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強気市場の中、石油価格が回復

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08 Jun 2020 04:06:46 GMT9
08 Jun 2020 04:06:46 GMT9

石油価格は6週連続で上昇して終了した。土曜に開かれたOPEC+会議を支持する強気な進展がいくつかあったことが材料となった。株式市場は大幅に上昇した。投資家はほとんどの国でロックダウンが緩和されたことで、石油需要が高まるとの見通しを材料視した。

ブレント原油価格は1週間前にウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)と同額で引けた後で調整が入り、同週で最も高い1バレル$42.30で引けた。

WTIも同週で最も高い1バレル$39.55で引け、$40/バレルに近づいた。この価格は米国シェール業界を少しは立ち直らせる水準だが、リグ稼働数は急速な落ち込みが続いている。しかし、米エネルギー情報局(EIA)の最新の短期エネルギー見通しは、ブレント原油の2020年の平均価格を$34/バレルと予測している。

4月20日~6月5日の45日にわたり、WTI価格は1バレル約-$40から+$40へと上昇した。石油価格のこの上昇の動きは、コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックからの経済の回復を難しくする米国全土での市民暴動や、感染第二波のリスクにもかかわらず起こった。

また、EIAによれば米国のディーゼル需要は21年ぶりの低水準に落ち込み、ガソリンの備蓄は膨張していて、石油精製製品の消費回復が予想よりも鈍いことを示唆しているにもかかわらず、石油価格は大幅に反発した。

今週の石油市場では多くの強気な進展があった。これには、5月の米失業率が13.3%と予想外に大きく下がったことが含まれる。米失業率は20%に跳ね上がると予想されていたが、250万人の雇用が戻ったことで景気回復に関する楽観的な見方がもたらされた。

最も強気な進展は、OPEC+が2020年6月以降も引き続きその歴史的な減産協定を維持することだ。

ファイサル・フェイク

米メキシコ湾岸での嵐の季節の始まりは、市場で最も需要の高いミディアムサワー原油グレードの原油供給の脅威となる。熱帯低気圧「クリストバル」はメキシコ湾岸地域の原油生産の約30%、および天然ガス供給の20%以上の停止を引き起こした。クリストバルは強さを増して熱帯低気圧へと戻り、ルイジアナに向かって移動している。

その結果、米湾岸地域の石油プラットフォームの約10%が非難を余儀なくされ、湾岸地域での6月の原油生産は1日あたり160万バレルへ落ち込むと見積もられている。これは、精製作業にとって新たに加わった脅威である。パンデミックの最中での嵐への対処はこれまでとは明らかに異なり、より多くの予防措置が必要である。

ここ数週間における中国の精製能力の着実な回復は、中国の原油輸入が記録的な高水準近くまで回復することを意味する。中国の4月の石油需要はCOVID-19前の水準の90%に達しており、5月の原油輸入量は4月から13%跳ね上がって1日あたり1,111万バレルとなった。

最も強気な進展は、OPEC+が2020年6月以降も引き続きその歴史的な減産協定を維持することだ。この進展は延長協定の合意が週末中だったため、石油価格には織り込まれていない。

実現した合意は需要の見通しを巡る不透明さを効果的に払拭した。

別の月に対して減産を拡大するOPEC+の取り組みは、反発した石油価格の動きへの注目よりも、むしろ市場ファンダメンタルズの進展を再確認する。OPEC+はパンデミックの結果として石油需要が落ち込む中で積み上がった、大量の市場余剰石油の削減を効果的に検討している。

OPEC+生産国はこれから数ヶ月にわたって市場と石油在庫レベルを注意深く監視し、今後の生産戦略を決定するだろう。担当大臣たちは毎月ベースでリモート会議を開く必要があるだろうが。

  • ファイサル・フェイクはエネルギー・石油マーケティングアドバイザー。以前はOPECとサウジアラムコに所属していた。Twitter:@faisalfaeq
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