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新しいアメリカの厳しい反エルドアン路線を巡ってトルコ政府に警戒の鐘

このファイルフォトは2020年11月24日に撮られたもので、アメリカ合衆国大統領候補ジョー・バイデンがデラウェア州ウィルミントンで開かれた内閣告示イベントで演説する一方、指名を受けた国家安全保障アドバイザーのジェイク・サリヴァンもイベントに参加している。 (AFP)
このファイルフォトは2020年11月24日に撮られたもので、アメリカ合衆国大統領候補ジョー・バイデンがデラウェア州ウィルミントンで開かれた内閣告示イベントで演説する一方、指名を受けた国家安全保障アドバイザーのジェイク・サリヴァンもイベントに参加している。 (AFP)
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31 Jan 2021 02:01:29 GMT9
31 Jan 2021 02:01:29 GMT9
  • バイデンの国家安全保障アドバイザーがトルコを地政学上アメリカのNo.1の敵、中国に結び付ける

アラブニュース

アンカラ: アメリカ政府がトルコのエルドアン政権に対して厳しい新路線を敷いたことでアンカラに警戒の鐘が鳴り響いた、と分析家がアラブニュースに語った。

トルコは西欧世界に対して魅力攻勢に乗り出しているが、アメリカの政策決定者たちは伝統的に同盟国だった両国間の「戦略的パートナーシップ」をますます疑問視しつつある。

アメリカ大統領ジョー・バイデンの国家安全保障アドバイザーであるジェイク・サリヴァン氏と、欧州委員会委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエンの内閣官房長官を務めるビョルン・サイベルト氏との間で行われた会談で、両者が「中国とトルコを含む互いに憂慮している問題に関し、協働することに同意した」、とホワイトハウスは述べた。

トルコをアメリカの主要な地政学的な敵である中国に繋げたことは新しいバイデン政権と親密な関係を築きたいというレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の希望にとっては打撃である。アメリカはすでにトルコがロシアからS-400ミサイル防衛システムを購入して物議を醸していることに対して制裁を課している。それに石油を求めてギリシャの領海に侵入したことを含め、東地中海域で見せているエルドアンの冒険主義に関してアメリカはEU側につく可能性が今では大きい。

同日国連にてアメリカ政府はリビアからのトルコ軍とロシア軍の「即時撤退」を求めた。これは昨年10月に国連支援で調印にこぎつけた停戦合意に沿ったものであり、トルコに三か月以内に軍を撤退させるように要求したものだった。期限は1月23日で終了した。

リビアに関する安全保障理事間の会合で、アメリカの国連臨時大使であるリチャード・ミルズ氏は「彼らが雇い、資金を出し、展開させ、援助した外国人傭兵と軍事代理人たちを撤退させること」を要求した。

トルコ海軍の戦艦一隻が2019年7月にキプロス島の近くを東地中海に向けて航行する掘削船「ファティ」の横で警戒にあたる。(AFP ファイルフォト)

オックスフォード大学で中東分析官を務めるサミュエル・ラマーニ氏は、バイデン政権がトルコに対して首尾一貫した政策を押し進めようと苦闘しているように見える、と語った。

「一方でアメリカは東地中海の紛争を段階的に緩和したいと思っていて、サウジアラビアと、またそれより低い程度でUAEが、トルコとの緊張を和らげる努力をしていることをおそらくは歓迎している」と彼は言う。

「しかしもう一方で、アメリカは地域の安定にトルコが脅威を与えていることに対してギリシャとフランスの側に立っていて、この二つの国をこの問題に巻き込もうと試みている」

これらの矛盾したメッセージは封じ込めを望んでいる者とトルコとの和解を提唱する者との間で二股をかけていたいというバイデンの願望の結果である、とラマーニ氏は語る。バイデンはまたトルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンのシリア政策にトランプが寛容な立場を取ったことに反対した民主党を宥めたい気持ちもある。

「アメリカはエルドアン側の不必要な戦況拡大を避けるためにもトルコに対する立場をできるだけ早く明らかにする必要がある」と彼は加えて語った。

ロシアの軍用輸送機がアンカラの北西部にあるムルテッド軍事飛行場にてS-400ミサイル防衛システムを搬出するところ。2019年8月27日。(ファイルフォト?AFP経由のトルコ国防省)

物議を醸したトルコによるロシア製S-400ミサイル防衛システムの購入と、東地中海の資源に対するトルコの要求はEUとアメリカ政府が共有する重要な懸念のうちの二つだ。

サリヴァン氏とサイベルト氏が会談したのと同じ日、トルコが持つ最高国家安全保障組織である国家安全保障評議会はトルコが東地中海、エーゲ海、キプロスへの自らの権利を主張し続けると宣言した。

「エーゲ海、東地中海、キプロス問題を解決するにあたってトルコはすべてのプラットフォームにおいて主として外交と対話を支持すると再び強調されたが、国際法と国際合意に由来する自国の権利、妥当性、利害についてはこれらを断固として保持することも強調された」と公式の声明は述べている。

イスタンブールにあるスウェーデン研究所所属でトルコの専門家であるマシュー・ゴールドマン氏はバイデン政権がトルコ政府と交渉する際に、比較的厳しい態度を採用するのを恐れないと信じる、と語った。

「ただ国家安全保障アドバイザーが中国とトルコを同じグループに入れたのは、緊迫したトルコとの関係にあるEUをアメリカが支援するのはある程度まではアメリカ人が中国と交渉するのをEUがすすんで支援してくれることを条件とする、と彼らが知らせたいからである」と彼は述べる。

ゴールドマン氏は言う、東地中海やその他の場所での緊張を鑑みてトルコがEUにとっての大きな頭痛の種になっているが、その一方でEU諸国は中国を脅威というよりも経済的な好機と見る傾向にある、と。

「それにアメリカがトルコの最近の動きに憂慮しているとはいっても、その主要な安全保障上の焦点は中国である」と彼は続けた。「バイデン政権は12月にEUがすすんで中国との大きな投資協定に調印したことに憤慨した。それはちょうどバイデンが大統領になる直前で、バイデン側はヨーロッパ人たちが調印する代わりに待ったをかけて、新しいアメリカの政権に相談してくれることを望んでいた」

バイデンのチームはトランプ政権が原因でヒビが入ったヨーロッパとの関係を修復したいと望んでいるが、そのことでなんらかの伝統的なギブアンドテイクを前もって除外することにはならないだろう、とゴールドマン氏は予測した。

「アメリカの国務長官アントニー・ブリンケン、サリヴァン、その他のバイデンチームの者は大西洋を挟んだ同盟関係が強固だと示すのに熱心になるだろうが、もしEUが中国に関して彼らともっと緊密に連携してくれるなら、その代わりにトルコが与える試練にEUが対応する際にはもっと敏感に反応する、ということをも彼らは示したいのかもしれない」と彼は付け加えた。

先週開かれた上院外交委員会の指名承認公聴会で、ブリンケンは仲間であるNATOメンバー国トルコを同盟国のように振舞わなかったという理由で非難した。S-400システムを購入した件に関してはトルコ政府にさらなる制裁の可能性をアメリカ政府が再検討する、と彼は述べた。

12月、アメリカは対敵対者制裁措置法を通してトルコに制裁を課した。それはロシアと軍事協定を結んだ国を罰するためであり、これ以上のクレムリンとの浮気を思いとどまらせるためである。アメリカ政府はトルコの地にS-400が存在することを自国のF-35ジェット戦闘機とNATO防衛システム一般に対する脅威であると考えている。

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