
ライツヘンダム:オランダにある国連裁判所は8月18日(火)、トラックに積載した爆弾によるレバノンのラフィク・ハリリ前首相の暗殺に関与したとして告訴されているヒズボラ武装グループの4人のメンバーに対する判決を、被告不在の法廷で言い渡す。
ベイルートの港に貯蔵されていた約3,000トンの硝酸アンモニウムが引き金となった先ごろの大規模爆発事故による犠牲者をおもんばかり、この判決言い渡しは約2週間遅延されていた。8月4日に起きたその大爆発では、およそ180人が死亡、6千人以上が負傷し、25万人が住む家を失い、すでに経済的・社会的沈滞が危機的状況に悪化して喘いでいたレバノンを一気に奈落の底へ突き落とした。
David Re 裁判長は尋問開始にあたり、大爆発の犠牲者とその遺族、そして家を失った人々に対する敬意を表して、法廷内全員で1分間の黙祷を捧げた。
有罪判決が出れば、レバノンという小国内の緊張感が高まる可能性がある。ハリリ前首相は2005年2月14日の暗殺当時、レバノンで最も有力なスンニー派の政治家だった。一方イランが後ろ盾となっているヒズボラはイスラム教シーア派のグループだ。
同裁判では、トラックによる自爆テロにおけるヒズボラメンバー4人の役割を中心として審議された。この自爆テロではハリリ前首相他21人が死亡し、226人が負傷して いる。
検察側は、この爆弾テロを計画・実行した人間によって使用されたとされる携帯電話からのデータを主な証拠として訴追した。
同裁判は2014年に開始されて以来415日間にわたって審議され、その間ハーグにほど近いライツヘンダムの裁判所では、297人の証人による証言が提示されている。
当初はヒズボラメンバーの5人の容疑者が裁判を受けていたが、同グループの最高軍事司令官の一人Mustafa Badreddineに対する告訴は、本人が2016年にシリアで殺害されたために取り下げられている。
残りの容疑者はSalim Ayyash(別名Abu Salim)、Assad Sabra、Hassan Oneissi(Hassan Issaに改名)、そしてHassan Habib Merhiだ。彼らはテロを実行するためのスパイ行為をはじめとする容疑で告訴されている。
彼らに有罪判決が出れば、後日彼らの刑を決定するための審議が行われるが、最大で終身刑となる。
ヒズボラはこの容疑者たちを絶対に引き渡さないと宣言しており、4人が刑に服するとは思われない。検察側と被告側弁護士は判決に対し上訴する可能性がある。
2014年1月に裁判が開廷された際、爆発現場の規模を示すモデルが法廷中央に置かれたテーブル上に設置され、検事は裁判官に対し、三菱製トラックに満載された爆発物が爆発して「人間の手による地獄」を呈したと訴えた。
多くのレバノン国民はこの暗殺をシリアの仕業と見ているが、シリアはそれを否定している。
一部のレバノン市民はこの裁判について、ハリリ前首相殺害の真相を究明する上で十分な方法とは言えないと考えている。一方ヒズボラ側は関与を否定し、この容疑はヒズボラグループを追い込むためのイスラエルの陰謀だとする。
ハリリ前首相の息子サード氏は、彼自身も首相歴を持つが、一日がかりの判決の言い渡しに出席する。彼はその日の法廷に同席する事件被害者4人の中の一人だ。
8月18日(火)の朝、サウジアラビアのサテライトニュースチャンネル、アルアラビアは、視聴者のために手の込んだ3-Dによる自爆テロの再現映像を用意した。
ヒズボラのリーダー Sayyed Hassan Nasrallahは、どんな判決出ようと容疑者たちは無実だと主張した。「判決は我々にとっては何の意味も持たない」と彼は言及する。
AP