
チャーリー・ピーターズ
ロンドン:セーブ・ザ・チルドレンによると、2020年初頭以降ウェストバンクの840軒以上の家屋がイスラエル当局によって取り壊されており、500人以上の子供たちが住む家を失っているという。この数は過去4年間で最大となっている。
「取り壊しによって子供たちの生活があらゆる面で大きく支障をきたしている」と同団体は言う。「彼らの家は完全に壊滅し、水道や衛生施設などの必須のインフラストラクチャが破壊され、学校は常に取り壊しの危機にさらされている」
昨年4月、イスラエルの高官らは報道記者に対し、ウェストバンクのC地区における取り壊しはコロナウィルスのパンデミックのため中止されると述べていた。しかしその約束にもかかわらず、取り壊しは続けられた。
10月1日にも同様の発表があり、イスラエルの高官らは東エルサレムの建物の取り壊しを中断すると述べていた。しかし11月には5人家族の住む家が取り壊されて いる。
農業関係のインフラストラクチャと家屋以外にも、イスラエルの民生局は学校施設まで視野に入れている。
先日ヘブロンのウム・クサ校が、取り壊しに抗議するために97時間の猶予が与えられた。今後の行方はわかっていない。
「現在行われている取り壊しによって、子供たちやその家族が住む家を失っており、 ウェストバンクの必須のインフラストラクチャが使い物にならなくなっている」とジェイソン・リー氏がアラブニュースに語った。彼は占領下のパレスチナ自治区における セーブ・ザ・チルドレンの国担当ディレクターを務める。
「最も痛手を受けているのが子供たちだ。家屋、学校、その他の必須インフラの取り壊しによって、しかもこのパンデミックの中で、子供たちの教育を受ける権利も住む場所を持つ権利も剥ぎ取られている。彼らの将来、健康、安全、健全な暮らしが危機にさらされている」とリー氏は言い、さらに「2016年以降、家を失った子供たちについては2020年が最悪の年となった。我々のプログラムは今後も経済的回復を支援し、教育へのアクセスを提供し続けるが、COVID-19の社会経済的圧力のもとでそれが非常に困難になっている。取り壊しとウィルス感染が同時に拡大する中、あまりにもやることが山積している状態だ」と語る。
リー氏は、ウェストバンクの主要インフラストラクチャの取り壊しに対抗するために、援助国政府たちがとるべき重要なステップがあると言う。
「第一に、援助国政府は彼らからの要請に資金援助を継続していく必要がある。次に援助国政府はイスラエルとの二国間コミュニケーションやグローバルフォーラムを通してこの取り壊し政策をやめさせるようイスラエルに抗議しなければならない。イスラエルの行為は国際人道法に反するものであり、COVID-19 の状況下において反道徳的なものだからだ」と彼は語る。
セーブ・ザ・チルドレンは「援助国政府に法廷を通してイスラエルの取り壊し行為に抗議してもらいたいと考えている」と彼は言う。
「イスラエルは地域社会における必須のインフラストラクチャを破壊している。多くの場合、そうしたインフラは援助国政府によって建造されたものであり、それが破壊されつつあるのだ。イスラエルは破壊による損害に対して賠償する必要がある」
英国は「パレスチナのポートフォリオにおいて極めて重要な役割を果たしている」と リー氏は言う。「英国はそうした援助国政府らによる働きかけの先頭に立ち、イスラエルの責任追及を行い、イスラエルが占領者として全パレスチナ人民、とりわけ子供たちの権利を守るための義務を果たすよう、人権および国際人道法のもとで強く要請していくべきだ」