• ドイツの国内諜報機関BfVは、ここしばらくドイツにおけるSETA の活動を調査している。先月BfVは、トルコ政府がドイツにおける自国の課題をめぐって推し進めているプロパガンダに対し、SETAを非難する報告書を発表した

アラブニュース

アンカラ：ドイツは、トルコのシンクタンクがレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の政党のためにヨーロッパで政府プロパガンダを拡散している事について非難した。

政治経済社会調査基金（SETA）は2017年にベルリンに開設された。

SETAはエルドアン大統領の義理の息子で元財務大臣のベラト・アルバイラク氏から資金供給を受けていると言われており、ブリュッセルとワシントンDCにも事務所を置く。

ドイツ議会はSETAが科学調査活動と称して情報収集およびトルコ政府側の見解の拡散を　行っていると非難した。

連邦政府によると、SETA の目的はドイツの世論に影響を与えて、ドイツの選挙における候補者の指名をはじめ、様々な手段を用いてトルコに関する政治論争の枠組みを作り上げる事を目的としているという。BfVはドイツ自由民主党（FDP）からの国会要請を受けて行動していた。

 FDP のシュテファン・トマエ議員は、トルコがドイツにおける外交上の発言力を確立しようとしている動きに対して、ドイツは我慢の限界を超え、トルコに対して慎重なアプローチするのをやめることにしたと述べている事をドイチェ・ヴェレが報道している。

「SETA がトルコ政府の諜報ゲームの一端を担っている事がこのところ明らかとなってきた」とニューヨークに拠点を置く外交問題評議会の上級研究員スティーブン・A・クック氏はツイートしている。「SETA が本物の調査組織でない事はワシントンDCではほとんどの人間が知っている」

SETAは2019年に二つのレポートを発表して国際コミュニティから一斉に非難を受けて　　いる。

一つはトルコの国際ニュース発信元の記者たちを一覧表にしたもので、もう一つはヨーロッパの武装軍団クルディスタン労働者党（PKK）の組織構造について報道し、彼らがヨーロッパ大陸の白人至上主義者たちと手を組んでいると記述したものだ。

報道の自由を訴えるグループらはSETA のメディア報道について、ジャーナリストの扱いに関する危険な行き過ぎであると糾弾し、「大衆の憎悪と敵対心の扇動」の他、一連の嫌疑についてSETAの レポートに対する刑事告訴を提訴した。

そのレポートは、アラブニュースなどの国際メディアで働くトルコ人ジャーナリストのソーシャルメディア共有と個人的背景を書き出しており、それによって彼らは政府の容易な標的となった。

ドイツの国内諜報機関BfVはここしばらくドイツにおけるSETA の活動を調査している。先月BfVは、トルコ政府がドイツにおける自国の課題をめぐって推し進めているプロパガンダに対し、SETAを非難する報告書を発表した。

「米国当局もSETA のワシントンDC事務所を起訴すべきだ。このプロパガンダ基地は長い間米国におけるエルドアニズムの主要な広告塔となっている」と米国海兵隊指揮幕僚大学の国家安保研究准教授を務めるシナン・シディ氏がツイートとしている。

トルコの野党によるSETAの財源および活動に関する国会審問要求は2019年にアンカラで却下された。

SETAは、トルコの他のシンクタンクとは異なり、2013年以降税金の支払いを免除されて　いる。

トルコの大統領コミュニケーション部長ファフレッティン・アルトゥン氏と大統領主任広報担当官イブライム・カリン氏はかつてSETAに勤めていた。

SETAはドイツ政府からの苦情に関する公式声明をまだ出していない。