ワシントン:米国務省は24日、トランプ大統領が今月に西サハラでのモロッコの主権を承認したことを受け、西サハラに米領事館を設置する手続きを開始したと発表した。
米政府は長く続けてきた方針を転換し、西サハラでのモロッコの主権を承認した。西サハラは、モロッコが、アルジェリアが支援する独立派武装組織「ポリサリオ戦線」と、領有権を巡り数十年にわたって対立紛争を続けてきた砂漠地帯だ。
主権承認は、米国の仲介によるイスラエルとアラブ諸国との国交正常化の一環。イスラエルとの国交を正常化したのは、アラブ首長国連邦、バーレーン、スーダンに次いで、モロッコが過去4カ月で4カ国目となった。
ポンペオ米国務長官は声明で、「西サハラの経済と社会の発展を促進するため、即日で西サハラに関する業務をオンラインで開始し、その後、早期に設置する領事館に全業務を移行する」と述べた。
「当面はラバトにある米大使館がオンラインで西サハラに関する業務を行う」とポンペオ氏は述べ、米政府は、モロッコによる自治計画の枠組みの中で、モロッコとポリサリオ戦線との間にある問題の解決に向けた政治的交渉を支援し続けると付け加えた。
西サハラでのモロッコの主権の承認は、アラブによるイスラエルの承認を勝ち取るために、米国がこれまでに行ってきた政策譲歩のなかで最大のものだ。
米国による一連の国交正常化の仲介は、中東で影響力を拡大するイランへの包囲網を強化する狙いのためでもある。
1月20日にトランプ氏から政権を引き継ぐバイデン氏は、他の西側諸国とは一線を画する、米国の西サハラに関する取引を受け入れるかどうかの決定に迫られる。西側諸国と国連は一貫して、紛争を住民投票によって解決することを求めてきた。
ロイター