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侵攻が迫る中、ガザ地区の病院は患者であふれ、物資が絶望的に不足

2023年10月15日、ガザ市街にあるアル・シファ病院の救急病棟の入り口に群がる、イスラエル空爆の被害者を乗せた救急車(写真提供:ダウッド・ネメル / AFP)
2023年10月15日、ガザ市街にあるアル・シファ病院の救急病棟の入り口に群がる、イスラエル空爆の被害者を乗せた救急車(写真提供:ダウッド・ネメル / AFP)
2023年10月11日のイスラエルによる空爆後、ガザ市街にあるアル・シファ病院の人であふれた救急病棟で治療を待つ負傷したパレスチナ人たち。イスラエルとハマスの激しい戦闘は5日連続で続いている。(写真提供:モハメド・アベド / AFP)
2023年10月11日のイスラエルによる空爆後、ガザ市街にあるアル・シファ病院の人であふれた救急病棟で治療を待つ負傷したパレスチナ人たち。イスラエルとハマスの激しい戦闘は5日連続で続いている。(写真提供:モハメド・アベド / AFP)
2023年10月11日、ガザ市街にあるアル・シファ病院で、イスラエル軍の空爆によって負傷した子どもたちの治療にあたる医療従事者(写真提供:モハメド・アベド / AFP)
2023年10月11日、ガザ市街にあるアル・シファ病院で、イスラエル軍の空爆によって負傷した子どもたちの治療にあたる医療従事者(写真提供:モハメド・アベド / AFP)
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16 Oct 2023 04:10:37 GMT9
16 Oct 2023 04:10:37 GMT9
  • ガザ保健省は、戦闘勃発以降、パレスチナ人の死者が2,670人、負傷者が9,600人に達したと発表した
  • 10月7日のハマスの襲撃で、1,400人以上のイスラエル人が殺害され、その大部分は民間人であった

ハーンユーニス(ガザ地区):日曜日、ガザ地区の医療従事者らは、負傷者であふれた病院は燃料や基本的な物資が絶望的に不足しており、数千人が命を落とす可能性があると警告した。ハマスの致命的な攻撃に端を発したこの戦争で、予想されるイスラエルの地上攻撃を前に、この包囲された海岸沿いの飛び地に住むパレスチナ人は、食料、水、安全の確保に苦労していた。

イスラエル軍は、この地域での米軍艦の配備拡大という支援を受け、ガザ地区との国境沿いに陣地を敷いて訓練を行った。訓練の目的は、ハマスを解体するための広範な作戦であるとイスラエルは主張している。1週間にわたる激しい空爆によって地域一帯が破壊されたが、ハマスが行うイスラエルへのロケット弾の攻撃は食い止めることができないでいる。

ガザ保健省は、戦闘勃発以降、パレスチナ人の死者が2,670人、負傷者が9,600人に達し、これは6週間以上続いた2014年のガザ戦争よりも多いと発表した。結果、5度のガザ戦争の中で、双方にとって最も死者が多い戦いとなっている。

10月7日のハマスの襲撃で、1,400人以上のイスラエル人が殺害され、その大部分は民間人であった。イスラエルによると、これ以外にも子どもを含む少なくとも155人がハマスに捕らえられ、ガザ地区に連行された。また、同国にとって、1973年のエジプトおよびシリアとの紛争以降で、今回は最も死者を多く出した戦争となっている。

米国務省は、アントニー・ブリンケン国務長官が、今回の戦闘による広範な地域紛争への発展を防ぐことを目的とした、慌ただしいアラブ諸国6か国訪問を終え、月曜日にイスラエルに戻ることを発表した。バイデン政権の高官によると、ジョー・バイデン大統領もイスラエル訪問を検討しているが、計画はまだ決まっていない。

現在のガザ戦争が始まって以降、日曜日にはイスラエルとレバノンの国境沿いで戦闘が激化し、ヒズボラ武装勢力がロケット弾や対戦車ミサイルを発射したのに対して、イスラエルは空爆や砲撃で応じた。イスラエル軍も国境検問所の1つで銃撃戦があったことを報告した。この戦闘によりイスラエル側で少なくとも1人が死亡し、国境の両側で複数が負傷した。

レバノン国営通信は、日曜日遅くに、イスラエルの無人機がレバノン南部クファルキラの西側の丘にミサイル2発を発射したと報じた。レバノン軍の施設付近を襲ったこの攻撃で、死傷者は報告されていない。

イスラエル軍は「X(以前のツイッター)」への投稿で、ヒズボラの標的を攻撃したと述べたが、それが何であるかは明らかにしなかった。

『ヒズボラ:ロケット弾発射は単なる警告』

ヒズボラは声明で、金曜日にロイター通信のカメラマンであるイサム・アブダラ氏、さらには土曜日にレバノンの民間人2人を殺害したイスラエル軍の砲撃に対する報復として、北部国境の町シュトゥラにあるイスラエル軍陣地に向けてロケット弾を発射したと発表した。

ヒズボラのラナ・サヒリ報道官は、激しい戦闘は「警告」を表したもので、ヒズボラが参戦を決定したことを意味するものではないと述べた。

ガザ地区の状況がますます絶望的になる中、米国は中東外交に長年の経験を持つデビッド・サタフィールド元駐トルコ米国大使を中東人道問題担当の特使に任命した。米国のジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は日曜日の声明で、サタフィールド氏はガザ地区のパレスチナ人に人道支援が届くよう注力すると述べた。

国連によると、ガザ地区の病院は2日以内に発電機の燃料が尽き、数千人の患者の命が危険にさらされることが予想される。イスラエルがハマスの攻撃を受けて、40キロメートルにわたるガザ地区を完全に封鎖したことで、同地区唯一の発電所は燃料不足で停止した。

ガザ地区南部のハーンユーニスにあるナセル病院では、集中治療室が負傷患者であふれ、そのほとんどが3歳未満の子どもとなっている。また、重度の爆傷を負った数百人がこの病院に担ぎ込まれているが、月曜日中に燃料が尽きることが予想されていると、救命救急センターのコンサルタントであるモハメッド・カンディール医師は話した。

ICUには人工呼吸器が必要な患者が35人、透析を受けている患者が60人いる。燃料が尽きれば、「医療システム全体が停止することを意味します。電気が遮断されれば、これら患者は全員死の危険にさらされます」と、背後で子どもたちが苦痛のうめき声を上げるなかでカンディール医師は語った。

ガザ地区北部のカマル・アドワン病院小児科部長のハッサム・アブ・サフィヤ医師は、イスラエルの命令があったものの、病院から避難しなかったと述べた。ICUには7人の新生児が人工呼吸器につながれているという。

避難は「それら新生児や私たちが治療する他の患者にとって死を意味します。」

世界保健機関で地域責任者を務めるアーメド・アル・マンダリ氏は、病院は一部の動ける患者を北部から移送することができたが、ほとんどの患者は避難させることができないと話した。

ガザ市街にあるガザ地区最大のシファ病院は、遺体安置所がいっぱいになったため、緊急措置として100人の遺体を集団墓地に埋葬すると発表した。また、安全を求めて数万人が病院の敷地内に集まっている。

ガザ地区は、イスラエルの包囲によって水と医療品の不足が深刻化し、すでに人道危機に陥っていた。

「前例のない人道的大惨事が私たちの目の前で繰り広げられている」と、国連パレスチナ難民救済事業機関のフィリップ・ラザリーニ事務局長は語った。同氏は、自身の機関ではもはや人道支援を提供することができず、ガザ地区南部の学校やその他施設に避難先を求める人数が定員を超えていると述べた。

サリバン大統領補佐官はCNNに対し、イスラエル当局者からガザ地区南部で水の供給が復旧したことを伝えらえたと語った。イスラエルのエネルギー・水資源大臣イスラエル・カッツ氏は声明の中で、ガザ地区のある「特定の地点」で水の供給が復旧したと述べた。ある報道官は、その場所はハーンユーニスの郊外であると語った。ガザ地区の支援活動家らは、水が戻った証拠はまだ見ていないと話した。

イスラエルは、ガザ地区の人口のほぼ半数にあたる100万人以上のパレスチナ人に南への移動を命じた。イスラエル軍は、北部でのハマスに対する大規模な作戦に先立って、民間人を避難させようとしているという。また、ガザ地区北部では、ハマスはトンネル、掩蔽豪、ロケットランチャーの広範なネットワークを展開していると同軍は話している。

ハマスは、住民たちに自宅に留まるよう呼び掛けた。一方、イスラエル軍はハマスのバリケードが南への移動を妨げているとされる写真を公開した。

それにもかかわらず、60万人以上がガザ市街から避難したと、イスラエル軍首席報道官のダニエル・ハガリ少将は話した。

国連パレスチナ難民救済事業機関のジュリエット・トウマ報道官によると、ガザ地区の人口のほぼ4分の1に当たる約50万人が、国連学校やガザ地区全域のその他施設に避難しているが、それらの場所では水の供給が減少しているという。「ガザは枯渇しつつあります」と彼女は語った。

同機関は、ガザ地区内でこの1週間の間に推定100万人が避難したと話している。

米国は、米国人ほか外国人が出国し、エジプト側に集まっている人道支援物資を搬入できるよう、エジプトのラファ検問所とガザ地区との行き来を再開する交渉の仲介を試みている。戦争初期の空爆により閉鎖された検問所は、まだ再開されていない。

イスラエルは、捕虜が帰還した場合にのみ包囲が解除されると発表した。

ハマスによるイスラエルに対するロケット弾攻撃は日曜日も続き、イスラエル南部の都市スデロットからの広範囲にわたる避難に拍車がかかっている。人口約34,000人のこの都市は、ガザから約1マイル(1.6キロメートル)の距離にあり、頻繁にロケット弾の標的となっている。 「子どもたちはトラウマを抱えていて、夜も眠れません」と、ヨッシ・エドリさんはバスに乗る際にチャンネル13に語った。

イスラエル軍は日曜日に、ガザ地区南部での空爆により、ハマスの司令官1人を殺害したことを発表した。この司令官は、ハマスがイスラエル南部で攻撃した複数のコミュニティーの一つである、ニリムでの殺害の責任者とされている。イスラエルは、司令部やロケットランチャーなど、一夜にして100か所以上の軍事目標を攻撃したと発表した。

イスラエルは約36万人の予備役兵を招集し、ガザ地区との国境沿いに部隊と戦車を集結させた。イスラエル当局は地上侵攻の時期を明らかにしていない。

AP

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