







アラブニュース
【ドバイ】中東は安全と繁栄の新たな時代へと第一歩を踏み出した。これは地域の安定化を目指すアラブ首長国連邦(UAE)のビジョンと軌を一にしたものだ。――UAEのアブドゥッラー・ビン・ザーイド外相の弁である。
同氏の発言は、ベルリンでドイツのハイコ・マース外相、イスラエルのガビ・アシュケナジ外相をまじえ開かれた合同記者会見の場で出たものだ。イスラエルとUAEは、数十年来の敵意を打ち捨て、国交を正常化するため9月半ばに米国仲介の協定に調印した。両国外相が直接顔を合わせる歴史的な会談はそれ以来初となる。なお、バーレーンもイスラエルと同様の協定に調印している。
アブドゥッラー外相は、「今回の合意は、中東地域に根ざす問題の数々に取り組むうえで従来の思考を変化させるとともに、具体的な成果をともなった実践的な道筋を見据えるものだ」との見解を明らかにした。
Middle East entered a new era towards security and prosperity after the signing of the Abraham Accords Peace Agreement: Sheikh Abdullah bin Zayed #OFMUAE https://t.co/r3muUpDGWz pic.twitter.com/tWkKorE7jN
— OFM (@OFMUAE) October 6, 2020
同氏は、「わが新たな友人ガビ・アシュケナジ氏」との会合のホスト役となったマース外相に謝意を示しつつ次のように語った。「30年前、ドイツ国民はベルリンを一つにするという歴史的偉業を達成した。いまわれわれがここに集ったのも、そうした歴史に残る偉業を成し遂げたいとの思いからだ」
同氏はまた、「二国家解決案、および地域に住まう将来世代のさらに明るい未来の実現に向けた合意に、パレスチナとイスラエルがともに協力する可能性があるという希望が復活した。これは強調しておきたい最も重要な点だ」とも語った。
「UAEとしては平和構築のための協力の場をさらに新たに設けることに期待をかけているし、わが国が地域内で開放している商機についても楽観的に見通しているところだ」
「研究開発部門におけるわれわれの世界に冠たる能力を活用して現在および将来世代の要望に応えていくため協力していきたい」
同氏はまた、食糧安全保障やエネルギー、貿易、保健衛生、航空およびテクノロジーといった分野を特に取り上げ、地域内の協力の拡大強化に機会を供するものだとした。
また、「UAEは国際協力のメリットを最大化するためにパートナーとともに国を超えた投資活動の推進を約束するし、ドイツおよびイスラエルのパートナー探しも進める構えだ」との考えも同氏は明らかにした。
「本日、ガビ・アシュケナジ外相とは提案・意見をひとまとめにして話し合いをもった。目玉はおそらくエネルギー分野ならびに第4次産業革命での協力の話になるはずだ。研究開発で協力できれば、さらに安定しまとまりのある繁栄した中東への一歩となろうという認識がもとにある」とアブドゥッラー氏は語っている。
Sheikh Abdullah bin Zayed meets Israeli FM in Berlin #OFMUAE https://t.co/3mmDRIEM20 pic.twitter.com/y22jo21Yqd
— OFM (@OFMUAE) October 6, 2020
同氏はまた、「UAE、ドイツ、イスラエルは国内で寛容と多様性とを推進することにともに関心を分かち合うとともに、地域では多元性や穏健な立場を推し進めるという点でも関心を共有する」とし、「3国とも、過激思想やテロが自国や世界に突き付けている脅威についても深い懸念を共有している」と語った。
「われわれはテロと妥協はしない。それとまったく同様に、過激思想や憎悪とも妥協してはならぬというのがわれわれの姿勢だ」。同氏はそう語り、UAEはドイツ・イスラエルとともに、協力と安定をその特色とする平和的な国際秩序の一環として、地域の安定を維持したいという思いも共有している、と語った。
アシュケナジ氏は、UAEが平和の実現へ向けて勇気とビジョンと努力を示してきたことに感謝の念を伝えた。また、「両国間の協定は、両国国民に希望と吉報をもたらすとともに地域平和への期待も抱かせている」とも語り、「国交が成立したことで、安定の実現に向けた取り組みにも貢献することになるし、共通の難題に向き合う一助ともなる。新型コロナの感染拡大などはその最たるものだ」と続けた。
UAEとイスラエルの外相はこの日、会談に先立ちベルリン市内のホロコースト記念碑を訪問している。
Sheikh Abdullah bin Zayed visits Holocaust Memorial in Berlin #OFMUAE https://t.co/mDNNLDSCHH pic.twitter.com/s5Sik6cLj6
— OFM (@OFMUAE) October 6, 2020
アシュケナジ氏は、「(今回の会談は)平和・発展・希望の新時代のあらわれだ。われわれとしてはUAE国民が自由にイスラエルを訪れあらゆる聖蹟に来られるものと思っているし、イスラエル国民もUAEをまもなく訪問できるものと期待しているところだ」との思いを語った。
同氏はまた、「UAE外相との一連の会談は前向きなものだった」とし、「両国の関係と将来の協力に向けたビジョンも見えてきた」と付け加えている。
同氏は「平和にいたるには勇気と敬意をもつことからだ」と述べ、パレスチナに対し交渉のテーブルに戻ることを求めた。
「紛争の解決策は、じかに顔を合わせて交渉することでしか得られないはずだ。この問題を長く引きずり交渉開始の時期が延び延びになれば、それだけ解決は難しくなるし将来世代へ持ち越すことにもなる。そうなれば子らに難しい現実を背負わせることになる」。アシュケナジ氏はそうした見解を示した。
マース氏は、「ドイツはアブラハム合意の調印を歓迎する」と語った。UAEとバーレーンが調印したイスラエルとの合意を指す。また、イスラエルとUAEで合意が成立したことは、「中東にとってはずいぶん久しぶりの朗報だ」とも述べた。
Foreign Minister @HeikoMaas after the meeting of his Israeli @Gabi_Ashkenazi and Emirati @ABZayed counterparts in Berlin: Welcome! We are very happy to host you today, and we hope that Berlin will be remembered as a milestone in a success story for your two countries. 1/4 pic.twitter.com/z0ysyuBrYq
— GermanForeignOffice (@GermanyDiplo) October 6, 2020
マース氏は両外相に「しかしなお前進の余地はある」とし、イスラエルとパレスチナ人との永続平和を見出すことに地域一丸となって弾みをつけるべきだと注文した。マース氏は「この機会を逃すべきでない」と語り、ドイツが現在EU議長国を務めることから、「EUには支援する用意がある」ともした。
イスラエルと国交を樹立したアラブ諸国は、1979年のエジプト、1994年のヨルダン以来、UAEとバーレーンが初となる。
Press conference with Foreign Minister @HeikoMaas, the Foreign Minister of Israel @Gabi_Ashkenazi @IsraelMFA@IsraelinGermany and the Foreign Minister of the United Arab Emirates @ABZayed@MoFAICUAE @UAEinBerlin https://t.co/9BV0LQhVCq
— GermanForeignOffice (@GermanyDiplo) October 6, 2020
(AFPと記事協力)