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コロナワクチンの接種で世界をリードするイスラエル、限界を見出す

優れたハイテク技術と革新の精神で有名なイスラエルは、世界最速でコロナワクチンの接種を推進している国だ。(AP)
優れたハイテク技術と革新の精神で有名なイスラエルは、世界最速でコロナワクチンの接種を推進している国だ。(AP)
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05 Feb 2021 08:02:35 GMT9
05 Feb 2021 08:02:35 GMT9
  • 脅威が衰退していく中で、局所的な閉鎖措置が実施される可能性がある
  • 「ヨーロッパ中がワクチンを待ち望んでいるのに、この国の人々は接種したくないというのですか」

イスラエル、テルアビブ:.コロナとの戦いに関して、イスラエルはワクチンの限界を見ている。

優秀なハイテク技術と革新の精神で有名なこの国は、世界最速でワクチン接種を推進している。国家的な誇り、そしてベンヤミン・ネタニヤフ首相の言葉を借りれば「生活を取り戻し」たいとの深い思いが、首脳の原動力となってこれを推し進めてきた。

しかし、閉鎖措置の解除にはまだ何カ月もかかるだろうと専門家たちは言う。英国と南アフリカからコロナの変異種が広がり、一部の宗派が安全措置の順守を拒否し、60歳未満の人々の接種が中々進まないなどの理由で、複雑化しているのだ。

政府は近日中に、3回目の全国的な閉鎖措置を緩和し始めるとされているが、脅威が衰退していく中で、さらなる局所的な閉鎖措置が実施される可能性がある。

「これはバランスをとるための措置になります」とシェバ医療センター渡航医学・熱帯病部門長のエヤル・レシェム氏は述べた。

イスラエルでは930万の国民のうち、3分の1以上がわずか数週間で少なくとも1回の接種を受け、190万人以上が2回目の接種も完了したという素晴らしい偉業を成し遂げており、このまま行けばおそらく、3月末までには成人人口のほぼ全員が接種を終えるペースだ。

この迅速さが称賛されているのと同時に、イスラエルは、占領するヨルダン川西岸と封鎖されたガザ地区のパレスチナ人たちを接種から除外していることで、国際的な非難を浴びている。この状況が、国家の貧富の差により世界のワクチンへのアクセスに差異が生じていることへの注目を集めている。

人権団体は、占領国としてイスラエルにはパレスチナ人への接種義務があると述べている。イスラエルはそのような責任はないと否定し、自国民が優先だとしている。だが今週、イスラエルは初めて、医療従事者に接種するためのモデルナワクチン5000回投与分をパレスチナ当局に渡した。

イスラエルでは研究者たちが、初めてワクチン接種の効果を確認し始めており、他国にとっては今後の成り行きについて、ごく初期段階の参考となる。

ネタニヤフ首相は木曜日、最初に接種した60歳以上の人々の間で、重症入院患者が26%減少し、感染が確認された患者数は過去16日間で45%減少したと発表した。

「これはワクチン接種の直接的な結果だ」と彼は述べた。「ワクチンは機能する」

しかし、死亡者数や新感染者数といった他の重要指標については、変異種が急激に拡大していることや、ワクチンが十分な効き目を現すまでに1カ月の時差があることなどもあり、依然として高いままだ。

イスラエルでは1日に約7000人の新規感染者が報告されており、先進国の中では最も感染率の高い国のひとつだ。これまでの死亡者は5000人近くで、そのうち4分の1以上が1月に亡くなっている。

イスラエルには一定の利点があり、ワクチン接種に関するイスラエルの成功を他の国が真似するのは容易ではないだろう。国家規模が小さく、人口は930万人だ。わずか4つの保険医療機関を通して提供される集中型のデジタル化された医療システムがある。そしてリーダーであるネタニヤ氏は、ワクチン接種を3月の首相再選に向けた公約の中心に掲げており、ファイザーやモデルナのCEOらと個人的に交渉している。

それでも、世界中の専門家たちは熱心に見守っている。

「イスラエルの積極的なワクチン計画は、国が国民の腕に迅速かつ効果的にワクチンを届けることが実際に可能であることを示している」と、アトランタのエモリー大学で生命倫理学を研究するジョナサン・クレーン氏は述べた。彼はメールの中で、米国のような国ではワクチンが様々な管轄区域ごとに「ばらばらに」届けられているのと比較して、イスラエルの中央集権的な取り組み方を称賛した。

このような成功の初期の兆しはありながらも、パンデミックが過ぎ去り、人々が一斉に職場に復帰し、大きな家族の集まりを催し、かつてのような社会生活の再開を祝える瞬間はまだ来ないのだということが、次第に明らかになりつつある。

閉鎖措置の解除には、感染度の高い変異種の感染拡大を抑止する取り組みや、人々が適切な予防措置を守るかどうかなど、様々な要因が絡んでくる。イスラエル国民の多くは今週、崇拝された2人のラビの超正統派の葬儀の場面で、ほとんどの参列者がマスクを着けていないのを見て震撼した。

アラブ系宗派や超正統派や、成人でも比較的若い層など、国民の中でも一部の層はワクチンに対して明らかに消極的態度を示しており、それらも「集団免疫」をつけてウイルスを食い止めようとする試みへの妨害となる。

「ヨーロッパ中でワクチンを待ち望んでいるというのに、この国の人々は接種したくないというのでしょうか」と、水曜日にテルアビブで2回目の接種を受けた後にサラ・バルシさんは言った。「おかしな話ですね」

この傾向が続くのであれば、それは「大きな間違い」だと彼女は言った。「休日に出かけたり、かつての普通の日々に戻ったりすることができなくなります」

ワクチン接種運動は、ポップカルチャー的な様相を呈し、国の誇れる点となってきた。イスラエルの人々は、接種したことを示す写真をSNS上に誇らしげに投稿している。ある保険医療機関では、人々が立ち去る前に副作用がないかを確認できるように、接種後にカプチーノをサービスしている。

AP

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