
ナジア・フッサリ
ベイルート:レバノンのミシェル・アウン大統領は月曜日、治安部隊に対し、デモ隊による道路の封鎖を防止するよう指示した。1年以上も続く経済危機や何か月にも及ぶ政治的麻痺に対する怒りの声が高まるなか、デモ隊が「Day of Rage(怒りの日)」を宣言、全国各地の主要道路が7日連続で封鎖されたのを受けての要請となった。
レバノン軍の最高司令官であるジョセフ・アウン将軍は月曜日、軍司令官らとの会議を開いた。会議の中で将軍は、公有財産を破損しない限り、市民は平和的な抗議行為に従事する権利があると強調した。将軍はまた、軍の権利の侵害は容認されないと述べ、政治家に対し、自ら危機を解決するよう呼びかけた。
公の場での初の批判的なコメントとなるこの発言の中で、将軍は「兵士たちも国民と同じように飢えているのだ。官僚たちは何をぐずぐずしているのか」と述べ、「官僚たちは軍に対し政治的キャンペーンを仕掛け、軍のイメージを歪めようとしている」が、それが成功することはないだろうと付け加えた。
「軍事や軍の昇進・編成に干渉することは許されない。当軍隊は密集隊形であり、その解散は(レバノンの)国家の終焉を意味する。1975年(レバノン内戦)の経験が繰り返されることはない」と将軍は述べた。
アウン将軍は、経済危機の結果として軍からの離脱があったことは否定したものの、「強力な軍隊が欲しいのかそうでないのか。軍の予算は毎年削減されており、これが軍の士気に悪影響を与えている」と付け加えた。
月曜日の早朝、市民が出勤できないようデモ隊が再び主要道路を封鎖するなか、怒りの日はレバノン各地に広がり始めた。
デモ隊は 「日常生活の心配事、ドルの為替レートの上昇、早期の議会選挙の必要性」についての懸念を語った。
アラブニュースが入手したベイルート・アメリカン大学危機観測所の報告書によると、「先週、レバノン・ポンドの崩壊が加速し、闇市場でのドルの価値が(1万レバノン・ポンド)以上に上昇したが、これは市民に衝撃を与えた。市民は給料の85%以上を失った」
「レバノン・ポンドの価値の暴落の影響が、レバノン市民など住民の購買力の低下や、商店での補助金付商品をめぐる猛烈な、時には暴力的な争いという形で明らかになれば、その後さらに最悪の事態が起こり得ると考えられる」
報告書は続けて次のように述べている。「これまでのところは、リバン銀行(BDL、レバノン中央銀行)による援助が燃料や医薬品の購入額の85~90%をカバーしている」
デモ隊による道路の封鎖は、封鎖を解除しようとする治安部隊との衝突を引き起こし、政治家の間に警戒心を引き起こした。
バアブダの大統領官邸で月曜午前に開かれた安全保障・金融・経済会議では、「市民、デモ参加者、公私財産の安全を考慮して、道路封鎖は許すべきではない」との声が上がった。
だが、アウン将軍は、軍が平和的なデモを妨害したり、デモ隊を攻撃して危機解決を求めるという正当な要求を弾圧したりすることはないと断言した。
将校たちに向けた演説の中で、将軍は次のように述べている。「危機の解決は政治的なものであり、政治勢力は自らの責任を引き受け、解決に向けて努力しなければならない。政治勢力はデモ隊やレバノン軍を非難することはできない」
月曜日、スール地区のデモ隊の1人がガソリンをかぶって火を付けようとしたが、レバノン民間防衛隊に止められた。
トリポリでは、「官僚全員の辞任と裁判」を求めるデモ隊と軍の間で衝突があった。
大統領官邸での会議では、休日である週末のドル為替レートの直近の上昇の責任は誰にあるのかという懸念が提起された。アウン大統領は治安部に対し、国に危害を加えるような陰謀はないかどうか調査するよう要請した。
公式声明によると、治安当局と政府関係者との話し合いの中で、通貨危機対策措置のいくつかに合意が見られたという。外貨両替所を含む、金融信用法違反者の取り締まり措置もそのひとつだとした。