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バイデン大統領、トルコに対し冷淡に接し、先行きの険しい道のりが伺われる

トルコのレセップ・タイイップ・エルドガン大統領、バイデン大統領から早くも冷遇される。(File/AFP)
トルコのレセップ・タイイップ・エルドガン大統領、バイデン大統領から早くも冷遇される。(File/AFP)
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13 Feb 2021 12:02:47 GMT9
13 Feb 2021 12:02:47 GMT9
  • バイデン大統領、エルドガン大統領に電話で会談せず、新政権はすぐにトルコを非難した
  • バイデン新政権は著名な市民社会指導者であるオスマン・カバラの釈放を促している

ワシントン:ジョー・バイデンは大統領に就任以来、トルコに対して目に見えて厳格な路線を取っている。アナリストたちは、両国の利害がますます乖離していく中で、同盟国でありながら、今後益々両国間の不安定さは高まっていくと予想している。

トルコのレセプト・タイイップ・エルドガン大統領に対しては、バイデンの前任者ドナルド・トランプに取り入ろうとした指導者の多くの例に倣い、バイデン大統領は当選する前から独裁者と名指しし、野党を支援することを約束して、早い段階から冷淡な扱いをしている。

バイデン大統領はエルドガン大統領に電話をかけることもなく、逆に新政権は直ちにトルコを非難し、著名な市民社会指導者オスマン・カバラの釈放を促すと共に、学生デモ参加者の取り締まりで同性愛者を非難するレトリックをも批判している。

今回バイデン政権が出した声明は、民主化推進に新たに重点を置き、優先事項として取り組むというバイデン大統領の公約に沿ったものだが、米国とトルコには今後更に緊張を高める可能性の高い課題が数多く残されている。

エルドガンはNATO加盟国でありながら、同盟における役割を危うくするという警告を無視して、あからさまにロシアの先進的なS-400ミサイルシステムを購入し、米国議会の怒りに直面して、トランプ前大統領も渋々トルコの防衛産業に限定的な制裁を課している。

また、5月にはニューヨークの裁判所で、イランに対する制裁逃れに加担したとされるトルコ国営のハルクバンクの裁判が始まる。判決次第では、トルコ経済に大きな打撃となる可能性がある。

「関係は今後改善される可能性はあるが、人々はあまり大きな期待を抱かない方が良いだろう」と、外交問題評議会の上級研究員であるスティーブン・クックは述べる。

「トルコと米国は利害関係が異なり、価値観を共有していない。両国はいくつかの問題で協力することはできるが、それ以外にもはや両者を結びつけるものは何もない」

ワシントンに拠点を置く中東研究所のトルコプログラムのディレクターであるゴヌル・トルは、エルドガンが、NATO加盟国でありつつアンカラが独立性を主張し、国家主義的な観点からロシアのS-400購入を決断しているため、その行為は特に厄介な問題を抱えていると述べた。

しかし、エルドアン大統領は、苦境に立たされている経済に圧力を感じており、S-400問題に絡めて、より広範な米国による制裁を回避することに関心を持っていると彼女は述べた。

「エルドガン大統領は地域で孤立していること、彼の反西洋、反米レトリックも彼の意図通りには機能していないことは認識しているはずだ」と、トル女史は語った。

バイデンの大統領就任後、トルコはロシア製のS-400の運用を部分的にとどめるという妥協案を提案したが、米国務省は、ロシアが西側のジェット機を撃墜する能力を高めるのに役立つとNATOが恐れている数十億ドル規模のシステムを同盟国が「保持」しないことを主張して譲らなかった。

それでもトル女史は、バイデン大統領は民主主義を強調しながらも、現実的な人物でもあると述べた。その証左として、彼女はバイデン大統領がロシアとの戦略兵器削減条約(START)を新しく延長したことを挙げ、単に政権は懸念に対して率直であるだけでなく、現実的な解も模索しているとした。

「バイデン政権内にも様々な意見を持つ者がおり、S-400s、東地中海、ナゴルノ・カラバフなど、米国にとって重要な問題でトルコがどのように振る舞うか見てみよう、と言う人もいるかもしれない」と女史は述べると共に、トルコとNATOの同盟国ギリシャとの間で緊張が高まっていることと、アルメニアの土地を奪還するためのアゼルバイジャンの攻勢に対するアンカラの支援について言及した。

「もし、バイデン政権が国家安全保障上重要な問題について、トルコと実際に協力できる兆候があれば、全体的にソフトなアプローチに転換してくると思われる」とトル女史は語った。

アントニー・ブリンケン国務長官の指名承認公聴会では、国務省報道官のネッド・プライスがトルコを 「長年にわたり評価されてきたNATOの同盟国」と表現しているにもかかわらず、彼はトルコを 「いわゆる戦略的パートナー」と表現している。

「我々は共通の優先事項について協力を求め、他の同盟国と同様に、意見の相違に対処するために対話を行う」と、プライスは記者団に語った。

プライスはシリアの内戦終結への関心の共有を指摘した。しかし、バイデン大統領の元上司バラク・オバマ元大統領が、イスラム国(ダエシュ)に対抗するために、トルコ国内の分離主義者と関係のあるクルド人戦闘員と手を組んで以来、シリアは摩擦の持続的な源泉となっている。

ユーラシア・グループの分析によると、トルコと米国はともに関係改善に関心を持っているが、2021年後半に交渉が決裂する確率は60%で、S-400sやシリアを巡る可能性が高いとしている。

ブルッキングス・ドーハ・センターの非居住者研究員ガリップ・ダレイはエッセイの中で、米国とトルコの緊張が高まると予想し、そもそも両国は関係を改善することが何を意味するのかについて異なる見解を持っていると述べている。

バイデン大統領にとって、関係改善とは、トルコがロシアや台頭する中国との関係を見直し、米国主導の自由主義的な国際秩序を回復させることに協力することを意味すると書いている。

しかし、エルドアン大統領にとっては、「関係改善とは、米国がトルコの周辺地域における新たな地政学的現実(トルコの役割を含む)に同意することを意味する」

AFP

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