
Menekse Tokyay
アンカラ:ロシアとシリア政府は、アインイーサの町に合同軍事監視所を3か所設置することで、クルド人主導のシリア民主軍と合意した。
監視所はアレッポとアルハサカを結ぶ要衝の町に設置され、この地域のトルコが統治する一帯の停戦および違反行為を監視することになっている。
アインイーサは現在、シリア民主軍の監視下にあり、場所はシリアの北東部と西部を結ぶM4高速道路沿いにある。
アインイーサは定期的に軍事攻撃を受けており、直近では、トルコ政府が支援する反政府勢力がシリア系クルド人民防衛隊(YPG)の拠点を攻撃している。トルコのエルドアン大統領は10月、この地域への新たな作戦の可能性について警告した。
しかし、イスタンブールに拠点を置くオムラン戦略研究センターの軍事アナリストであるNavvar Saban氏は、アインイーサ近郊のタル・アビヤドとラス・アルアインの町から、シリア民主軍の戦闘員を一掃するために、トルコが10月の規模の攻撃を新たに行うとは予想していなかった。
「監視所設置に関するこの合意は、単なる広報活動であり、何かが変わることはありません。トルコ政府から支援を受けている勢力がトンネルを破壊していましたが、シリア民主軍がそのトンネルを掘ることで、停戦合意に違反しているために、監視所設置の合意は前線の緊張の激しさを軽減するだけで、長期的には、その緊張関係を終わせることはありません」と、アラブニュースに語った。
トルコは、シリア民主軍が非合法のクルド労働者党(PKK)の延長上にあると見ている。
英国を拠点とする独立系シリア研究者Kyle Orton氏は、アラブニュースに次のように語った。「アインイーサはシリアのより広範な勢力関係のいずれにも影響を及ぼしません。トルコとクルド労働者党の関係同様、互いに敵対する二者の勢力間の接触に従うと予想される類の問題です」。
「シリアのクルド労働者党のロジャヴァ地域は常に、(シリア大統領バシャール)アサドとイランの制度に大きく左右され、米国が撤退をほのめかしているため、クルド労働者党は、この他の選択に傾倒するしか選択肢はほとんど残されていません」。
情報筋によると、アインイーサをアサド政権に明け渡すよう、ロシアはシリア民主軍(SDF)に要請したが、その提案はシリア系クルド人によって拒否されたという。
「ロシアにしてみれば、アサド政権が直接アインイーサを占領すれば、シリア全土でアサドの命令の回復を前進させることができたでしょう。勝利を既成事実として示すことで、国際的に政権を立て直すためと同時に、領土からクルド労働者党を排除したと主張することでトルコから友好を得るためにも、取り組むべき重要なポイントなのです」と、Orton氏は語った。
彼は、現在の選択肢がうまく機能していると指摘した。「トルコ人は、クルド労働者党と連携する米国の方がはるかに脅威であるとみなしていますが、ロシアがクルド労働者党の監視役であることについて、ほとんど懸念していません」
Orton氏は、アインイーサでの進展が、和平協議(アスタナ・プロセス)で明示された、シリアにおけるロシアとトルコの理解を脅かすことはないと付け加えた。
中東・北アフリカの研究者兼アナリストであるHalid Abdurrahman氏はアラブニュースに対し、アインイーサの統治は、鍵となるM4高速道路を支配するために戦略的に重要であると語った。
「トルコは、この地域での優位性を高めるために、アインイーサのサイダ村に軍事拠点を設置したいと考えていましたが、ロシアは、この提案に乗ることはありませんでした。その後、トルコ軍とトルコ政府が支援する反政府勢力が断続的にクルド人民防衛隊(YPG)を標的にして攻撃を開始しました」と、語った。
また、トルコがアインイーサの通過を阻止した場合、ジャジーラ地域との接触を中断しながら、コバネとマンビジュのそれぞれの町の間の供給ラインをストップすることができるだろうが、それは将来的に、この地域でのトルコの軍事行動の可能性を高めることになるだろう、とも語った。
「しかし、ロシアはアインイーサでのトルコの動きに不安を感じており、トルコ政府によるこの地域での軍事行動を防ぐために、ロシアはシリア政府軍にアインイーサを渡す方を選択するでしょう。シリア民主軍と連携して監視所を設置し、シリア系クルド人との積極的な軍事戦略に従うことは、この課題を長期にわたり長引かせるための短期的な戦略にすぎません」と、Abdurrahman氏は語った。
ロシアとクルド人民防衛隊(YPG)の民兵が非公式の合同訓練を数度実施したり、最近、地域の課題について専門家による話し合いを持ったと伝えられている。
「トルコとロシアはしばらくの間、良好な関係を築けていません。両国はイドリブでの動きについて、緊張した関係にあり、クルド人主導のシリア民主軍とのロシアとの共同作戦は明らかに、トルコ政府に不満を抱かせることになるでしょう」と、Abdurrahman氏は付け加えた。