
パリ: フランスのエマニュエル・マクロン大統領が来週、ベイルート港での大爆発事故後、復興に向けて大きな困難に直面しているレバノンを再訪し、国民的歌手のファイルーズさんとの面会、さらにレバノンの政治指導者らとの会談に臨む――仏大統領官邸は28日、このように述べた。
マクロン氏は、今月31日から9月1日にかけてレバノンに滞在する。同氏は、181人が死亡した8月4日のベイルート港での爆発事故からひと月も経たないうちに、事故後に再び抜本的な改革を望む声が上がっている同国への2度目の訪問を果たすことになる。
同氏は31日にレバノン到着後、まずファイルーズさんと面会する。仏大統領官邸によると、ファイルーズさんは多宗派国家のレバノンにおける代表的存在であり、多くの国民に愛されている。
ファイルーズさん(85)はあまり公の場に姿を現さないことで知られるが、長い歌手生活を通して、愛に満ち、困難に直面する母国の美しさを称える歌でファンを魅了してきた。
フランスとレバノンで大学教授として活動する政治学者カリム・エミール・ビータール氏は28日、ツイッターで、ファイルーズさんと面会するという今回のマクロン大統領の決定について「素晴らしい決断」であるした上で、ファイルーズさんについては「間違いなく、レバノンでは最も象徴的で威厳のある存在だ」と述べた。
続いてマクロン大統領は9月1日、レバノンのミシェル・アウン大統領の官邸で政治指導者らと会談し、既に行き詰っている同国の政治状況の回復を促す。
仏大統領官邸の関係者は、匿名を条件に「大統領は放置できないのだ」と述べた。
この関係者は「彼の訪問の目的は明確だ。それは、レバノンが再建と復興を果たせるような政治状況を作り出すための後押しをすることだ」とも付言した。
レバノンのハッサン・ディアブ内閣は、今回の爆発事故後に総辞職した。この事故をめぐっては、警告があったにもかかわらず港湾倉庫内に長年、放置されていた硝酸アンモニウムのずさんな管理が爆発の原因であると非難の声が上がっていた。
マクロン氏が到着する31日は、レバノンの新しい首相を選ぶ議会協議会の開会日とも重なっている。
マクロン氏は8月9日、レバノンに対し2億5000万ユーロ(2億9500万ドル)以上の支援を約束した世界各国首脳のビデオ会議の議長役を務めた。
しかし、フランスは、忍耐は無限ではないとの態度を明確にしてきた。仏外相のジャン・イヴ・ル・ドリアン氏は27日、レバノンの抜本的な改革が行われない限り、同国が他国を「落胆させる」リスクを負うことになると警告した。
AFP