
フランク・ケイン
ドバイ:UAEは、新型コロナウイルス(COVID-19)に対するロシア開発ワクチン「スプートニクV」の臨床試験を中東で初めて承認した国となった。
エミラティ保健予防省は、モスクワの名門ガマレヤ研究所開発のロシア医薬品の臨床試験の許可について発表した。
試験は直ちに開始され、現在ロシアとベラルーシでヒトを対象に試験が行われているワクチンの第Ⅲ相試験の一部を構成する予定だ。
同ワクチン開発を監督するロシア直接投資基金のキリル・ドミトリエフ総裁は、「アラブ首長国連邦は、新型コロナウイルスのパンデミックと戦うために、世界で最も先進的なアプローチの1つを実証してきました。他の中東諸国と並び、アラブ首長国連邦は私たちの良きパートナーです」とアラブニュースに語った。
「サウジアラビアの医師や保健担当官がワクチン『スプートニク V』を評価するためにモスクワを訪問しており、同国も試験に参加する可能性があります。UAE での試験の成功によって、同地域の他国での認可のハードルが下がるでしょう」と、ドミトリエフ総裁は付け加えている。
ドミトリエフ総裁は、UAEの試験の参加人数の明言を避けたが、ロシアで先立って同ワクチンを接種した70 歳のロシア人の抗体を、UAE がすでに試験していることを明らかにした。アブダビで試験を受けたこの男性は、同ワクチンによって、ウイルスに対する非常に高レベルの抗体を示している。
ロシアでは約1万2000人の被験者が同ワクチンを試しており、試験の目標人数は4万人となっている。来月末までに結果が出る見込みだ。
ロシア当局は、パンデミックによる緊急事態と同国が長年培ったワクチン開発技術を考慮し、同ワクチン開発を迅速に進めた。
UAEのアブドゥルラフマン・アル=オワイス保健大臣は次のように述べている。「UAEには多様な住民がいるおかげで、『スプートニクV』のような新型コロナウイルスワクチンの試験には最適な場所となっています。UAEには200カ国以上の人々が住み、さまざまな社会経済層、年齢層の人々が働いています」
すでにUAEでは、最前線の医療従事者に中国開発のワクチンを投与している。
アブダビ保健当局が同ロシア医薬品の検査の進捗状況を監督し、管理はUAEの検査機関であるピュア・ヘルス(Pure Health)が行う。
同ロシア医薬品の検査の進捗状況を監督するアブダビ保健当局は、オウルグルフ・ヘルス・インベストメント(Aurugulf Health Investment)と提携することになっている。
ドミトリエフ総裁は、世界中でワクチンに対する大きな需要があり、ロシアとベラルーシだけでなく、メキシコ、ブラジル、インド、ウズベキスタンにも供給されることになっていると述べた。