
イスタンブール:トルコとEUは4月6日、席の配置が原因で双方を非難し合った。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領との会談で、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、椅子を出されず、立ったままだった。
アンカラでの欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長との4月6日の会談の画像が急速に拡散した後、トルコの指導者はごうごうたる非難を受けた。
このエピソードはエルドアン大統領が「独裁者」であることを示すものだ、とイタリアのマリオ・ドラギ首相は示唆しさえした。
3人の指導者が通された部屋は、3人に由来する欧州国旗とトルコの国旗に前に2つの椅子しか置かれていなかった。
エルドアン大統領とミシェル欧州理事会議長がすぐさまこの2つの席に着き、一方外交ランクがこの2人の男性と同じフォン・デア・ライエン委員長は立たされたままだった。
「えーと」と同委員長は言い、驚いて両腕を上に向け、手のひらを上に向け、ミシェル議長とエルドアン大統領を直視した。
その後の公式画像には、トルコのメブリュト・チャブシオール外務大臣と向かい合ったソファに、同委員長が腰掛けているようすが写っていた。
「座席配置はEU側の提案に沿って行われました。以上」と、このソファゲート事件に関するトルコ政府関係者による最初の公式声明は述べていた。
チャブシオール外務大臣は報道陣に、トルコに対する非難がなかったら、私たちはこのような事実を明らかにしていないでしょう」と述べた。
しかし、ミシェル議長の欧州理事会は、自らの外交儀礼を司るチーム(プロトコルチーム)が、この3人が会談のために最初に席に着く会談用の部屋に、前もって入室することを拒否されたと述べた。
「直接会談で使用する部屋に入室できていたならば、外交儀礼として、欧州委員会委員長のために、そのソファを肘掛け椅子2脚に交換するように、私たちは主催者側に提案していたでしょうに」と、書簡でプロトコルチームは述べていた。
この外交的失態はすぐ、Twitter上で「ソファゲート」と名付けられ、1年ぶりのトルコ・EU会談の主要な話題となった。
3人の指導者たちは、数カ月間の反目があった後の関係を、前向きなムードに演出しようとしていた。
しかし、この会談は欧州関係者たちがトルコに対して、男性優越主義と非難することで終わった。同関係者たちは、女性に対する暴力の防止と撲滅を目的としたイスタンブール条約から、エルドアン大統領が1カ月前に脱退したことを、この男性優越主義と関連付けていた。
ドラギ首相は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と既に不和となっているエルドアン大統領を、圧政君主であると非難し、この論争が別の次元にまでエスカレートするのではないかと脅した。
「欧州委員会委員長がこうしたことに苦しまなければならなかったということ、このような屈辱を与えたことを、私はとても遺憾に思っています。彼らのことをそのままこう呼びましょう、独裁者たち、と。しかし、私たちは彼らと協力する必要があるのです」と、ドラギ首相は報道陣に語った。
トルコ政府はすぐにはコメントを発表しなかった。
しかし、多くの者がまた、なぜミシェル議長があれほどすぐに躊躇なく残された1つの席に着いたのか、と疑問にも思っていた。
ミシェル欧州理事会議長は、ほぼ丸1日間の沈黙を破り、このソファゲート事件によって、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が不快感を示していたのは、自分から見ても「明らか」だった、とFacebook上で認めていた。
しかし、同議長はトルコによる「外交儀礼上の失態」であると非難し、自分とフォン・デア・ライエン委員長はその時、これを大目に見ることに決めていたと述べた。
このエピソードが生じたのは、なかなか進まないワクチン接種の取り組みと、加盟27カ国の中で発生する変異株をめぐって、欧州連合の指導者たちへのプレッシャーが高まっている時だった。
欧州議会の中には、ミシェル議長が席に着いているのに、どうしてフォン・デア・ライエン委員長は立たされっぱなしだったのか、ということを調査するように要求するグループもあった。
「この会談の会場設営は席次に基づいているようには思えません…むしろ、どちらかと言えば、独裁者が象徴する男性優位主義に基づいているように思えます」と、ベルギーのアシタ・カンコ欧州議会議員は、ミシェル議長へ宛てた正式な質問状に書いていた。
保守政党の欧州人民党(EPP)代表のマンフレート・ヴェーバー欧州議会議員は、このアンカラ訪問はEU首脳陣内の「亀裂を象徴するもの」となった、とポリティコに語った。
さらに、フランスの極右政党の指導者、マリーヌ・ル・ペン欧州議会議員は、EUがエルドアン大統領という「敵対者の前で屈服」したのだから、この訪問の全てが間違っていたと述べた。
一方、フォン・デア・ライエン委員長の報道官は、欧州委員会が欧州理事会の例に倣って、トルコ政府にプロトコルチームを派遣していたら、こんなことは一切起きなかっただろうというような憶測を一切持ち出すことはなかった。
「(フォン・デア・ライエン)委員長は、私たちが次の外交訪問で、同種の疑問に直面しないように、こうした疑問が分析されることだけを望んでいます」と、エリック・マメール報道官は報道陣に述べた。
AFP通信