エルサレム:エルサレムの旧市街には何十箇所もの教会があるが、クリスマスが近づく頃、サンタクロースはただ一人、長身のパレスチナ人の元バスケットボール選手である。
毎年12月、イスラエルに併合された東エルサレムでは、キリスト教巡礼者などがクリスマスを祝いにやってきて、街は緑と赤に彩られる。
7年前、住人の一人、イッサ・カシシア氏は、築700年の自宅の1階を洞窟に変え、お菓子やマルド・ワインを用意し、サンタの膝の上に座ることができるようにしたのである。
サンタハウスで最初の訪問者たちを迎えた赤いスーツと髭のカシシア氏は、行列を作る家族連れに「ホー、ホー、ホー!」と大声で呼びかけた。
「ここエルサレムでは、多くの宗教を扱っています。イスラム教徒もいれば、キリスト教徒もいるし、ユダヤ教徒もいます。私はすべての宗教の方たちを家にお招きしています。私はすべての人に手を差し伸べているのです」と自身はキリスト教徒であるカシシエ氏は語った。
イスラエル人観光客の一団や、2人の神父がアラビア語と古代アラム語の祈りで初日を祝福してくれた。
身長1.9メートルのカシシア氏は、パレスチナのバスケットボールチームのキャプテンとして活躍したが、その長身は子供たちを威圧していないようだ。
「キリスト教徒じゃないけど、サンタクロースは好きだよ。家にも(クリスマス)ツリーがあるんですよ」と、パレスチナのイスラム教徒である8歳のマルワさんは、にっこり笑った。
また、世界各国から訪れた人々は、サンタの膝の上に座ったり、サンタの「悪い子リスト」や「良い子リスト」に載ったりするために列をなしていた。
米国から来たアリソン・パーギターさんは、子供たちと一緒に待っていた。
「子供たちが楽しむことも大切ですが、クリスマスの背景にある本当の物語も知ってほしいです」と52歳の彼女は語った。
サンタハウスでは、若い訪問者たちはもっと現代的な悩みを抱えているとカシシア氏は言う。
「どの子もiPhoneを欲しがるんですよ」と苦笑いした。
「私は決して何かを約束することはありませんが、『祈りましょう、そしてあなたが私の良い子リストに載っているならば、それを受け取れるでしょう』と言うようにしています」
幼い頃、カシシア氏の父親は、カシシア氏と2人の妹のためにサンタの格好をしてくれたそうだ。
15年前、父親のスーツを見つけ、赤いビロードの服を着た人物の役目を果たすことを決意した。
しかし、それは単にスーツを着るだけではなかった。
その後、デンマークで開催された世界サンタクロース大会に参加したり、米国のコロラド州にあるサンタスクール(そう、そんなものがあるのだ)で勉強したりしている。
カシシア氏は、サンタを学ぶもう一つの中心地、チャールズ・W・ハワード・サンタクロース・スクールの修了証を見せながら、自分がエルサレムで唯一の公認サンタである、と語った。
チャールズ・W・ハワード・サンタクロース・スクールはミシガン州にあり、創立は1937年で、世界で最も長い歴史を持つ。
その役柄上、同氏はエルサレムでの配慮は十分承知している。
AFP