
アンマン:ヨルダンの首都アンマンにある閉鎖された学校の門の前をとぼとぼと通り過ぎて行く時、オマールの心は沈む。これは今では、灯油ヒーターの修理と清掃をする仕事へと向かう通勤の一部だ。
パイロットになることを夢見る14歳の彼は、多くの青少年の専門家曰く、幼くして労働市場に追いやられた子の1人だ。
ヨルダン全土の学校は1年近く閉鎖されており、新型コロナウイルスのパンデミックによる経済的な影響は、家族を養う一家の大黒柱の力を蝕んでいる。
「学校が閉鎖されているので、僕が経済的に家族を助けている」と、セーターと汚れたジーンズを着て、黒ずんだ手でヒーターを掃除しつつ、セーターと汚れたジーンズを見せながらオマールが語った。
彼は作業場で1日12時間くたくたになるまで働き、シャワーを浴びてさっと夕飯を食べてからベッドに倒れ込む。
全体的に、仕事は「嫌にならない」と彼は語った。
「耐えられないのは、灯油の臭いだ…消えないからね」。
彼の日当は3ディナール(約4.25ドル)で、月130ディナールの家賃の支払いに役立てている。
日雇い労働者の父親が、コロナウイルスの不況で仕事を見つけるのに苦労しているため、彼の貢献は不可欠だ。
しかし、オマールは希望を捨てておらず、できるだけ早く学校に戻ることを決心したと語った。
「自分の勉強を続けたい」、そして最終的にはパイロットになりたい、と彼は語った。「コロナウイルスに夢を壊されたくない」。
教育省は、来月から幼稚園と一部の小学校と高校の最終学年の生徒の授業を再開すると発表した。
それ以外の生徒は3月まで待たなければならない。
国連児童機関のユニセフは、正確な統計はないものの、パンデミックが始まって以来、多くのヨルダンの子どもたちが、16歳以下の子どもの雇用が禁止されているにも関わらず、不安定な仕事に就かざるを得ない状況に追い込まれていると考えていると語った。
2016年に公開された最新の公式集計によると、ヨルダンでは既に約7万6000人の子どもたちが働いていた。
「子どもたちの様子を見て、人々と話をしていると、その数が増えていることを懸念しています」と、ユニセフのヨルダン代表タニヤ・チャピィサットが語った。「これは当然のことのように思えます…」。コロナウイルスの危機の中で「貧困のレベルが高まっているからです」と、彼女は付け加えた。
ヨルダンの公式の貧困率は、昨年秋に15.7%だったが、世界銀行は、「短期間」で11%ポイント増加するだろうと警鐘を鳴らしている。
専門家らは、児童労働率がさらに高くなることを危惧している。
「児童労働は劇的に増えると見込んでいます」と、ヨルダン・レイバー・ウォッチのアフマド・アワドが語った。
彼は、貧困の増加とパンデミックがヨルダンの教育システムに与える悪影響の両方が、この傾向の推進要因であると指摘した。
AFP通信