
クリストファー・ハミル=スチュワート
ロンドン:シリア内戦開始から10年、国際援助組織は合同で、人道的ニーズが満たされない場合、「苦痛と不可逆的ダメージの増大」が結果すると警告を発した。
アラブニュースに掲載された共同声明は、世界主要国に対して「危機を食い止めるためにあらゆる影響力」を行使することを呼びかけている。
「内戦勃発以来10年を経て、多くのシリア人の生活環境は悪化の一途を辿っています」と、セーブ・ザ・チルドレン、メルシー・コープス、ノルウェー難民問題評議会を初めとする35の援助組織は述べた。
「暴力行為や、民間人や社会・経済インフラへの無差別攻撃が継続しています」。
80%以上のシリア在住者が貧困に苦しみ、記録的な水準の食料不足が発生している。1240万人以上が食料を安定して得られず、さらに180万人が食料不安のリスクに直面している。
さらには、1220万人のシリア在住者が清浄水を日常的に使用できない状態にあり、240万人の児童が学校に通えないでいる。
「シリア内戦の結果として生じた難民発生の長期化は第二次世界大戦以降最悪のものです」と、共同声明は述べている。
あまり例のない共同声明は「世界に向けての厳しい警告となるはずです」と、シリア・レリーフの広報責任者で今回の声明の署名者の1人でもあるチャールズ・ローリー氏はアラブニュースに語った。
「来週のシリア危機開始10周年が単なる歴史的な教訓の記念日だとするならば、言及する意味すらありません。私たちが属する組織や団体は、この残酷な節目にシリアとその近隣諸国の現況と深刻化する一方の窮状と対応策としてどのような行動が必要とされているのかに注意を喚起したいと考えため、共同で声明を発表しました」。
「私たちは、また、内戦当事者に対して影響力を持つ主要国政府に、この残忍な争いを集結するよう影響力を行使し、何百万人ものシリア人をこの破滅的過程から救うことも要請しています」。
この要請は、シリア内戦の終結に向けた英国の将来の役割が注目を集めているまさにその時に発表された。
今月に入って、英国政府がシリアに対する援助予算を最大67%削減する計画であるいう情報が同国内務省から漏洩した。
英国の野党の労働党で影の国際開発省長官であるアンナ・マクモリン議員は、アラブニュースに、「現在はリーダーシップを発揮するべき時であり、撤退の時ではありません。国際社会が協力しなければならない現在、人命のかかった極めて重要な援助を削減しようとする英国政府の試みは、国際舞台から英国が恥ずべき撤退をしつつあると受け止められてしまうことになりかねません」と述べた。
マクモリン議員は、「シリア政権と不正な勢力が責任を負うことなく活動している北東地域と北西地域において特に」、英国政府は当事者間の敵対関係を集結させ、依然内戦に巻き込まれている数百万人を助ける努力を強めるべきであると言った。
シリア内戦は、2011年に、バシャール・アル=アサド大統領が自身の統治への抗議に対して残忍な取締りを開始したことが起点だった。
軋轢は、やがて、アサド陣営と、自由シリア軍やアルカイダとも関連のある過激派などからなる反体制派勢力との全面衝突へと発展した。
イランとそのレバノンにおける傀儡であるヒズボラの支援を受けたアサド大統領は、ロシアが彼への軍事的支援を強化した2015年に、内戦で優位に立つようになった。
この内戦では、50万人近くが死亡し、シリアの人口の半数が難民化した。