
Saeed Al-Batati
ムカッラー:8月4日にベイルートで起こった大規模な爆発を受け、腐食が進む浮体式海洋石油貯蔵積出設備「セイファー」を早期に修復しない限り、イエメンにも大惨事がもたらされるのではないかと、イエメン国民が懸念を表明している。
レバノンの爆発がもたらした破壊の映像を目にしたイエメンの漁師、政治家、政府関係者、軍当局者、そして活動家らが、フーシ派に圧力をかけるよう国際社会に求めている。損傷した船舶を修理するには、国連の専門家チームの立ち入りをフーシ派が許可する必要があるのだ。
「セイファー」は、2015年初頭からイエメン西部の都市フダイダ沖に座礁したままになっている。同船舶は約110万バレルの原油を搭載しているとされ、機関室に水が漏入したことで最近サビの兆候が確認された。国連当局はこの漏入を受け、紅海に大規模な環境災害が差し迫っており、また貯蔵タンク内のガスの蓄積や、故意または事故による兵器の発射によって、大規模な爆発が発生する潜在的なリスクがあると警告した。
フダイダを支配しイランの後援を受けるフーシ派は、地方団体や国際機関に圧力をかけられ、当初は国連チームが損傷調査と石油の積み下ろしを行うため船舶に立ち入ることに合意した。しかしその後、国連、米国、およびサウジアラビア主導のアラブ連合軍が共謀しているとし、決定を撤回している。
紅海沿岸にあるフダイダのKhokha地区に住むイエメン人漁師のKhaled Al-Ramiさんは、アラブニュースに対し、8月4日にベイルートの映像を見た時、「セイファー」から石油が流出すれば同じくらい破壊的な大惨事が起こり得るというのが「最初に頭に浮かんだ」ことだったと語った。
先月、イエメンに拠点を置く環境団体Holm Akhdar(緑の夢)が、石油が流出すれば漁師、海洋の多様性、そしてイエメンの漁獲高に深刻な影響がもたらされるだろうと警告している。
同団体は報告書で「紅海にあるイエメンの島が少なくとも115島、生物学的多様性と自然生息地を失うでしょう。そしてフダイダの漁師6万7800人を含む、約12万6000人のイエメン人漁師が、唯一の収入源をこの大惨事で失うでしょう」としている。
「もし船が修復されなければ、レバノンに続くのは、イエメンでしょう」とAl-Ramiさんは語った。「WhatsAppでは、友人や他の漁師が、船が引き起こすであろう大惨事について不安を語っています。私たちはみな、どんな石油流出にしろ、生活への影響を心配しているのです。これは今、私たちにとって最大の懸念事項です。私たちに絶大な恐怖とパニックをもたらしているのです。私は国際社会、アラブ連合軍、そしてフダイダの国連委員会に訴えます。どうか、起こり得るこの大惨事から私たちを救ってください」
同じくKhokha地区の漁師のNabiel Aliさんもアラブニュースに対し、「セイファー」から石油が流出すればその結果、彼の世代だけでなく彼の子供たちの世代も苦しむことになるだろうと語った。「国際社会と世界中の良心的な人たちに、この問題への解決策をどうか早急に見つけてほしい」とAliさんは言う。「人類のためにも、イエメン人全体を、そして特に漁師を助けてください」
このイエメン沖における大惨事の可能性については、イエメンの活動家もソーシャルメディアで同様の懸念を示している。
「ベイルート港の爆発によって、私たちはイエメンと全世界を脅かす、もう1つの迫りくる大惨事について再認識させられました」と、イエメン人ジャーナリストのMustafa GhoulesさんはTwitterに書いている。「100万バレルを超える石油を搭載しているタンカー『セイファー』は、流出と爆発の危機に瀕しています。そしてフーシ派は、『セイファー』を武器として利用しています」
活動家のMohammed Saeed Al-Sharabiさんは、手遅れになる前に、腐食が進むタンカーを空にし、国を大惨事から救おうと国民に呼びかけた。
「タンカー『セイファー』は、石油が流出し紅海で大規模な環境災害が発生する前に、積み下ろしが必要です。ベイルート港の大惨事から教訓を得なくてはなりません」とAl-Sharabiさんは語った。
別の活動家Abdullah Al-Saqqafさんは、フーシ派に圧力をかけ国連チームに船のメンテナンスと積み下ろしを許可させるため、大規模な抗議運動を全国的に呼びかけた。「タンカーの積み下ろしを要求し、タンカーにまつわる国連決議に従うようフーシ派に世論の圧力を加える、一般市民のデモが必要です」とAl-Saqqafさんは語った。
国営のイエメン通信社に8月4日夜に掲載された短い声明で、国際的に認知されているイエメン政府は、レバノンに対する支持を表明し、4日の爆発の被害者家族に哀悼の意を表した。
レバノンのイエメン大使館は、公式のFacebookページに掲載した声明で、「イエメン人コミュニティーのメンバーは良好かつ健康であることが確認され、2名の学生が軽傷を負うだけで済んだことを、皆さんにご報告します」と伝えている。