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トルコとイラン、イラク北部のクルド人反乱分子にドローンを使用

PKKが拠点とするイラク北部山岳地帯カンディルで、AFPのインタビューを受けるトルコ非合法組織PKK広報担当ザグロス・ヒワ氏。(AFP)
PKKが拠点とするイラク北部山岳地帯カンディルで、AFPのインタビューを受けるトルコ非合法組織PKK広報担当ザグロス・ヒワ氏。(AFP)
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02 Oct 2020 07:10:17 GMT9
02 Oct 2020 07:10:17 GMT9
  • クルディスタン労働者党は何十年も、カンディル山地をトルコに対する反政府活動の後方基地として使ってきた。

スレイマニヤ/イラク:トルコとイランは、イラク北部のクルド人反乱分子に対する武器選択として「従来の戦い方を一変させる」ドローンの活用を増やしており、それが民間人の安全を脅かすとともに地政学的緊張を増幅させている。

「ドローンを目にしない日はない」と、トルコの非合法組織クルディスタン労働者党(PKK)の山深いイラク拠点であるカンディルの、自治体長ムハンマド・ハサン氏は述べた。

「飛行高度は非常に低く、カンディルの住民たちが肉眼で捉えられるほどだ」とハサン氏はAFPに語る。

PKKはもう何十年も、カンディル山地をトルコに対する反政府活動の拠点として使ってきた。

イラン・クルド民主党(PDK-I)も、人里離れたイラク・クルディスタンの他の地域に同様の後方基地を持ち、そこから国境を越えてイラクに攻撃を仕掛ける。

トルコとイランはクルド人反乱分子たちを「テロリスト」と見なし、彼らのイラク拠点に対して日常的に越境地上攻撃、空爆、砲撃を実行している。

2018年からトルコおよびイランは、イラン北部の偵察に無人機(UAV)を使い始め、時にはそれを使って標的を特定した暗殺も実行するようになった。

6月にトルコが新たな攻撃を開始して以降ドローンの活用は劇的に増えたと、専門家や被攻撃地域の住民たちはAFPに語った。

国境付近の何十という村や隣接する農地からは恐怖に怯える住民たちがいなくなったと活動団体は言う。

ドローン攻撃はまた、何千人ものヤジディ教徒たちがシリア国境付近のシンジャルの自宅へ帰るのを阻んでいる。現在PKKの構成分子たちはシンジャルにも存在している。

「トルコの空爆は非常に恐怖で、ヤジディ教徒たちは帰ってくることができない」とシンジャルの自治体長であるマハマ・ハリル氏はAFPに語った。
世間の批判をよそにトルコはドローン攻撃を続けているが、おそらくこれがPKKに対して新たに有効なやり方となるからだ。

長年にわたり、PKKはイラクの山岳地帯に逃げ込むために、それを有人戦闘機や地上戦で追い詰めるのは困難であった。

クルディスタン労働者党(PKK)

しかしドローンによりトルコは、PKKの標的を追跡、特定、排除することが数分で可能になったと戦争研究所のニコラス・ヘラス氏はAFPに語る。

「イラク北部での軍事ドローンの活用は、トルコにとって、これまでの対PKK戦を一変させる大変革だ」と彼は言った。

トルコは現在、米国製F-16のような高価な戦闘爆撃機を、国産のバイラクタルTB2型のようなドローンに置き換えつつある。後者は偵察にも都合がよく、24時間飛行可能かつ安価だ。つまり、仮にPKKに撃墜されたとしても「使い捨て」が効くと、トルコのドローン専門家シベル・ドゥズ氏は言う。

PKK広報担当ザグロス・ヒワ氏はカンディルでのAFP独占インタビューで、トルコはドローン機の助けを借りてイラク北部に15kmの緩衝地帯を作ったと語った。

「我々の部隊は今年7機のドローンを撃墜した」と彼は言い、PKK側の犠牲者についての詳細は明かさなかった。

PKKが商用モデルのドローンに爆発物を取り付けて作った簡易型ドローン機では、その戦闘能力は限られている。

トルコのドローン作戦に詳しい米国筋は、イラク北部の米国特殊部隊は彼らの攻撃の新たな「頻度と熾烈さ」に苛立っていると述べた。

「トルコは米国の軍事拠点上空に武器を装備したものを飛ばしている。これはしてはならないことだ。これらすべてに漠然とした不信感と苛立ちが付きまとう」と彼は述べた。

イランは、1980年から1988年のイラクとの戦争で初めてカメラ付きの航空機を使った。

新たなムハジエル6型とシャヘド129型が、イランがイラク北部への攻撃に選択した武器であると、外交政策研究所でイランのドローン機を追跡するアダム・ローンズリー氏は述べた。

「イランがイラク内のクルド人に対して使うドローンの使い方は他の地域でのやり方と180度異なり、より洗練されている」と彼は言う。

今春、イランのドローン部隊長アクバル・カリムル大佐が地元メディアのインタビューを受けるという珍しい機会があり、彼は、イランは航空機を偵察と攻撃の両方の用途で使い、砲撃やミサイル攻撃のためのさらなる観測をするのだと語った。

今月イランは、国境付近のクルド人反乱分子に対して、トルコと「協調して取り組む」と述べていた。具体的にドローンについて言及したわけではない。

イラク政府やクルド人組織は、ドローン作戦拡大についてあまり語っていないが、イラク当局者たちはAFPに個人的な発言として、自分たちにはトルコやイランに対する影響力がないのだと述べた。

8月にトルコによるイラク北部のドローン攻撃でイラクの上層部職員2名が殺害されたのを受け、イラン政府は激しい怒りを表明したが、トルコに対して圧力をかけることはしなかった。

「イラクにとっての漠然とした問題は、力を持つ国々がイラクの領土を射撃場と化していることだ」とローンズリー氏はAFPに語った。

オランダの平和団体PAXで武装解除に取り組むヴィン・ズヴァイニンブルフ氏は、使える手段には限りがあると述べた。

「これらの攻撃の多くが人口過疎地域で起きているため、現地の住民やジャーナリストからの情報がほとんどない」と彼は言う。

確かに活動団体も当局も、イラク北部のドローン攻撃による具体的な死者数を発表できていない。

「それがドローン作戦の曖昧さをさらに高める結果となっている」とスヴァイニンブルフ氏はAFPに語った。

AFP

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