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IAEAのトップ認める:イラン、原子力施設に地下遠心分離プラントを建設中

昨年、ナタンズ原子力施設訪問中、労働者に演説するイランの原子力組織の長、アリ・アクバル・サレヒ。(AFP/File)
昨年、ナタンズ原子力施設訪問中、労働者に演説するイランの原子力組織の長、アリ・アクバル・サレヒ。(AFP/File)
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28 Oct 2020 01:10:53 GMT9
28 Oct 2020 01:10:53 GMT9
  • ラファエル・グロッシ、イランが低濃縮ウランを大量に備蓄し続けていると述べる
  • 以前の遠心分離施設は、テヘランがサボタージュ攻撃と呼ぶ、何らかの破壊工作により爆発している

ベルリン:火曜日、国際原子力機関のトップがAP通信に語ったところでは、今夏、テヘランがサボタージュ攻撃と呼ぶ破壊工作で爆発後、イランが地下遠心分離機組立工場の建設を開始したことを、同機関の査察官が確認した。

イランはまた、低濃縮ウランを大量に備蓄し続けているが、武器を生産するのに十分な量を持っていないようだ、と国際原子力機関のラファエル・グロッシ事務局長はベルリンでのインタビューでAP通信に語った。

ナタンズの核サイトでの7月の爆発を受け、テヘランは、地域周辺の山稜地帯に新しい、より堅固な施設を建設すると述べている。専門家によって分析されたナタンズの衛星写真では、イランの中央エスファハーン州のサイトでの建設工事の明らかな兆候はまだ確認されていない。

「彼らは建設に着手しているが、完成しているわけではない」とグロッシは述べた。「完成までのプロセスは長期に渡る」

「機密情報」であると述べ、それ以上の詳細の発表は差し控えられた。イラン国連代表部は、コメント要請に応じていない。

イランの核部門の責任者であるアリ・アクバル・サレヒは先月、破壊された地上施設は、「ナタンズ周辺の山稜地帯にある」施設に置き換えられる、と国営テレビに語っている。

国際原子力機関(IAEA)事務局長のラファエル・マリアーノ・グロッシは、イランは低濃縮ウランを大量に備蓄し続けていると述べた。  (AP)

ナタンズは、イランのウラン濃縮施設の主要なベースである。その長い地下ホールで、遠心分離機が六フッ化ウランガスを高速回転させてウランを濃縮する。

首都テヘランの南約200 km(125マイル)にあるナタンズのサイトは、2002年に、衛星写真で地下施設の建設が確認され、イランの核開発計画に対する西側の懸念の導火線となった過去がある。2003年にIAEAがナタンズを査察した時には、イランは、核開発計画のため、約7.6メートル(25フィート)のコンクリートの下に遠心分離機を設置する予定であると説明している。このサイトは防空拠点によっても守られているが、分厚いコンクリートの下に装置を設置することで、万が一の空爆にも備えていた。

ナタンズは以前、米国とイスラエルが仕掛けたと信じられているコンピューターウイルスのスタックスネット(Stuxnet)の標的にされたこともある。イランは、今年7月の爆発事件がどこのサボタージュ攻撃だと疑っているのかをまだ明らかにしていない。当時は、責任の所在はこれまで未知のグループにあるとされたが、疑惑はイスラエルにも降りかかった。

包括的共同行動計画(JCPOA)として知られる、世界列強との画期的な2015年核合意の規定に基づき、イランは非軍事目的で一定量の濃縮ウランを生産することは許されている。

その見返りに、イランは関係国から経済的インセンティブを提供されている。

しかし、米国のドナルド・トランプ大統領が、2018年に一方的に核合意からの離脱を宣言し、経済制裁を復活させたことから、他の署名国(ドイツ、フランス、英国、ロシア、中国)は合意の存続に苦労している。

この間、イランは、備蓄できるウランの量、ウラン濃縮できる純度、その他核合意で定められた制限を超える動きを見せ、米国の制裁によるダメージを相殺する計画を提案するよう、残る締約国に圧力をかけている。

それでもなお、イランは、IAEAの査察官がナタンズを含む核施設への完全なアクセスを許可し続けているとグロッシは述べた。

最新のIAEA四半期報告書では、8月25日の時点で、イランが包括的共同行動計画(JCPOA)で許可されている202.8キログラム(447.1ポンド)をはるかに超える2,105.4キログラム(4,641.6ポンド)の低濃縮ウランを備蓄していたと当局は報告している。また、ウランの濃縮純度も4.5%まで高め、合意で許される3.67%を超えている。

今後数週間で公表される次のレポートでも、「これまでと同じ傾向が続いているであろう」と、グロッシは述べている。

広く引用されている、ワシントンに本拠を置く軍備管理協会(ACA)の分析によると、核兵器を製造するためには、まずイランはガスの形で約1,050キログラム(1.16トン)の低濃縮ウラン(純度5%未満)を必要とし、それを更に90%以上の純度まで濃縮する必要がある。

グロッシによれば、核爆弾を製造するのに十分な濃縮ウランの量と当局で定義する「有意量」と比較し、IAEAの現在の評価は、イランは現時点ではそれだけの濃縮ウランを所有していないとしている。

「現時点で、私は査察官と連絡を取り合っていないのですが、記憶では、それで間違いないはずだ」と、グロッシは述べている。

「これらはすべて予測であるが、IAEAは、憶測はしない」と、彼は付け加えた。「何が起こりそうなのか?何が起こる可能性があるのか?私たちは査察官であり、私たちは私たちが見たことだけを報告しています」

イランは核爆弾の製造には関心がないと主張し、グロッシは包括的共同行動計画(JCPOA)が締結される前に、イランはウランを20%の純度まで濃縮していたと述べ、これは技術的には、核兵器製造レベルの90%まで残りわずかなステップを残すのみの純度である。そして2013年、イランの濃縮ウランの備蓄はすでに7,000キログラム(7.72トン)を超え、濃縮度も高かったが、その際も核爆弾製造には乗り出していない。

「『有意量』の概念は技術的パラメータであり、これは、核兵器の開発に理論的に転用できる量を示すためのセーフガード協定の文脈で適用されている」と彼は述べた。

「そうした量を保有する可能性という事実があったとしても、直ちに核兵器が製造されていることを意味するものではない。これらの用語を使用するときは厳重に注意する必要がある」

グロッシは8月下旬にイラン政府高官との会談のために、個人的にテヘランを訪れ、2000年代初頭から、イランが未申告の核物質を保管または使用し、核関連活動を行った疑いが持たれている2つの場所の査察に関する1か月にわたる行き詰まりをようやく解消している。

査察官は現在、これら問題のサイトの双方からサンプルを採取し、グロッシによれば、まだラボ分析を行っている最中である。

「話し合いは、私たちが抱えていた問題に対する建設的な解決策につながった」と彼は述べている。「それ以来、査察官が定期的に立ち会い、現場を訪問しているという意味で、良好なレベルの協力関係を維持していると信じている」

AP

 

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