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スーダン、和平協定に続き銃の回収という困難な課題に直面

和平合意では、スーダンの憲法が変更されるまで、反政府派は「自衛」目的で銃を所有することが認められている。(AFP)
和平合意では、スーダンの憲法が変更されるまで、反政府派は「自衛」目的で銃を所有することが認められている。(AFP)
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08 Oct 2020 08:10:37 GMT9
08 Oct 2020 08:10:37 GMT9
  • 10月3日の和平合意でもっとも慎重を要する要素の1つが、反政府派からの武器回収だ

ハルツーム:数十年に及んだ武力衝突の終結という画期的な合意を祝うスーダンだが、書面上の約束を平和へと変える第一歩は、もっとも危険性をはらんだ一歩でもある。武装解除だ。

何年にも及び何十万人もの死者を出した紛争によって銃があふれるこの国で武器を回収する。10月3日の和平合意でもっとも慎重を要する要素の1つだ。

「武器回収というのは、非常に難しい課題です」と、正義と平等運動(JEM)の指導者であるジブリール・イブラヒム(Gibril Ibrahim)氏は言う。今回の歴史的な協定における、反政府側の署名者の1人だ。

「力を合わせて取り組む必要があります。国民は、政府が彼らの安全を保証できると判断するまで、武器を渡さないでしょう」

イブラヒム氏が属するJEMの戦闘員は、スーダン政府と西部にあるダルフールで戦った。2003年から続いた戦闘で、約30万人が命を失っている。

「国民の声に耳を傾ける民主的な政府であれば、国民は身を守るための武器はもはや必要ないと結論づけるでしょう」とイブラヒム氏は言う。

政府と反政府グループの同盟であるスーダン革命戦線(SRF)によって署名された歴史的な協定は、画期的な出来事として国際社会に歓迎された。

反政府派は、ダルフールのグループの他、南部の青ナイル州や南コルドファン州からなる。

反政府派リーダーの1人によると、約3万5000人の反政府戦闘員が関わっているという。

大規模な抗議運動により2019年4月にオマル・バシール大統領が権力の座を奪われ、暫定政府が紛争の終結を優先事項として扱ったことで、今回の和平が可能になった。

ダルフールでの大量虐殺と人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)に指名手配されているバシール氏は、すでに汚職で有罪判決を受け、現在は1989年にクーデターによって政権を掌握した罪で首都ハルツームで裁判にかけられている。

政府はまた、ダルフールでの役割についても、バシール氏を裁判にかけることに同意している。

だが、これだけ長い期間にわたり紛争状態にあったため、銃の引き渡しに慎重になっている者も多い。

「武装解除の鍵となるのは信用です」と、ブリュッセルを拠点とするシンクタンク、国際危機グループ(ICG)のジョナス・ホーナー(Jonas Horner)氏は言う。

「軍は、バシール政権下で権力乱用に深く関わってきました。ですから、地方のスーダン人の多くは、武器を手放すのであれば、納得できる形で軍が暴力への対策を講じるところを目にする必要があるのに、とにかく軍は、その時間も確保できていなければ、その意思も示していません」

元反政府派と政府の間には「信用のギャップ」があると警告しつつ、ホーナー氏は、念のため武器を隠し持っておく人も出てくると懸念している。

和平に抵抗を示す2つの反政府グループ(ある推定によると約1万5000人の戦闘員が所属)が、10月3日の協定への参加を拒んでいる。

1つはアブドゥル・ワヒド・ヌル(Abdelwahid Nour)氏率いる、ダルフールを拠点とするスーダン解放運動(SLM)の派閥で、かなりの支持を維持しているとされる。

もう1つの派閥、南コルドファン州を拠点としアブデルアズィーズ・アル・ヒルー(Abdelaziz Al-Hilu)氏が率いるスーダン人民解放運動北部(SPLM-N)は、独自の停戦協定に署名している。

同協定では、地域と政府が分離されるようスーダンの憲法が変更されるまで、反政府派は「自衛」目的で銃を所有することが認められている。

協定の署名前にも関わらず、スーダン軍は大規模な武装解除運動を立ち上げ、市民から集めた何千丁もの銃器を砂漠で爆破している。ジュネーブを拠点とする研究機関の小型兵器調査(Small Arms Survey)の算出によると、2017年にスーダンで違法に所有されていた武器数は276万丁にのぼる。100人当たり銃6.6丁になる換算だ。

反政府派は、政府の治安部隊との合同部隊に、時間をかけて組み込まれる。

「国を安定させるには、武器を正規軍に引き渡す必要があります」と、協定の署名者でもある、反政府派SPLM-Nのヤシル・アルマン(Yassir Arman)副議長は言う。

反政府派を正規軍に変えれば、不安定になりがちな合同部隊において、かつての敵同士をまとめることができる。

「政治事情に介入しない、プロの軍隊を築く必要があります」とアルマン副議長は付け加えた。

スーダンでは、おおいに歓迎された和平協定が崩壊した過去がある。そのため今回の合意では、明確な道筋が示されている。

「今回の合意でもっとも手間がかかるのは、安全面です」と、政府の交渉チームの広報官を務めるムハンマド・アル・タイチ(Hassan Al-Taichi)氏は言う。

武装解除と反政府派の動員解除を統制する、「最高会議」が45日以内に創設される。

「武器の回収が実施されるのは、反政府派がトレーニング・キャンプに参加し始めてからです」とタイチ氏は付け加えた。

このプロセスは、ダルフールでは15か月以内に完了するとされているが、他の地域では期限を39か月としているところもある。

平和を築くためには国民が銃を手放す必要があるが、紛争が完全に終わったと確信が持てるまでは、ほとんどの人が銃器を諦めないだろう。

難しい問題だ。

「信頼できる中央当局によって形だけでも持続可能な平和が実現されるまでは、国民は、政府による武装解除プログラムに応じる気にはほとんどならないでしょう」と、ホーナー氏は言う。

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