
アラブニュース
ロンドン: 英国レディングでテロ攻撃を実行した容疑者はリビア出身で、母国でテロ組織に属して戦っていた事実を難民申請の際に隠していたことが裁判で明らかになった。
カイリ・サアダラ容疑者はリビア内戦でアンサール・アル・シャリーアという組織の戦闘員として戦った。同組織は後に英国とその他の多くの西洋諸国によりテロ組織として活動を禁止されている。
26歳のサアダラ容疑者は暴力、犯罪行為により何度も英国で服役しており、2020年6月、釈放の前日に英国からの強制退去が決定したことを知ったという。
2週間後、サアダラ容疑者はフォーブリー・ガーデンズで交流を楽しんでいた3人を刃物で刺し、殺害した。犯行の際には、「アラフ・アクバル!」と叫んでいた。
検察は膨大な証拠を示しサアダラ容疑者は「イスラム過激主義的思想」を持つと主張したが、本人は殺害の背後にテロ行為としての動機があったことを否定していた。
公判の初日、アリソン・モーガン・QC検察官は「被告は今回の攻撃を実行することが自身の過激派思想の追求につながると考えていた――かなりの期間、その思想に傾倒していたことが窺える。つまり、被告は事件当日、可能な限りの人数を殺害することで宗教的な聖戦を戦っていると信じていたのだ」と、発言している。
2012年、サアダラ容疑者は英国に到着した際、内務省の職員に内戦中は負傷した民間人の手当をしていたと語り、さらに、拷問を行うようにと求められた時点でテロ組織から脱走したと主張した。
だが、モーガン検察官はサアダラ容疑者が使用していた電子機器から得られた情報はこの主張に反するものだとして、略式の軍服を着て武器を持ってポーズを決める容疑者の写真を示した。
昨年のレディングでのテロ攻撃後、サアダラ容疑者はアンサール・アル・シャリーアのメンバーだったことを心理学者に認め、同組織の戦闘員といて8ヶ月間戦ったと語り、フランス軍に訓練を受けたと主張した。
6月4日、何度目かの有罪判決後に服役していたサアダラ容疑者は内務省が「公共の利益」につながるとして彼の強制退去を決定したことを知らされた。
だが、リビアで続く紛争のため、英国は母国でのサアダラ容疑者の安全を保障することができず、サアダラ容疑者は精神科での治療を義務付けられ、厳しい条件のもと釈放された。
釈放後、サアダラ容疑者はインターネットでリビア内戦の残虐行為の記録などを検索し、保護観察官や精神科医との面会予定を無視し、大きな包丁を購入した。
公判では犯行時の様子を収めた動画が流され、そこには被害者に一気に駆け寄り後ろから刺すサアダラ容疑者の姿が映っていた。
「検察は今回の犯行を冷酷で殺意が明確であると主張する」と、モーガン検察官は発言した。「被告はジョゼフ・リッチー=ベネット、デヴィッド・ウェイルズ、ジェームズ・ファーロングの3名を殺害し、犯行は非常に素早く正確に行われた。被害者は何が起こっているか気づく間も、反応し、身を守ろうとする暇もなかったのだ」
裁判官は近日中にサアダラ容疑者の犯行に宗教的、政治的、思想的動機があったか、彼の精神状態がどの程度犯行に影響したかを決定することになっている。公判は継続して行われる。