
エフレム・コッサイフィ
ニューヨーク:国連の人権監視機関が、12月4日にウェストバンク地区で起きた15歳のパレスチナ青年アリ・アイマン・アブ・アリヤの殺害事件に関し、独立した調査を要求している。青年は、イスラエル入植地の建設に反対するパレスチナ青年グループによるアルムガイルでの抗議運動中に、イスラエルの治安部隊によって射殺された。
国連人権事務所によれば、その青年はイスラエル兵士らに向かって石を投げたところ、彼らがゴム皮膜の鉄製小弾丸や催涙ガス、それに実弾で応酬したという。
パレスチナ領土内の人権問題に関する国連特別報道官マイケル・リンクと、裁判対象外、略式、あるいは任意の処刑に関する特別報道官アグネス・カラマードは、「近年起きているパレスチナ青年たちの殺害に関する責任追及の欠如は、極めて憂慮される」と共同声明を出した。
さらに彼らはこう述べている:「イスラエル防衛軍によるアリ・アイマン・アブ・アリヤの殺害事件は、当時イスラエルの治安部隊に対して生命の危険や重大な怪我が危ぶまれるような状況があったわけではなく、国際法に大きく反するものである。
「意図的な致死力行使は、治安担当者がその場で生命や重大な怪我の危険に直面している場合にのみ正当化される」
アブ・アリヤは腹に銃弾を受け、同日の夜病院で死亡が確認された。彼は治安部隊に よって殺害された今年6人目の青年 だ。2019年11月1日から2020年10月31日までの間に、千人以上のパレスチナ青少年が死傷している。
「国際法のもとでは、子供達は特別庇護権を有する」リンクとカラマードは言う。「こうした殺害のそれぞれの事件が、占有者としてイスラエルが遵守すべき厳粛なる人権と人道法の定める義務について、深刻な懸念をもたらしている」
イスラエルの治安部隊は、アブ・アリヤ殺害に関する調査を行う予定だと言っている。しかし同国連報道官らは、パレスチナ人の射殺事件に関するそうした内部調査は、ほとんどの場合が何の重大な責任追及にも繋がっていないと言う。
2013年以降パレスチナ青少年がイスラエル兵士によって実弾または群衆制御兵器で殺害された155の事件について、市民組織が文書化している。それらの内たった3件しか刑事起訴されておらず、それらについても後日取り下げられている。
「イスラエルの治安部隊によるこれほど多くの青少年の殺害事件に関して、かくも低レベルの法的責任追及の現状をみると、同国は法の支配のもとに生きると宣言するような資格はない」リンクとカラマードはそう語る。
彼らはイスラエル政府に対し、国際水準に見合った公正かつ透明な方法でこの人権に関する文書記録を調査し、「占領下に生きる青少年が抗議運動を行う合法的権利を行使する際に、今後一切生命や怪我の危機に直面することがないよう、また軍部の職権濫用に目をつぶるような文化を廃止するよう」要請した。