
ドバイ:国連の一機関が日曜、アラブ首長国連邦の海岸沖で「ハイジャック」された石油タンカーが、イラン領海に戻っていることを認めた。このタンカーはイランの原油を密輸している疑いで米国が捜索していた。
国際労働機関(ILO)は船長の言葉を引用し、MTガルフスカイは7月5日にハイジャックされたと述べた。これはこれまでに伝えられた共同通信の報道と一致する。
「船はイランに連れて行かれた」と、ILOは言う。
28人のインド人乗組員はイランに上陸し、パスポートを持たない2人を除く乗組員全員が7月15日にテヘランからインドへ飛行機で送られたという。
ILOは国際船員福祉支援ネットワークを情報源として挙げた。ILOはこれまでに、船と船員がアラブ首長国連邦東部の港町ホールファカンを3月に出航して以来、給料が支払われることなく船のオーナーに見捨てられてきたとする報告書を提出している。
イランの国営メディアと当局者たちは、MTガルフスカイのハイジャックとイランへの到着を認めて来なかった。米国政府も同様にコメントしていない。
5月、米司法省が2人のイラン人に対し、このタンカーを購入するため一連のフロント企業を通し約1,200万ドルを資金洗浄しようとしているとして、刑事訴訟を起こした。このタンカーは当時、MTノーティカという名前だった。
訴訟の申立書は、密輸計画にはイランの国営石油・タンカー関連企業数社だけでなく、イランの民兵組織イスラム革命防衛隊のエリート派遣部隊ゴドス軍も関与していると主張する。告訴された2人の男は現在も逃亡中で、そのうち1人はイラクのパスポートも保有している。
司法省はこれまでに、米国の銀行が売却に関連する資金を凍結したことで、売り手が船を取り戻すためUAEで訴訟を起こしたと述べた。この民事訴訟はまだ係争中と考えられており、タンカーが首長国当局に押収された後、どのようにして現地から出航したのかという疑問が生じている。
イランと米国の間の緊張が昨年高まったことにより、中東の海域を定期航行しているタンカーが、特にホルムズ海峡付近で標的となった。ホルムズ海峡は全ての石油の20%が通過する、極めて重要なアラビア湾の狭い出入り口である。何隻かのタンカーが吸着型機雷攻撃の標的とされた疑いがあるとして、米国がイランを非難している。イランは関与を否定したが、何隻かのタンカーを拿捕している。
AP