



パレスチナ自治区、チュバス:
イスラエル軍が、コミュニティ全体を一度に標的とするという稀な作戦により、占領下のヨルダン川西岸にある80近くのパレスチナ人ベドウィンの住居を破壊したことが、当局者および目撃者の4日の発言から明らかになった。
現場に居合わせたAFPのカメラマンによると、3日遅く、イスラエルのブルドーザーがヨルダン渓谷のチュバス近くの村を襲い、テント、小屋、移動式トイレ、ソーラーパネルなどを含む村全体を破壊、多数の人々が住居を失ったという。
パレスチナ暫定自治政府のムハンマド・シュタイエ首相は、イスラエル軍が「ホムサ・アル=バキアの村を完全に破壊し、約80人が住む家を失くした」と非難した。
ヨルダン川西岸の文民問題を担当する、イスラエル軍の占領地政府活動調整官組織(COGAT)は、「ヨルダン渓谷の射撃場(軍事訓練エリア)に違法に建設された」建造物を破壊した、と述べている。
ヨルダン渓谷は、1967年以来ヨルダン川西岸を占領しているイスラエル軍によって完全に支配されている同西岸エリアCに位置する。
イスラエルによる支配の下では、パレスチナ人は許可なしに地域内に建造物を建てることはできず、許可の申請は通常却下され、建物の取り壊しも珍しくない。
今回のイスラエル軍の作戦によって家を失ったアブデルガニ・アワダ氏によれば、車とブルドーザーで到着したイスラエル人は人々に対してわずか「10分で住居から退避するように」命じたという。
「そして彼らはブルドーザーで破壊を始めたのです」とアワダ氏はAFPに語った。
アワダ氏は家族が何世代にもわたってこの地域に住んでいたことを強調し、イスラエルが「ヨルダン渓谷からパレスチナ人を追い出そうとしている」と非難した。
占領に反対するイスラエルの非政府組織ベツェレム(B’Tselem)によると、今回のホムサ・アル=バキアでの深夜の作戦は非常に多くの家を同時に標的にした点が特徴的だという。
「コミュニティ全体を一度に破壊することは非常にまれであり、イスラエルは、人々の注意が現在他のことに向けられていることを利用して、この非人道的な作戦を実行したものと思われます」とベツェレムはAFPに送られた声明の中で述べた。「他のこと」とは米国の大統領選挙のことである。
別の声明の中で、ベツェレムは「世界がコロナウイルスがもたらした危機に対処している間、イスラエルは、パレスチナ人への支援ではなく、パレスチナ人への嫌がらせに時間と労力を費やしています」と指摘している。
ベツェレムはイスラエルによる破壊のデータを記録しており、今年は現在までにヨルダン川西岸で798人のパレスチナ人がイスラエルの破壊によって家を失ったと述べている。
この数字は、ベツェレムがデータの収集を開始した2016年以来、現時点ですでに1年当たりでこれまでの最大となっている。
AFP