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米国、イランの兵器に関連する24の標的への制裁を再開へ

米国は21日、イランの核・ミサイル・通常兵器計画に関与する25以上の人々や団体に制裁措置を取る予定だ。(資料写真/AFP)
米国は21日、イランの核・ミサイル・通常兵器計画に関与する25以上の人々や団体に制裁措置を取る予定だ。(資料写真/AFP)
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21 Sep 2020 10:09:48 GMT9
21 Sep 2020 10:09:48 GMT9
  • トランプ政権は、イランが核兵器を手に入れようとしていたのではないかと疑っている
  • イランの核開発計画を阻止しようとする一連の動きの中で、21日の懲罰的な措置は最新のものだ

ワシントン:米国は21日にイランの核・ミサイル・通常兵器計画に関与する25以上の人々や団体に制裁措置を取る予定だ、と米高官は述べた。同盟国と敵対国が反対したにもかかわらず、再開した、と米政府が主張する、国連による対イラン制裁の陰で影響力を強めている。

同高官は匿名を条件に次のように述べた。イランは年末までに、核兵器に使うのに十分な量の核分裂性物質を保有する可能性がある。イランは、長距離ミサイルに関して、核武装した北朝鮮との協力を再開した。同高官は、どちらの主張についても詳細な証拠を提供しなかった。

この新たな制裁措置は、イランの地域的影響力を抑えようとするドナルド・トランプ米大統領の取り組みと合致するものであり、米国の仲介でアラブ首長国連邦とバーレーンがイスラエルとの国交正常化に合意した1週間後に行われることになる。この協定により、反イランの、より幅広い連合が作られる可能性があり、11月3日の選挙を前に、イスラエルを支持する、米国の有権者へのアピールになる。

この新たな制裁によって欧州の同盟国や中国、ロシアが知らされたことは、それらの国々は、国連による対イラン制裁を維持しようとする米国の動きを無視する意向であるかもしれないが、それらの国々に拠点を置く企業は、制裁を妨害することで痛みを感じるだろうということだ。

米国の新たな動きの主要部分は、イランを相手に通常兵器を売買する者を対象とした大統領令で、これは以前、ロイター通信によって報じられたが、トランプ政権も21日に発表するだろう、と同高官は話した。

トランプ政権は、イランが核兵器(イラン政府はこれを否定している)を手に入れようとしているのではないかと疑っており、21日の懲罰的な措置は、イランの核開発計画を阻止しようとする一連の動きの中で最新のものだ。米国の同盟国であるイスラエルは核開発計画を、存在そのものを脅かす脅威とみなしている。
その米高官はロイター通信に対して、「イランは、そうすると決めれば直ちに兵器化事業に復帰できるよう、事実上すぐに使える能力を維持するために、はっきりとあらゆる手を尽くしている」と語った。

同高官は次のように主張した。「イランは、核兵器能力とそれの運搬手段を欲している。2015年合意で、世界市場への参入と引き換えにイランの核開発計画を制限することでこれを阻止しようとしたにもかかわらず」

2018年5月、トランプ氏は合意を破棄し、他の当事国である英国、中国、フランス、ドイツ、ロシアを失望させた。そして、イラン経済を停滞させてきた、米国による制裁措置を復活させた。

次に、国際原子力機関(IAEA)によると、イランは、低濃縮ウランの備蓄量やウランを濃縮するのに許可された純度など、合意の中で課されていた重要な制限を徐々に超えてきているという。

「イランの挑発的な核のエスカレーションを理由に、イランは年末までに、核兵器に使うのに十分な量の核分裂性物質を保有する可能性がある」と同高官は述べたが、これは、IAEAを含む、米国が入手可能な情報の「総体」に基づくものだ、と述べるにとどまった。

ウィーンに本部を置くIAEAによると、イランが2015年合意の制限を大幅に超え始めたのは米国の離脱後で、兵器級、原子爆弾に適していると考えられている純度約90%はおろか、合意前に達成していた20%をはるかに下回る4.5%までしかウランを濃縮していないという。

「イランと北朝鮮は、重要部品の受け渡しを含む、長距離ミサイル計画での協力を再開した」と同高官は付け加えたが、そのような共同作業がいつ始まり、止まり、再開したかについては明言しなかった。

イラン国連代表部の報道官は、差し迫った米国の新たな制裁と米高官の他の声明についてコメントを求められると、それらをプロパガンダとして退け、それらによって米国はさらに孤立するだろうと述べた。

同代表部のAlireza Miryousefi報道官はロイター通信に宛てた電子メールで、「ほぼ毎週、新たなプロパガンダ政策を入れる、米国の「最大圧力」ショーは、明らかに惨めに失敗しており、新たな措置を発表してもこの事実は変わらないだろう」と書いた。
「全世界は、これらが米国の次の選挙運動の一環であることを理解しており、今日の国連における米国のばかげた主張を無視している。世界情勢における米国の孤立が深まるだけだ」と同氏は書いた。

米政府は、21日の発表を前にコメントを控えた。

国連制裁の「スナップバック」?

その米高官は、イランを相手に通常兵器を売買する者を米国が二次制裁で処罰し、米国市場への参入権を奪うことを可能にする大統領令をトランプ大統領が出す予定であることを確認した。

米国がこの行動に至る直接の理由は、イランに対する国連の武器禁輸措置の終了が近づいていることと、外国の当事者(米国の団体は既にそのような取引を禁止されている)に対して、イランを相手に武器を売買すれば米国の制裁を受けることになる、と警告することだ。

2015年の核合意の下、国連による通常兵器禁輸措置は10月18日に終了することになっている。

米国は、武器禁輸措置を含む、国連の事実上全ての対イラン制裁の「スナップバック」、つまり再開の引き金を引き、日曜日のグリニッジ標準時午後8時に発効させたと言っている。

核合意の他の当事者や国連安全保障理事国のほとんどは、米国には国連制裁を再び課す権利はなく、米国の措置に法的効力はないと考えていると言っている。

英国、フランス、ドイツは18日、安全保障理事会に、イランに対する国連の制裁緩和―2015年の核合意の下、合意されている―は、米国の主張に関係なく、日曜日以降も続くと話した。

中国の張俊国連大使とロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は19日、安全保障理事会に向けた書簡の中で、米国の措置を「違法」だとし、イランに対する国連の制裁緩和は継続すると書いた。

また同日、国連のアントニオ・グテレス事務総長は安全保障理事会に対し、国連による制裁が再び課されたという米国の宣言に対して、それが撤回されたかどうかが明らかでないため、行動を起こすことはできないと語った。

「事務総長は、そのような不確実性が存在しないかのように次に進むべきではない」と同氏は述べた。

標的には、イランの核・ミサイル・兵器類が含まれる

この新たな大統領令は通常兵器を、軍事利用が可能なあらゆる物、と幅広く定義した。つまり、イランが、国際水域にある船舶を悩ませるために改造した高速船などが対象となる可能性がある。米高官はロイター通信に語った。

また、弾道ミサイル誘導システムに使用できる、従来型の回路基板にも適用される、と同高官は補足した。

21日に制裁対象となる25以上の標的には、イランの通常兵器や核・ミサイル計画に関連するものが含まれ、一部の標的は、米国の他のプログラムの下、既に制裁されている、と同高官は述べた。

これは、米国の措置が過剰であり、米国が過去に行った制裁について批評家らが非難したように、イランに対する強硬姿勢を示すための宣伝活動を目的に考案されたとの批判を招く可能性がある。

標的になるのは、イランの「最も極悪非道な武器組織」やイランの核関連施設に勤務する約12人の高官や科学者、専門家、イランのミサイル計画のためにミリタリーグレードの軍民両用物品を供給する調達ネットワークのメンバー、イランの弾道ミサイル計画に関与している複数の政府高官だろう、とその米高官は話した。

同高官は標的の名前は明らかにしなかったが、21日に公表されるだろうと述べ、米国は、たとえ法的に認められていると各政府が考えているとしても、外国企業がそれらを扱うのを阻止したいと考えていることを強調した。

「外国政府が、国連による制裁は再開されないと主張しても、銀行や企業が、将来の標的にならないようにするために米国の制裁措置に従おうとする一部の国では、分裂が起こるかもしれない」と同高官は述べた。

ロイター

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