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リヤド・イニシアティブ、WTO改革の決め手となるか

サウジアラビアの元経済閣僚モハメッド・アル・トゥワイジリ、世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙立候補手続きの一環で、164の加盟国の代表者の前でのヒアリングに続き記者会見に臨む。2020年7月17日、ジュネーブ(AFP)
サウジアラビアの元経済閣僚モハメッド・アル・トゥワイジリ、世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙立候補手続きの一環で、164の加盟国の代表者の前でのヒアリングに続き記者会見に臨む。2020年7月17日、ジュネーブ(AFP)
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26 Sep 2020 08:09:38 GMT9
フランク・ケーン
26 Sep 2020 08:09:38 GMT9

世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙はいよいよ最終ラップに入り、各陣営の選挙対応も最終局面を迎えている。次の6週間、5人の候補者はそれぞれ、世界の舞台で最も過酷な仕事の1つの任務を果たす資質を持っているか、164人のWTOメンバー各国に自らの強みを訴える機会が与えられる。

特異な才能が求められる分野であり、非の打ちどころのない資格を持つ3人の男性と2人の女性が1つのポジションを争っている。現在から10月6日までの間に、候補者は2人に絞り込まれ、11月初旬(米国大統領選挙の数日後)に、新しいWTOの事務局長の選出が発表される。

サウジアラビアからは、戦闘機パイロット、銀行家、経済閣僚の経歴を持つモハマド・アル・トゥワイジリが立候補し、最終候補者5人の中に残り、激烈な競争のただ中にいる。これまでのところ、モハマド・アル・トゥワイジリは他候補に比べて求められる資質のいくつかの点で勝っており、最終段階でそうした点を最大限にアピールしていく戦略を練っている。

当然のこととして、WTOの事務局長の職務では世界経済と金融に関する深い知識が必要とされ、この点ではサウジの候補者は他の候補者と同じ立場にある。また、常に見解が一致しているとは限らないWTO加盟国間の対立する利益のバランスを取るために、深い外交専門知識、経験が求められる。そして最も重要な点として、現在のWTOは数多くの難問を抱え、その解決に向け、大規模な改革を実施する意欲と専門知識が必要とされている。WTOは1990年代初頭以降のグローバリゼーション主導の成長の時代には十分に機能したが、世界貿易の20年間の拡大を逆戻りさせた世界的な金融危機のつまずき以来、機能不全に陥っている。

モハマド・アル・トゥワイジリは他候補に比べて求められる資質のいくつかの点で勝っており、最終段階でそうした点を最大限にアピールしていく戦略を練っている。

最近では、世界中でポピュリスト、ナショナリストの政治指導者が台頭し、全メンバーの同意が不可欠のWTO改革への乗り越えることが難しい障害となっている。

貿易政策にとどまらず、さまざまな課題で中国、米国間の対立が先鋭化していることを背景に、WTO改革について合意を得るのは不可能な状況が継続していた。

サウジアラビアのモハマド・アル・トゥワイジリには、WTOが直面する課題解決において、リヤド・イニシアティブという方策を持ち合わせている。WTO改革のための広範囲にわたるプラットフォーム—となり得るこのイニシアティブは、パンデミックの制限下にもかかわらず、サウジ大統領の下で一年中開催されてきたG20諸国の経済閣僚の会合で醸成されてきたものである。

このイニシアティブは、WTO加盟国間の重要な課題に関する意見不一致領域を解決することを目的としている。その中には、特定業界への国家からの補助金を認める、「開発途上国」ステータスの承認について、あるいは、WTOの組織関連業務の意思決定の際に取られる全会一致原則の在り方が含まれる。

現在の規則は、1994年にWTOを設立したマラケシュ宣言で掲げられたもので、当時においては称賛に値し、尊重すべきものであった。しかし、改革を主張する者の間では、当時定められた原則は、世界で現実に起こっている問題に対処できない時代遅れなものとなり、特に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響下で、根本的な改革が早急に求められているとされる。

最近の全てのWTO審議同様に、リヤド・イニシアティブをめぐる議論も、中国と米国の対立問題に紛れて進まず、意見がまとまらない状況に置かれている。この解決のためにも、意見の違いを調整する新しいWTO事務局長の外交力が必要とされる。

こうした状況下において、アル・トゥワイジリならば、政策立案者およびプロジェクト発案者としての彼自身の個人的なスキルは別としても、他の候補者よりも先行した状態で課題解決に取り組める。

サウジアラビアは、ワシントンDCでの影響力が現政権下でも拡大している米国の長年の同盟国である。一方で、中国の主要な貿易相手国で、原油の輸出を通じて同国のエネルギー需要の大部分を供給しており、北京に対しても影響力を持つ。

サウジアラビア王国は米中両国に足掛かりを持つと同時に、厳しいWTO交渉が決着の間際にあるときに、調整力を活かすことのできる、どこの陣営にも属さない独立した国家でもある。

サウジアラビアの影響力を活かせる点で、他の候補者が持つ長所がなんであれ、アル・トゥワイジリは、他の候補者が持たない、彼だけの独自の長所を持っていることになる。

-フランク・ケインは、ドバイを拠点とする受賞歴のあるビジネスジャーナリストである。 Twitter:@frankkanedubai

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