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病院への攻撃: イスラエルからパレスチナへのラマダンの贈り物

イスラム世界がラマダンの到来を祝っていた22日に、イスラエル軍は占領地ヨルダン川西岸地区への大規模な襲撃作戦を開始し、パレスチナ人28人を逮捕した。(ロイター/資料写真)
イスラム世界がラマダンの到来を祝っていた22日に、イスラエル軍は占領地ヨルダン川西岸地区への大規模な襲撃作戦を開始し、パレスチナ人28人を逮捕した。(ロイター/資料写真)
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23 Mar 2023 01:03:40 GMT9
23 Mar 2023 01:03:40 GMT9
  • パレスチナ保健相は人権機関や赤十字国際委員会に対し、イスラエルが攻撃を激化させていることに緊急に対処するよう求めた
  • イスラエル軍がラマッラーの病院に催涙ガス弾を集中的に投げた。保育器に入った新生児を含む数十人の患者が影響を受けた

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:イスラム世界がラマダンの到来を祝っていた22日に、イスラエル軍は占領地ヨルダン川西岸地区への大規模な襲撃作戦を開始し、パレスチナ人28人を逮捕した。

同日、イスラエル軍はその前に、ラマッラーの病院に催涙ガス弾を集中的に投げた。保育器に入った新生児を含む数十人の患者や医療従事者が影響を受け、数人の患者が急性胸痛を訴えた。

パレスチナのマイ・カイラ保健相は人権機関や赤十字国際委員会に対し、イスラエルが医療センターや患者、救急隊員への攻撃を激化させていることに緊急に対処するよう求めた。

同省は声明で「今年に入ってから、さまざまな地区の治療センターに対する計画的な直接攻撃の事例が数十件記録されている」と発表した。

救急車が狙われ、救急隊員は負傷者の所に行って治療することができなくなり、その結果、治療センターの中にいた患者や、都市と医療センターの間を移動していた患者数十人が負傷した、と同省は補足した。

病気の子供を持つ母親はこう話した。「占領軍が病院に向けて発射した強い有毒ガスのせいで、私たちは一晩中眠れませんでした。息子は今もその影響で苦しんでいます。その臭いは今でも病棟内に残っていて、看護師の仕事の妨げになっています」

患者の一人は「ガスの臭いで目が覚め、息切れと胸の痛みを感じました」と話した。

目撃者によると、最も影響を受けているのは心臓外科、蘇生科、小児科だという。

話は変わるが、2000人の囚人が、ラマダンの初日に当たる23日にハンガーストライキを行う予定だ。イタマル・ベングビール国家治安相が提言しイスラエル政府が発表した抑圧的な措置への抗議だ。

刑務所当局は、ラマダンに合わせてゼネストを始めようとしている囚人には懲罰的な措置を取ると脅している。

「刑務所管理局の命令により、ハンストをしている囚人は懲戒される。刑務所管理局は騒動や規律違反を許さず、いかなる脅威にもきちんと、毅然として対処する」と声明には書かれていた。

2月14日以降、囚人らは抗議している。ベングビール氏の指示により、刑務所管理局が厳しい措置を実施すると発表した後だ。給水制限、シャワーの時間の短縮、トイレの施錠、堅くなったパンを囚人の食事として提供するといった措置だ。

一部の刑務所では、管理局がスタングレネードや警察犬を使った取り締まりを倍増させた。
囚人らは1970年以降、組織的なストライキを26回以上行い、拘留中の状況を変えることに成功した。

1月末の時点で、占領軍の刑務所に収容されている囚人の数は4780人に達している。女性囚人29人、子供160人が含まれている。

パレスチナ解放機構執行委員会のフセイン・シェイク委員長はイスラエル政府に対し、国際条約を無視したひどい生活状況の中で、囚人に嫌がらせをしたり、措置を段階的に拡大したりするのをやめるよう求めた。

ツイッターで、シェイク氏は国際機関に対し、直ちに介入するよう呼びかけた。

パレスチナ大統領府のナビル・アブ・ルデイネ報道官は「ファシストで過激主義者であるベングビール氏が主導している、パレスチナの勇敢な囚人に対する、イスラエルの組織的なエスカレーションは深刻な影響を及ぼすだろう」と述べた。

国連安保理や国連人権理事会を含む国際社会は「直ちに介入し、パレスチナの囚人に対するこれらの犯罪を止めなければならない。手遅れになる前に」とルデイネ氏は付け加えた。

同氏によると、マフムード・アッバース大統領は、パレスチナの囚人やパレスチナ人に対するイスラエルの攻撃を止めるために、国際的な関係者全員と常に連絡を取っているという。

ルデイネ氏はさらに「過激主義のイスラエル政府は、この意図的なエスカレーションを通じて、緊張を緩和しようとする国際努力を打ち砕こうとしている」と述べた。

22日夜、囚人の代表と刑務所管理局が会議を開いた。ラマダン初日からの無期限ハンストを回避するために合意に達しようとする最後の試みだ。本稿執筆時点では合意に至ったかどうかは不明だ。

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