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イラン支援のイラク指導者らが「ロードマップ」に合意

反政府デモでは、治安部隊が実弾と催涙弾を発射するなか炎が上がった。イラク・バグダッドの国営テレビ局付近にて=2019年11月4日月曜日(AP通信)
反政府デモでは、治安部隊が実弾と催涙弾を発射するなか炎が上がった。イラク・バグダッドの国営テレビ局付近にて=2019年11月4日月曜日(AP通信)
06 Nov 2019 04:11:25 GMT9
  • アブドルマハディ政権の上級政府職員の人事を大幅に刷新する案が浮上している

スアダッド・アル=サリ

バグダッド:イラクの政治家らが、デモ参加者の要求に応じて目下の危機の打開を図るための「ロードマップ」に合意した。アディル・アブドルマハディ首相の有力な支持者らが月曜、アラブニュースに語った。

同首相の行政・軍事チームの刷新、閣僚の半数以上を対象とする内閣改造、そして選挙法と選挙管理委員会メンバーの入れ替えが提案の柱であると交渉担当者は述べた。

10月1日以降、バグダットとシーア派が支配する南部の9つの県では、汚職、失業、基礎的社会サービスの不足を巡り、大規模なデモが発生している。

これまでに250人以上のデモ参加者が死亡し、1万1000人以上が負傷しているが、死傷者の多くは、アブドルマハディ首相とその支持者が、バグダッドで暴力的な取締りを行った際に生じたものだ。

2003年以来最大規模となっている一連のデモには、初めてシーア派住民が参加し、同じシーア派が大多数を占める政府に対して抗議を行っている。

デモ参加者の死亡や逮捕を受けて2週間停止していたデモは、先週金曜日に勢力を増やして再開され、アブドルマハディ首相の退陣と早期の議会選挙に加え、それに先立つ選挙法の改正が新たに要求に盛り込まれた。

過去数週間にわたる緊迫した会合の末、イランの支援を受けた政治勢力が、デモ参加者を沈静化すると共に、ナジャフの最高宗教権威を満足させるため、要求への全面的な支持を宣言する一連の決議に合意した。

ロードマップ案には、上級政府職員の人事の大幅な刷新が盛り込まれているが、早期の選挙実施やアブドルマハディ首相の退陣については触れておらず、選択肢としても決議としても検討されていない。

「アデル(アブドルマハディ首相)は一週間でも首相を続投するのに適格でないことを確信していますが … いま辞任や退陣をすることは許容できません」と、政権への有力な支持者がアラブニュースに語る。

「今は首相を続投させることが必須だと考えています。もし退陣すれば、首相を半年に一度交代させることになるからです」

「早期の選挙実施への合意については、スンニ派やクルド人にも関与してもらう必要があり、一筋縄では行きません。すぐに達成するのは困難です」

ムハンマド・アルハシェミ首相府長官をスケープゴートにする案は、アブドルマハディ首相が抱えるチームにも影響を与える最も重要な変化だ。

「アブ・ジハード氏(アルハシェミ長官)が実質的な首相であり、政府が今日までにもたらした破壊の半分が同氏の責任であることは、周知の事実です」と情報筋がアラブニュースに語る。

「アブ・ジハード氏が首相府長官を辞任すれば、全てが解決します」

「ブルドーザー」の異名を持つアルハシェミ長官は、イラク・イスラム革命最高評議会の有力な指導者であり、また事務局長として、シーア派指導者の故アブドゥル・アズィーズ・ハキーム氏に仕えていた。ハキーム氏はサダム・フセイン政権の時代、イラク反体制派の最も有力な指導者であった。

親イラン派のAl-Binna’a Allianceで交渉責任者を務めるアルハシェミ長官は、アブドルマハディ首相を内閣入りさせた功績を持つ。政党連合として2番目の規模を持つAl-Binna’a Allianceは、2018年に同首相を指名して政権を樹立している。

「アブドルマハディ首相は疲労困憊で、首相のチームは大混乱に陥っています。さらに、イラン人から全面的な支持と信任を得ている『アブ・ジハード氏』には、権力を拡大させる道が開かれています」

土曜夜、イラク・シーア派の宗教指導者であるアリー・スィースターニー師の代理人との会合を終え、ナジャフから帰ってきた交渉責任者らがアラブニュースに語ったところによると、イラン革命防衛隊司令官を務め野戦指揮官としてイラクを担当するガーセム・ソレイマーニー将軍が示した提案には、アルハシェミ長官やその他アブドルマハディ内閣の高官を退陣させる内容が含まれているという。大アヤトラの称号を持つアリー・スィースターニー師は、イラクで最も大きな影響力を持つ聖職者であり、2003年以来、政治プロセスの第一人者と目されてきた。

ソレイマーニー将軍の計画には、一連の重要な新法や法改正に加え、内閣改造も盛り込まれている。

「時間との勝負です。状況は切迫しており、国民をなだめて、アリー・スィースターニー師を満足させるために合意した内容を実行に移すまで、1〜2週間も残っていません」とアブドルマハディ首相の政治的支持者がアラブニュースに語る。

「シーア派の内紛問題を取り除くことが優先課題でしたが、ムクタダー・アッ=サドル師がコムに帰郷し、アリー・スィースターニー師の介入がある今、その脅威は過ぎ去りました」

シーア派の政治勢力と武装組織の大部分に対して絶大な影響力を持つソレイマーニー将軍は、火曜日にバグダッドに到着しており、スィースターニー師と、イランの最高宗教指導者、アヤトラ・ハメネイ師との「緊張を緩和」するため、スィースターニー師との会談を求めている。

「緊張は緩和へ向かっています。スィースターニー師は計画を承認する寸前でしたが、同師はデモ参加者にも米軍にも残ってほしいと考えており、今後もデモは続くでしょう。しかし、何らかの協定は結ばれると思います」

シーア派聖職者として影響力を持つアッ=サドル師は、最大勢力の政党連合に加え、最大規模の武装組織を抱えており、数百万人もの支持者を集めている。同師は2週間前、デモ参加者の要求を完全に受け入れることを発表し、いかなる脅威からもデモ参加者を保護することを誓っている。

アッ=サドル師のイラク南部における拠点、アマラとジーカールの両県で実施されたデモでは、デモ参加者と武装組織との間で流血を伴う衝突が繰り広げられた。武装組織には、最も強大なシーア派集団である、バドル組織とアサイブ・アフル・アル=ハクが含まれていた。

ナジャフを後にしたソレイマーニー将軍は、アッ=サドル師と会談し、イランのコムに帰るよう同氏に求めていた。同氏は、自身の支持者がデモ参加者に対して暴行を働いたことで、イラン当局から要請を受け、1週間前にコムへ向け出発している。

「サドル師は流血を望んでいたので、現場から居なくなってもらう必要がありました」とシーア派情報筋がアラブニュースに語る。

アッ=サドル師のある上級側近は、匿名を条件にアラブニュースにこう語った。「アッ=サドル師とソレイマーニー将軍との会談や、両者間の合意についてあれこれ言われていることは、全て事実と異なります。アッ=サドル師は、たとえどこに居ようと、イラクや自身が信じるものを売り渡すことはしません」

一方で、スィースターニー師はイラクで改革の実施手順を監視することになっている。「しかし、アブドルマハディ首相やその支持者への影響力を弱めることはないでしょう」と情報筋はアラブニュースに話す。

「アリー・スィースターニー師は、憲法に従って今の状況を改められる措置を支持します。今、アブドルマハディ首相と弱体な政権をそのままにしておけば、デモ参加者の要求は数週間で通るでしょう。首相の支持者はなんとしても首相を守りたいからです。そうすればより多くの譲歩を勝ち取れるでしょう」

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