Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 「爆発間際」の洋上の石油タンカー あらためてつのるイエメンの怒り

「爆発間際」の洋上の石油タンカー あらためてつのるイエメンの怒り

イエメン・フダイダ沖に浮かぶFSO「サーフィル」は、武装組織フーシ派が人質に取っている。(資料写真)
イエメン・フダイダ沖に浮かぶFSO「サーフィル」は、武装組織フーシ派が人質に取っている。(資料写真)
Short Url:
05 Oct 2020 05:10:15 GMT9
05 Oct 2020 05:10:15 GMT9
  • くたびれた紅海上のタンカー、国連の検査要求をフーシ派またも蹴る

サード・アル=バターティー

【イエメン・ムカッラー】フーシ派指導部は4日、港湾都市フダイダ沖に停泊中の錆びゆく石油貯蔵タンカーへ国連調査団が立ち入ることをあらためて拒絶した。これを受けイエメン国内では怒りが再燃している。

イエメン当局は、フーシ派が紅海を環境に甚大な被害をもたらしかねない危険にさらしているとして非難、イランが後見する民兵組織フーシ派に国連がさらに強い立場を取るよう求めている。

「国際社会は手ぬるい対応を停止すべきだ」。イエメンのサーリム・アル=ハンバシー副首相は4日、アラブニュースの取材にそう語った。

「こうした対応だからフーシ派も尊大にふるまう。国際社会は、該当のタンカーについて、タンクを空にするかただちに整備させるかするよう、フーシ派に圧力をかけるべきだ」

浮体式海洋石油貯蔵設備「サーフィル」(FSO Safer)は、1988年以来イエメンの沿岸沖7kmの海上に停泊中だ。フーシ派がフダイダ周辺の沿岸を勢力下に収めた2015年3月以降、サーフィルは同派の手に渡った。内蔵する140万バレルの原油が漏出をはじめるという危機感から、「爆発寸前の時限爆弾」と称せられているところだ。

7月にはフーシ派は圧力に屈し国連技術チームの立ち入りを許可することに同意したのも束の間、またぞろ考えを改め、以前求めていた原油収益についてふたたび口にするようになっている。

フーシ派はまた、タンカー調査をおこなう技術チームは、ドイツ・スウェーデン・ロシア・中国などといった「中立的な」諸国で構成すべきだと求めている。国連の専門家では、すでに書き上げられている政治的動機にもとづく報告書を提出しかねない、と主張している。

サーフィルに貯蔵の原油を販売して得られる収益については、金銭面での紛争に片が付くまで、国連を中立的な立場に置き受け取り先・保管先に委任することに政府として同意するつもりだ、とハンバシー氏は語っている。

フーシ派は、国連イエメン特使事務所および国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)側との「バーチャル」会合をもち、タンカーへの立ち入りについて話し合った。ハンバシー氏の発言はこれを受けたものだ。

フーシ派は最終的には合意にいたるとみられていた。ところがまたしても要請を拒絶する挙に出、国連側が同派の要求を斟酌しなかったのだと主張している。

イエメン政府当局では長らく、フーシ派はタンカーがおのが手中にあることを利用、経済的圧力の緩和やイエメン政府、アラブ有志連合軍、国際社会の譲歩を引き出す有利な道具扱いしているとして非難してきている。

先月にはサウジアラビアが、タンカーの西側に広がる紅海上にオイルスポットが見られるとして国連安保理に警告を発している。これにより、近く起きかねない大惨事への恐怖がますます募ることとなっている。

ステファヌ・デュジャリク(Stéphane Dujarric)国連事務総長報道官は8月には、国連は大規模災害を防ぐべく取り組んでおり、専門家チームがただちに船舶に立ち入れるよう求めている、としていた。

特に人気
オススメ

return to top

<