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イラン人の亡命希望者、分割されたキプロスで立ち往生

2020年9月23日、キプロスの首都、ニコシアの国連管轄下 の緩衝地帯の中のコーヒーショップで、イラン人シンガー、オミッド・トゥーティアン氏(46歳)は、身振り手振りで話す。同氏は9月中旬から、足止めを食らったままだ。(AFP通信)
2020年9月23日、キプロスの首都、ニコシアの国連管轄下 の緩衝地帯の中のコーヒーショップで、イラン人シンガー、オミッド・トゥーティアン氏(46歳)は、身振り手振りで話す。同氏は9月中旬から、足止めを食らったままだ。(AFP通信)
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27 Sep 2020 06:09:32 GMT9
27 Sep 2020 06:09:32 GMT9
  • 自分の歌詞がイランの体制を厳しく批判しているので、トゥーティアン氏はキプロス島の北側に戻れば、まずトルコに送り返され、それからイランに送還されるのではないかと恐れている

ニコシア:反体制派のイラン人シンガー、オミッド・トゥーティアン氏はキプロス共和国に入国を拒絶された後、世界で最後に分割された首都の緩衝地帯に張ったテントの中で何日間も眠ってきた。

「私はどちらにも行くことができません」と、イラン当局を非難する歌詞を書いている40代半ばのこのミュージシャンは、AFP通信に語った。「私は立ち往生して、この地帯で暮らしています」

同氏のテントは、ニコシア西部の2つの検問所の間に張られている。1974年以来、分割されたキプロスの北部と南部を区切る半ば「無人地帯」にある廃屋の外の雑草の中に、同氏のテントはある。

トルコ政府のみが国家として承認している自称、北キプロス・トルコ共和国(TRNC)が支配する地中海のキプロス島北部に、同氏は9月上旬に旅した。

2週間後、ほぼ3年間トルコで暮らしてきたトゥーティアン氏は、キプロス島南部で島の3分の1の面積を占める EU加盟国、キプロス共和国に初めて亡命を希望しようとした。しかし、キプロス島を横断していて、国連平和維持軍がパトロールしている180kmの緩衝地帯、グリーンラインに付くと、同氏は南への入国を拒否された。

自分の身が危険に晒されることを恐れ、TRNCに戻ることを拒絶したトゥーティアン氏は気が付くと、2つの領土を分割する数百メートルの敷地の中でどっちつかずの状態になっていた。

「どうして私の入国を認めないのかは分かりません…しかし、新型コロナウイルスのせいだと思います」と同氏は語り、この緩衝地帯の中にあり、食事をしたり、身繕いをしたり、1日の大半を過ごしているキプロス統一推進のHome for Cooperationのコミュニティーセンターで話した。

「しかし、今や何が起きるのか分からないので、事情が明らかになることを望みます。そして、これは非常に困難な状況です」。同氏の書く歌詞はイランの体制を厳しく批判しているので、キプロス島の北部に戻れば、まずはトルコに送り返され、それからイランに送還されるのではないか、とトゥーティアン氏は恐れている。

トルコ政府はイランと親密なので、私にとってトルコはもはや安全な国ではない。

反体制派のイラン人シンガー、オミッド・トゥーティアン氏

「トルコ政府はイランと親密なので、私にとってトルコはもはや安全な国ではありません」と同氏は語り、この6か月間、私用の電話番号を使う身元不明の電話主から匿名の「脅し」を受け続けていると付け加えた。

7月には、3人のイラン人がイランで死刑判決を受けた。3人のうちの2人は、トルコへ逃げた。非政府団体のイラン人権センターによると、トルコ当局はイラン政府と協力し、2人を本国送還したという。

検問所に到着して以来、トゥーティアン氏は1週間に「4度か5度」、入国しようと試みたが、KISAとして知られる移民の権利擁護団体や、この緩衝地帯での国連ミッションからの支援があったにもかかわらず、上手くはいかなかった。

ヨーロッパの規則と国際的な規制によると、入国申請が検討され、最終決定が発出されるまで、キプロスは亡命希望者を追い出すことはできないという。

警察が「誰も入れないようするための規制がある」と言った、とKISAのメンバー、ドロス・ポリカルポウ氏はAFP通信に語った。キプロス警察の広報担当者、クリストス・アンドレウ氏は、誰がキプロス共和国に入国できるのかを決定するのは、「警察の職務ではありません」と語った。

「このパンデミックのために」設置された「内務省の指示に警察は従っているのです」と、アンドレウ氏は付け加えた。

内務省によると、「キプロス共和国が支配する地域へ、法に従って国境を通過して、入国する意思がある者は全員、過去72時間以内に実施された陰性のCOVID-19検査証明書を提出しなければならない」という。これは、トゥーティアン氏が既に履行したと語った要求事項だ。

キプロス共和国「政府がこのパンデミックを利用して、基本的人権に制限を加えている」として、ポリカルポウ氏は非難している。

キプロスの国連難民高等弁務官事務所のエミリア・ストロヴォリドゥ報道官は、「亡命希望者と公衆衛生を同時に守るためには、別の手段もあります…到着時に人々を検査するか、隔離措置を講じることができます」

「私たちは、国際的保護を求めている人にも働きかけています。彼はこの手続きを利用すべきです」と、ストロヴォリドゥ報道官は付け加えた。

ユーロスタットのデータによると、ヨーロッパへの他の移民ルートが閉鎖したため、住民が100万人に満たない国、キプロスでは亡命申請者が過去5年間で、2015年の2,265人から2019年の13,650人へと6倍に増加したという。

AFP通信

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