
エルサレム:議会解散のための予備的措置が、水曜日に議会で可決される見込みである。これにより来年総選挙が行われる見通しが高まっており、イスラエルの不安定な連立政権は崩壊に近づくこととなった。
ベニヤミン・ネタニヤフ首相の重要な連立政党の指導者であるベニー・ガンツ代替首相は火曜日のゴールデンタイムに放送されるテレビ番組の中で演説し、彼が指導者を務める中道派の「青と白」連合はイスラエル議会を解散させる法案を支持するだろうと述べた。
しかし、水曜日のイスラエル議会における今回の野党案の採決は、議会解散に向けた第一歩に過ぎない。
イスラエル議会を解散させる法律によると、総選挙実施の前に、さらに3つのことを成功させなければならない。
しかし、少なくとも現在のところ、ガンツ氏が野党に味方するという決断をしたことは、イスラエルの中道右派連合の亀裂が拡大していることを浮き彫りにしている。
「私はネタニヤフ氏について何の幻想も抱いていませんでした」とガンツ氏は火曜日に行った演説で述べた。
ガンツ氏の演説は、ネタニエフ首相と過去3度連続して選挙で対立し、ガンツ氏もネタニエフ氏もどちらも過半数を占め単独政権を組むことができなかったことを、イスラエルの人々に思い出させた。
ガンツ氏は、ネタニヤフ氏が「連続の公約破り者」であることを知っていたにもかかわらず、ネタニヤフ氏との連立政権の樹立に合意することを決めたと述べた。
「ネタニヤフ氏は私に嘘をついていません」とガンツ氏は述べた 。「彼は皆さん全員に嘘をついたのです。」
4月に合意に達したネタニヤフ・ガンツ連立は、厳しい権力分担の取り決めをしていた。
右翼政党リクード党を率いるネタニヤフ氏は、3年体制の前半首相を務めることとなっていた。
ガンツ氏は2021年11月に首相に就任する予定だったものの、ネタニヤフ首相の批判者は、ネタニヤフ首相がガンツ氏に首相の座を明け渡す前に、連立政権を沈める方法を見つけると常に主張してきた。
連立協定には、予算案可決の失敗など、総選挙を自動的に強要する複数の引き金が含まれていた。
ガンツ氏は、ネタニヤフ氏が予算問題で一貫して国民を誤解させていると非難した。
「ネタニヤフ氏は8月に予算を可決することを約束しましたが、当然のこととして約束を破ったのです。彼は12月に可決すると約束しましたが、それを実行していません。彼のことをまだ信じている人はいるのでしょうか?」とガンツ氏は語った。
ガンツ氏はネタニヤフ首相に対し「国家予算を前に進めてほしい」と直接呼びかけ、そうすれば総選挙は回避できると明言した。
ガンツ氏が火曜日にテレビ番組で話した直前、ネタニヤフは、ガンツ氏に対し共に連立を維持しようと求めるビデオを公開した。
「今は選挙の時ではありません」とネタニヤフ氏は述べた。「今こそ団結する時です」と。
また、イスラエルが再度総選挙を行うことにより、ガンツ氏は巨大な政治的リスクを招くことになる。
ガンツ氏が指導者を務める「青と白」連合は、ガンツ氏がネタニヤフ氏と連立政権を樹立すると決定した際、党は分裂し、最近の一連の世論調査によると、ガンツ氏個人に対する支持率は低下している。
ガンツ氏のかつての盟友であり、一転して彼の批判者となったイエシュ・アティド党のヤイル・ラピッド氏は現在、イスラエル議会の野党指導者であり、多くの有権者からは、総選挙ではガンツ氏よりラピッド氏のほうが、より効果的な反ネタニヤフ勢力として見られるだろう。
イスラエルのウェブサイト「N12」の論説で、政治コラムニストのアミット・セガール氏は、ガンツ氏の政治的運勢が急落していると主張した。
「青と白」連合は「政府の代替品としての存在に戻ることはない」とセガール氏は語った。
「『青と白』連合にとって悪夢のような困難な選挙戦となるだろう」