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スエズ運河再開 サルベージチームが大型コンテナ船「エバーーギブン」号の離礁に成功

エジプトのスエズ運河で、スエズ運河タグボートの1隻にけん引されるパナマ船籍の貨物船「エバーギブン」号。2021年3月29日(月)撮影。(AP/スエズ運河庁)
エジプトのスエズ運河で、スエズ運河タグボートの1隻にけん引されるパナマ船籍の貨物船「エバーギブン」号。2021年3月29日(月)撮影。(AP/スエズ運河庁)
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30 Mar 2021 01:03:12 GMT9
30 Mar 2021 01:03:12 GMT9

スエズ(エジプト):サルベージチームは月曜日、スエズ運河を経由する世界貿易を滞留させていた巨大なコンテナ船の離礁に成功した。これで、世界で最も重要な海面水路のひとつを1週間近く塞いでいた危機にも、終止符が打たれた。

満潮に助けられ、タグボートの船団が、超高層ビルほどの全長のあるエバーギブン号の球根状の船首を運河の砂州からもぎ取るように離礁させることに成功した。同船は先週火曜日以来、この砂州に食い込むように座礁していた。

運河当局の発表によると、重量22万トンもある最大積載状態の船体を運河の岸後、サルベージチームは現在船体をグレートビター湖という運河の南北の端の中間にある幅広い水域に向かってえい航中であり、ビター湖に運ばれたエバーギブン号は、そこで技術的な検査を受けることになっている。

MarineTraffic.comの衛星データにより、船が岸から水路の中心に向かって移動していることが確認された。

スエズ運河庁が公開したビデオには、離礁を助けたタグボート船団がエバーギブンを護衛している様子が映っており、約1週間の混乱を乗り越えたタグボートが各船それぞれ汽笛を鳴らして歓喜に湧く様子も見えた。

「離礁に成功しました!」と、エバーギブン号の離礁を依頼されたサルベージ会社、ボスカリス社のペーテル・ベルドフスキ最高経営責任者(CEO)は、声明の中で述べた。「スエズ運河庁との緊密な連携のもと、当社の専門家チームがエバーギブン号の再浮上に成功し、これによりスエズ運河の自由な航行が再び可能になったことを、ここに喜んで発表いたします」

この障害物によって重要な交通路に大規模な交通渋滞が起こり、毎日90億ドルの世界貿易が滞留し、新型コロナのパンデミックによってすでに困窮しているサプライチェーンにとっては、さらに負担がかかることになった。

運河の通航がいつ平常状態に戻るかどうかは、まだ不明だ。少なくとも367隻の船舶が、原油から家畜まであらゆるものを積んだままで運河の両端に立ち往生し、通過できるのを待っている。

データ会社のRefinitiv社は、船の滞留解消には10日以上かかると見積もっている。一方、アフリカの南端にある喜望峰を回る代替ルートを選択した船も数十隻出てきたが、5,000キロ(3,100マイル)分遠回りすることになるため、航海期間が2週間程度延びるほか、燃料代やその他のコストも数十万ドルほどかさむ。

今回の離礁は、浚渫機が船首部分の砂や泥を吸い取り、10隻のタグボートが5日間にわたって船体を押したり引いたりした結果、夜明けに一部を再浮上させることができたものだ。

パナマ船籍で日本が所有し、アジアからヨーロッパへ貨物を輸送する「エバーギブン」号が、当初の目的地であるロッテルダムに向かうのか、それとも修理のために別の港に入る必要があるのかは、明らかにされなかった。

船の運航会社は、世界の石油の7%を含め世界貿易の10%以上を輸送するこの重要な運河の再開時期について明らかにしなかった。運河当局によると、昨年は19,000隻以上の船舶がスエズ運河を通過した。

ペルシャ湾からヨーロッパや北米に向け、何百万バレルという石油や液化天然ガスがスエズ運河を通航する。また、中国で生産されヨーロッパに向かう「家具、衣類、スーパーマーケット商品」も、スエズ運河を通らなけばならない。それ以外は、アフリカを迂回するしかないのだ。

この前例のない閉鎖により、中東からヨーロッパへの石油やガスの輸送に支障が出てくる恐れがあり、遅延の長期化、商品不足、消費者のコスト上昇などが懸念されていた。

今回の引き揚げ作業はタグボートと浚渫船だけで成功できたことから、当局は2万個のコンテナを降ろして船体を軽くするという、はるかに複雑で時間のかかる作業を避けることができた。

AP

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