
トリポリ:外国の軍隊は、国連が支援した停戦協定の下、23日に予定されていた、リビアからの撤退期限を無視した。10年に及ぶ紛争後の和平努力の脆弱性が強調された。
前線の港湾都市シルテの近くにある、「ロシアの傭兵」によって掘られた、数十キロメートルの塹壕が、CNNが放送した衛星画像に映っている。主要国であるトルコとモスクワは、どのような最終的解決になろうとも、自国の利益を守ろうと企んでいるようだ。
米国のニュース・ネットワークが引用した米国の諜報部の当局者は匿名で、「トルコ軍とロシア軍のどちらにも、国連が仲介した合意を順守する意思や動きはない」と話した。
「このことにより、既に脆弱な和平プロセスや停戦が妨げられる可能性がある。非常に難しい1年になるだろう」とその当局者は述べた。
国連のアントニオ・グテレス事務総長は18日、全ての「地域の当事者と国際的な当事者」に対し、全ての外国軍と傭兵は3カ月以内に撤退すると書かれた、10月23日の停戦協定の「条項を尊重する」よう要請した。
その期限は23日に切れたが、現地では何の動きも発表・観察されなかった。
リビアにはまだ外国の軍隊と傭兵が約2万人おり、敵対勢力や、国連が承認したトリポリの国民合意政府、東部の軍の有力者ハリファ・ハフタル氏を支援している、と国連は推定している。国民合意政府はトルコから軍事支援を受けており、ハフタル氏はロシアから支援を受けている。
グテーレス氏は全ての当事者に「遅滞なく」停戦条項を実施するよう呼び掛けた。「外国人戦闘員および傭兵全員を確実にリビアから出国させ、安保理の武器禁輸を完全かつ無条件に尊重することを含む」と同氏は指摘した。これらの条項は、2011年に長年の支配者ムアマル・カダフィ大佐を追放し殺害した、NATOが支援した蜂起が起きた頃から定められている。
トリポリ大学のKhaled Al-Montasser教授(国際関係学)は、撤退するかどうか、外国の干渉が終わるかどうかは、リビア国民ではなく外国勢力次第だと述べた。
トルコは22日、国連が支援した、リビアの敵対勢力の協議で、12月に選挙が行われるまでリビアを統治する暫定の行政機関を設立するという合意に達したことを歓迎した。
トルコは、軍事顧問や物資、傭兵を使って国民合意政府を支援し、ハフタル軍のトリポリへの進軍を阻止している。また、2019年の軍事協定に基づき、チュニジアとの国境沿いにあるワティヤに軍事基地を置いている。
昨年12月、トルコ議会は、トルコ軍をリビアへ派遣する許可を18カ月延長したが、これは明らかに停戦合意を無視している。
「傭兵を手配した国が、新たな移行期における自国の利益を保証されない限り、傭兵がリビアから去ることはなさそうだ」とMontasser氏は、国連が支援する、現在進行中の協議の複数のトラックに言及して述べた。
「彼らがいるうちは、軍事衝突がいつ起きてもおかしくない。現在の落ち着いた状況は不確実なようだ」と同氏は述べた。
外国の軍隊のほとんどは、シルテ周辺、トリポリから南に500キロの、ハフタル軍が保有するジュフラ空軍基地、さらに西のワティヤに集中している。
AFP