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ベイルートの有名カフェ、為替危機で疲弊し、コロナで抑圧される

コロナ感染防止のためのマスクを着けた常連客が、レバノンの首都ベイルートのハムラ地区にあるカフェを利用している。(資料/AFP)
コロナ感染防止のためのマスクを着けた常連客が、レバノンの首都ベイルートのハムラ地区にあるカフェを利用している。(資料/AFP)
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03 Apr 2021 05:04:22 GMT9
03 Apr 2021 05:04:22 GMT9
  • オーナーや従業員らは、「誰もがコーヒーショップに入る余裕のあった日々が懐かしい」と嘆く
  • 私が勤務する会社は1935年に創業し、あらゆる戦争の中を生き残ってきましたが、現在このような状況の中、営業し続けるには痛みを伴う措置を受け入れるしかありません

ナジア・フサリ

ベイルート:ベイルートの有名な街角カフェは、コロナの流行や不安定なドル為替レートの中で軒並み不確かな先行きに直面しており、従業員やオーナーたちは、「コーヒー1杯の価格を為替レートに合わせていくことは不可能だ」と警鐘を鳴らしている。

2ヵ月と22日間続いた直近のロックダウンは、多くのレバノン人がゆっくりと寛いで交流する場として選ぶベイルートのカフェにとって、問題をさらに悪化させている。

多くのカフェが国家経済の混乱で閉店し、数店舗は昨年の港湾爆発事故で破壊されてそのまま放置されている。

レバノンのコロナ感染防止対策措置により、人々が一緒に座ってタバコを吸ったり、コーヒーを飲んだり、世間話をしたり、国の将来を語ったりすることが禁止されている。

ベイルート中心街のアザリア・ビルの中の街角カフェに出資しているアリ・ファルハットさん(35歳)は、「2019年末に抗議活動とそれに伴う暴動が起きる以前のこの辺りの古き良き時代、そしてレバノンポンド崩落やコロナウイルス前の日々」を思い出す。

「この地域は活気がありました。カフェは人々が交流したり、仕事の合間に30分ほど寛いだり、軽食を食べたりするような娯楽の場でした。当時は誰もがコーヒーショップに入る余裕がありました」と彼は言う。

「現在、ベイルート中心街は閑散とし、従業員は在宅ワークとなり、私の仕事は通行人にタバコ、コーヒー、紅茶を販売する業務に限定され、治安部隊がベイルート中心街を見回りしています」

「最悪の金融危機で物価が高騰しています。ドルの為替が上昇しており、私は商品を売るのを止めて店を閉めました。次の日にはもっと高い値で商品を仕入れなければならなくなるからです」

国内製造のタバコ1箱の値段は1000ポンド(0.65ドル)から5000ポンドに上がった一方で、かつて約4000ポンドであった輸入タバコは、1箱が1万3000ポンド以上まで値上がりした。

1万6000ポンドであったネスカフェ・コーヒー1瓶の値段は、7万ポンド以上という驚くべき値段になった。

人気の水タバコも5倍の値段になった。28歳のサラムさんは言う。「かつては1キロの水タバコを2万ポンドで、1キロの特上炭を3000ポンドで買っており、水タバコの値段が5万ポンドを超えることはありませんでした。しかし今では水タバコ1キロが11万ポンド、標準炭が1キロ3万ポンドもします」

サラムさんは、タバコを吸ってリラックスすることが日常の一部であり、精神衛生的にも有益なのだと述べる。

「水タバコを吸う時間は私にとって「自分の時間」なのです」と彼女は付け加えた。

「コロナのせいで女友達とカフェへ行くこともなくなったし、持ち帰りで水タバコを注文することもできなくなってきています」

「水タバコの値段が高くなったのと、私が受け取るお給料の価値が下がったことから、自宅で吸う回数を切り詰めて、かつては1日1回だったのを、今では週に1、2回にしています。私たちは多くのものを諦めつつありますが、水タバコはそのうちのひとつです」

自称コーヒー中毒のムハンマドさん(33歳)は、「コーヒー1キロの値段は1万2000ポンドでしたが、今では3万5000ポンドに上がり、ネスカフェは市場から消えました。そしてコーヒーを買うか子供たちの牛乳を買うかの決断に迫られれば、牛乳が優先になります」

ベイルートのカフェ・ユネスで事務職をしている37歳のアハマドさんは、経済危機が接客業界に莫大な影響を与えていると警告した。

「私が勤務する会社は1935年に創業し、あらゆる戦争の中を生き残ってきましたが、現在このような状況の中、営業し続けるには痛みを伴う措置を受け入れるしかありません」と彼は言った。

「コーヒー1杯の値段をドル為替レートの変動に合わせていくことは不可能です。そんなことをすれば顧客を失います」

「当社は4000ポンドだった価格を9000ポンドに上げました。これは比較的受け入られやすい値段です。我々は、ベイルートの港湾爆発や、店舗が入っていたモールやマーケットの経済危機による閉鎖などで、多くのカフェ支店を失いました」

「当社の顧客は変わらないのですが、ドルで支払う新たな顧客を見るようになりました」

カフェで働いていると、ベイルートの港湾爆発後はレバノンからの国外移住を決めた若い男女の送別会を多く目にするようになったとアハマドさんは言う。

「彼らは当社の顧客でしたが去ってしまい、彼らの家族も、カフェへ来ると感情的に思い出してしまうとの理由でその後は来てくれません」と彼は言った。

レストラン、カフェ、ナイトクラブ、菓子店などのオーナー連合会長であるトニー・ラミーさんは言う。「2019年夏から続く一連の危機により、レストランやカフェの店舗数は8500から4300にまで減少しました」

「観光業は長い期間をかけて業界を発展させましたが、カフェも、独自の特質を開発して、24時間営業を打ち出しました」

「現在営業しているカフェはわずか500店舗ほどです。カフェはレバノンの人々が出会う場所であり、美しい文化の一部です。値段は手頃で、水タバコを提供するカフェもあり、家族の交流の場となっています」

ラミー氏は、コロナ対策に関して「国が方向性を見失っている」と非難した。

彼は言う。「午後9時にカフェを閉めなければならないという規則には正当性がありません。ウイルスは時間で動くものでもなく、その時間はカフェにとって最も忙しい時間帯です」

「レバノンポンドが暴落してカフェの仕入れコストが6倍に上がりましたが、業界は、自分たちの権利の一部を犠牲にしてでも生き残ることを選びました」

「購買力が落ちている中で、ドル為替レートに追随するわけにはいきません。確かに営業を続けていくのは困難であり、我々は時間稼ぎに努めているわけですが、諦めることは許されません。海外に支店を開けば息もつけるでしょう」

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