
ナジア・フッサリ
ベイルート: レバノンの主要な宗派グループ2つの間の抗争で死者が発生。暴力激化への警戒感が広がる。レバノンは金融危機と政治的緊張により極限状態に追い詰められている。
8月27日夜首都ベイルート南部ハルデ地区で起きた銃撃戦で、スンニ派の少年(13歳)とシリア人男性の2名が死亡した。銃撃戦では機関銃とロケット推進手榴弾が使用され、目撃者証言によると4時間続いたという。
少年が属していたスンニ派のアラブ部族は、イランが支援するシーア派組織ヒズボラの構成員たちが先に手を出したと非難した。
30日に同地区に重点配備されたレバノン軍によると、ことの発端はシーア派が掲示したポスターを巡る口論がもつれたことだという。
レバノンのミシェル・アウン大統領は8月31日を、ハッサン・ディアブ政権を引き継ぐ新首相を指名するための議会審議をまとめる日に設定している。
前政権に近い筋がアラブニュースにこう語った。「アウン大統領の政治的権威を削ごうという動きがあり、大統領との政治的対立が高まる中、31日の議会審議にどの勢力が出席するか様子を見る必要がある」
進歩社会党のワリード・ジュンブラート党首はこう述べた。「審議会招集が遅れタイーフ合意が破られた後、すでに新憲法の制定を検討する政治勢力もあり、表立って要求する勢力もある」
アウン大統領は、ナビーフ・ビッリー国民議会議長からハリリ元首相を次期首相に任命するよう提案されたが、これを拒否した。ヒズボラはハーグ国際司法裁判所の裁判官ナワフ・ソルモン氏、レバノン中央銀行の副総裁とマネーロンダリング対策特別調査委員会のトップを務めたムハンマド・バーシリ氏両名の指名を拒否した。
大統領府は審議会のスケジュールを発表し、31日の午前から午後にかけて開催するとしている。院内会派と議員から最多の得票を得た人物が、アウン大統領から新内閣を発足させるよう要請される。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領が来週レバノンを再訪し、伝説的歌手のファイルーズさんやレバノンの政治指導者たちと面会する。ベイルート港で起きた大規模爆発事故を受けて、大規模改革を実施する道筋を探るのが目的だ。
マクロン大統領は31日と9月1日の2日間レバノンに滞在するが、前回の訪問から1カ月もたっていない。
85歳になるファイルーズさんは、宗派対立が激しい国レバノンであらゆる層から尊敬される数少ない人物の1人だ。
フランスとレバノン両国で政治学を研究する、カリム・エミール・ビータール教授はTwitter投稿でこう述べた。マクロン大統領のファイルーズとの面会は「英断」であり、ファイルーズさんを「レバノンでも最も象徴的で威厳があり、国民的共感が得られるのは間違いない人物」と評した。
フランス大統領府の高官は、マクロン大統領のベイルート訪問の目的について「レバノンの政治指導者たちに、早急に改革を実行できる政権を樹立させるよう圧力をかけることだ。大統領は本気だ」と述べた。