てが開店していた。

また、ショッピングモールや企業の民間保安担当者が、フェイスカバーを着けるように指導しなければ、人々もフェイスカバーを着けないで外出している。

レバノンで確認された新型コロナウイルスの感染者数は1,500人を越えており、最初の感染者は2月21日に発見された。

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