• 8月4日の悲惨な事故で190人以上が命を失う

アラブニュース

ロンドン：英国の大学の研究によると、ベイルート港での爆発事故は史上最大級の非核爆発であったという。

その壊滅的な大爆発は500〜1,100 トンのトリニトロトルエンに相当する威力だった、と　シェフィールド大学土木・構造工学部の研究員らが報告した。

同報告によると、レバノンの首都をズタズタに引き裂いた8月4日の大爆発によって190人以上が死亡し、それは1945年に広島に投下された原子爆弾の20分の1の威力があり、トリニトロトルエン13〜15キロトンに相当するものだったという。

同大学の爆発・衝撃工学研究グループによるその研究結果は、『ショックウェーブ』誌上で発表された。同グループは、ソーシャルメディアからの動画と映像を使って、その爆発の衝撃波がベイルート市内をどのように伝播したか、またその結果としてどんな影響がおよんだかを判断した。

「ベイルートにおける大爆発はそのの威力がまさに最大級の通常兵器と核兵器とのちょうど中間あたりに相当している点で興味深い」と同研究グループのサム・リグビー博士がBBC ニュースに語った。「最大級の通常兵器の約10倍の大きく、初期の核兵器の10〜20倍小さいエネルギー量だった」

「研究結果から判断すると、ベイルート大爆発は、偶発的な人工爆発物による爆発規模として史上トップ10に入る」とリグビー博士は言いそえた。「ベイルート大爆発は21世紀においては間違いなく最大の非核爆発だった」

同研究グループは、今回の研究結果が、緊急事件の対策を立てるプランナーたちが将来における同様の災害に備えるための一助となることを望んでいる。第一応答者たちも、被害者の負傷状況や様々な地点における爆風からの構造的被害を予測する上で、そのデータが役立つはずだ。

「この夏ベイルートを襲った大爆発は壊滅的なものであり、もう二度とそのようなことが起こらないことを望んでいる。これほど大規模の爆発事故がここまで綿密に文書化されたことはこれまでなかったので、この研究発表は前代未聞といえる」とリグビー博士は言う。「この爆発を分析することを決めた理由は、我々には自由に駆使できる技能とリソースがあり、それを利用して問題を解決し、結果的に人々を助けることが我々の任務だと考えたからだ」

「この出来事の全容が明らかになるにつれ、我々は自分たちの爆発工学の専門知識を使ってベイルートでの事件の真相究明を助け、データを提供することによって将来そのような事故が再び起きてしまった時に人命を救う一助となることを望んでいる。

「ベイルートでの事故のような、偶発的な大規模爆発の威力について理解を深めることにより、様々なタイプの建物がどのように影響を受けるか、爆心地からの距離によってどんな種類の負傷者が出るかといったことについて、より正確な予測を展開することができる」

事件の調査から、ベイルートの大爆発は3千トン近い硝酸アンモニウムが誤って引火したことによるもので、その化学物質は2014年以来港の倉庫の一つに適切な安全措置も取られずに貯蔵されていたということが判明した。

この爆発で6,500 人以上の負傷者も出ている。

「ブランコに乗っている子供のことを考えてみてほしい」とリグビー博士は言う。「その子供の背中を押してできるだけ大きく揺らそうとすると、そのひと押しがどれほど労力を要するものかわかる。われわれは本質的にそのようにしてエネルギー量を算出している。

「こうした出来事からエネルギー量を知ると、そこから装填量を算出することができる。それによってより強靭な建物を建設する方法を学ぶことができる。ガラス工事一つとっても同様だ。ベイルートでは板ガラスの損壊が爆心から10km離れたところまで報告されているが、ガラスの破片が落ちてくることによって大変な怪我人を出すことになる。」

今回の研究によると、大爆発によって数ミリ秒で およそ1GWh相当の光エネルギーを出力し、それは300万枚のソーラーパネルによって1時間に作り出されるエネルギーに相当し、100軒の家が1年間に使用する光エネルギー総量に匹敵するという。