テヘラン:アメリカ政府の制裁解除措置は「好ましいが不十分だ」とイラン外相が5日述べた。アメリカ政府がイランの民生用核開発に対する制裁を解除すると発表して数時間後のことだった。
アメリカ政府が制裁を解除したのは、イラン政府と世界の各大国の間での、2015年「イラン核合意」再建協議が相当な進展を見せた段階だった。この時点で経済制裁の緩和が大きな争点となっていた。
「制裁を一部解除すれば、真の意味でアメリカ側の誠意が伝わる可能性はある。アメリカ側は誠意を見せるという。しかし、発表内容は好ましいが不十分であることを認識すべきだ」とのイランのホセイン・アミ―ル・アブドラヒアン外相の発言を「イラン学生通信(ISNA)」が報じた。
アメリカ国務省は4日、2015年のイラン核合意(正式名称「包括的共同作業計画:JCPOA」)に復帰するために必要な事務的手続きとして、イランの民生用核開発計画に対する制裁を解除すると発表した。
2018年にドナルド・トランプ前大統領がイラン核合意から離脱し、イランに対する厳しい経済制裁を再開したため、イランは核合意内容の一部について順守を停止するに至った。
今回の制裁解除により、諸外国の政府・企業はイランの民生用核開発計画に参加可能となる。「安全と核不拡散の促進」という名目の、アメリカ政府による経済制裁発動の対象外となるからだ。
イランの民生用核開発計画には、濃縮ウランの備蓄増強が含まれる。
アミール・アブドラヒアン外相は、イラン核合意再建協議における「主な争点」の1つに、2015年の核合意から再び離脱しないとの保証をアメリカ政府から取り付けることがあると繰り返した。「イラン政府は政治・法律・経済面での保証を求めている」と外相は述べ「複数の分野で合意に達している」と付け加えた。
イラン・アメリカ・イギリス・中国・フランス・ドイツ・ロシアなどが参加するウィーン協議では、参加国が重要な「政治的決断」を下さねならない段階に達した、と様々な交渉当事者が先週述べている。
「ウィーン協議に派遣したイラン政府交渉団は、西側諸国から約束を果たすとの具体的な保証を得ることに全力で取り組んでいる」とアミール・アブドラヒアン外相は述べた。
イラン外務省のサイード・カティブザダ報道官は、5日の外相発言の前段階で「当然ながら、イラン政府は核合意で定められた義務を履行する上で正しい方向に向かうあらゆる措置について慎重に検討している」と述べた、と現地メディアが報じた。
ロシア在ウィーン国際機関代表部のミハイル・ウリヤノフ常駐代表は5日、アメリカが制裁解除を決定したことを「正しい方向に向かう動きの1つ」と評した。
「これにより #イラン核合意 の再建と #アメリカ #イラン 双方の2015年の核合意復帰に向けた動きが促進される。 #ウィーン協議 が最終段階に入った兆候とも見なせる」とウリヤノフ常駐代表はTwitterに投稿した。
核合意再建協議は先週一時休止され、各国交渉団はいったん政府と相談するため本国に戻った。専門家によると、核合意再建協議が来週再開される可能性もあるという。
AFP