
グッシュ・エツィオン・ジャンクション、パレスチナ自治区:一部のイスラエル人入植者は、ユダヤ人国家が領土の一部を併合する計画は、彼らの長年の和解努力を損なうという点で、占領下の西岸地区のパレスチナ人の隣人と意見を同じくする。
パレスチナ人のハレド・アブ・アウワドとイスラエル人のラビ・シャウル・ジュデルマンは、互いにわずか数マイルの距離のところに住んでいる。アブ・アウワドはベツレヘム、ジュデルマンは国際社会では違法とみなされている入植地テコアだ。
2人は、1967年以来イスラエルが占領してきたヨルダン川西岸地区に共存するイスラエル人とパレスチナ人の間に対話を確立するために2014年に設立された運動組織「ルーツ」(ヘブライ語とアラビア語で別名「ショラシム・ジュドゥール」)の共同ディレクターを務める。
論争の的となっているドナルド・トランプ米大統領の和平計画は、国際法の下で違法とみなされるユダヤ人入植地を含む西岸地区の一部をイスラエルが併合するための道を開くものだ。
ルーツは今週の声明の中で、一方的な併合は「平和と安全を進める上での基盤である相互尊重の原則に反する侵略行為」となると述べた。
ルーツは、24の入植地と前哨基地からなるベツレヘム近くのブロック、グッシュ・エツィオンに本部を置く。グッシュ・エツィオンはイスラエルが最初に併合する場所になるだろうと一部の人は推測している。
アブ・アウワドとジュデルマンは最近の会合で、イスラエルが併合計画を進めた場合の懸念を共有した。
オリーブの木に囲まれたテラスで、アブ・アウワドは併合を、暴力をもたらしうる「宣戦布告」になぞらえた。
「いかなる一方的な決定も和解の兆しにはなり得ず、それどころか、対立のレベルを上げるものだ」とアブ・アウワドは述べた。
彼の隣に座ったジュデルマンは、「併合に反対するだけでは不十分。両社会の人々は団結し、別の何かを提案しなければならない―しかし、私たちの2つの社会の間の鉄の壁を壊すには、勇気を持った政治指導者が必要だ」と、大きな頭蓋帽をかぶったラビは言った。
「テレビで見たテロリスト以外パレスチナ人に会ったことがない世代のイスラエル人と、イスラエル人は兵士しか見たことがない世代のパレスチナ人がいる。彼らにとってそれだけがイスラエル人のイメージだ」と、ラビは語った。
ジュデルマンは、西岸地区を3つのゾーンに分けた1993年のオスロ和平合意は「あなたの場所はそこ、あなたの場所はここ」と言うことで、イスラエル人とパレスチナ人の間に断絶を生み出したと語った。
「両方の人々が土地全体とつながりがあるのだから、これではうまくいくはずもない」と、ラビは述べた。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相の中道右派連立政権は併合開始実施日として暫定的に7月1日を設定していたが、発表もないままその日は過ぎた。
ネタニヤフの事務所は米国当局者との間で、およびイスラエルの安全保障長官との間で「主権の適用に関する」協議が別々に進行中であると述べた。
イスラエル併合計画は国際社会、アラブ世界、イスラエル国内に鋭い批判を引き起こし、この問題に明らかな進展が見られないことで、ネタニヤフには直ちに行動を起こす思惑がないとの憶測が高まっている。
実現しうる併合の動きにおける多くの厄介な問題の一つは、イスラエルが併合した地域におけるパレスチナ人の市民権の問題だ。
「すべてのパレスチナ人とイスラエル人が享受すべき平等な権利と相互利益を前面に押し出さない計画は、私たちを平和へと近づけず、むしろ平和から遠ざけるものだ」とルーツの声明は述べた。
ジュデルマンにとってこの併合は、オスロ合意の崩壊以来行われてきた、一方が他方に解決策を押し付ける試みの最新のものに過ぎない。オスロ合意は元々一時的なもので、パレスチナ人国家の形成につなげる意図のものだった。
AFP