• ポンペオ氏は中東諸国歴訪の第一歩として、エルサレムでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に会った
• ポンペオ氏の到着に先立ち、イスラエル軍は、月曜午前にガザ地区の過激派の目標物を攻撃したと発表した

エルサレム：マイク・ポンペオ米国務長官は月曜日、トランプ政権のアラブ-イスラエル和平協定への働きかけをさらに推進するための中東諸国歴訪を開始し、他のアラブ諸国もイスラエルとの国交を正常化するよう希望すると述べた。

米国政府の仲介でイスラエルとUAEの歴史的な国交正常化合意が8月13日に発表されたが、それに続いて中東諸国を歴訪中のポンペオ氏は、最初の目的地であるエルサレムにて、ベンヤミン・ネタニヤフ首相との共同記者会見の席で語った。

「他のアラブ諸国もこれに続くことになると私は希望している」とポンペオ氏は述べた。「彼らにとって、共に行動し、イスラエルの状況を認識し、いっしょにやっていく機会は、中東地域を安定化させるのみならず、自国民の生活をも向上させることだろう」

イスラエル-UAE和平合意は、再選を模索するドナルド・トランプ大統領に外交政策面での重要な勝利をもたらしたと同時に、中東諸国の変化をも浮き彫りにした。中東では最大の敵であるイランへの共通の懸念が増し、それがパレスチナ人たちを支援するという従来のアラブの姿勢を大きく上回るようになってきた。

ポンペオ氏もネタニヤフ首相も、国連の対イラン制裁復活を求める米国の要求への国際社会の支援が欠けていると批判した。トランプ政権は、イランが2015年に世界列強国と締結した核合意に違反したとして、「スナップバック」制裁といわれるものを課すよう安全保障理事会に求めてきた。

「我々は、イランの高性能武器システムへのアクセスを阻止すべく、あらゆる可能な手段を使う決意をしている」とポンペオ氏は述べた。「世界各国も我々と行動を共にすべきだ」

米国、イスラエル、UAEは今月、全面的な国交正常化合意を発表した。そこには、パレスチナ人たちが将来の国家の一部として求める占領地区ヨルダン川西岸の一部を併合するというイスラエルの計画の凍結も含まれている。

ネタニヤフ首相はこの合意を「平和と地域安定化への恵み」と呼び、「新たな時代の到来を告げるものであり、我々はそこに他の諸国も招き入れることが可能だ」とした。またこの合意には、UAEへの最新兵器販売をイスラエルが受け入れるとの条件は含まれていないことを改めて強調した。

ポンペオ氏は、米国はイスラエルの「質的軍事優位」の維持を保証し、UAEとは武器取引を改めて検討することになると述べた。

今回の訪問ではこの後、ネタニヤフ氏の政治的パートナーであるベニー・ガンツ国防相や、ガビ・アシュケナージ外務相とも会うことになっていた。

イスラエルの後は、スーダン、UAE、バーレーンも歴訪予定に入っており、湾岸地域でさらなる訪問国が追加される可能性もあると米国務省は述べていた。スーダンでは「スーダン-イスラエル関係の強化」を促すつもりだとポンペオ国務長官は述べた。

英国のドミニク・ラーブ外相も月曜日にエルサレムを訪問し、「話し合いの再開」と紛争の二国間解決を促すべく、イスラエルとパレスチナの当局者たちに会うことになっていた。

ポンペオ氏の到着前にイスラエル軍は、前日にイスラエルに向けて発射された風船爆弾への報復として、ガザ地区の過激派の目標物を攻撃したと発表した。ここ何週間かで両陣営の緊張は激化しており、これが直近の戦火であった。

軍は、ガザ地区を制圧するパレスチナ人武装組織ハマスの「軍事拠点と地下設備」を爆撃したと述べた。これまでのところ犠牲者は報告されていない。

ハマス傘下の過激派集団は、2007年のハマスによるガザ地区制圧以来イスラエルが課してきた封鎖措置の緩和を求める圧力手段として、ここ何週間かイスラエル南部に多数の風船爆弾を撃ち込んでいる。金曜日にはパレスチナの過激派が12発のロケット弾をイスラエルに向けて発射し、そのうち9発が迎撃された。過去何カ月かで最大の破壊行為となった。

風船爆弾や散発的なロケット弾に対してイスラエルは、過激派の駐屯地を標的とする空爆で報復してきた。

イスラエルとハマスは、過去13年間に3度の戦争と無数の小さな小競り合いを繰り広げてきた。先週には仲介を図るエジプト派遣団が、緊張を緩和して2014年の戦争以来ガザで大まかに締結されてきた非公式な停戦協定を強化すべく訪れた。

AP