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レバノンの経済危機が、食卓からラマダンのスイーツを奪う

アル・シャミのスタッフは、今年のラマダンでは、ケラジを1時間あたり15ダース揚げていた以前と異なり、数個しか揚げないと語った。(AN資料写真)
アル・シャミのスタッフは、今年のラマダンでは、ケラジを1時間あたり15ダース揚げていた以前と異なり、数個しか揚げないと語った。(AN資料写真)
聖なる月の2日目、スイーツ店でラマダン用スイーツの注文準備に忙しいスタッフ。(AN資料写真)
聖なる月の2日目、スイーツ店でラマダン用スイーツの注文準備に忙しいスタッフ。(AN資料写真)
揚げ鍋でラマダン用スイーツ[ケラジ]を調理するメカリ・シェルカウィのオーナー、アフマド・シェルカウィさんは、今年ラマダン用のスイーツは劇的に需要が減っていると語った。(AN資料写真)
揚げ鍋でラマダン用スイーツ[ケラジ]を調理するメカリ・シェルカウィのオーナー、アフマド・シェルカウィさんは、今年ラマダン用のスイーツは劇的に需要が減っていると語った。(AN資料写真)
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16 Apr 2021 02:04:32 GMT9
16 Apr 2021 02:04:32 GMT9
  • 通貨価値の急落は、従来の取引価格の高騰を引き起こす
  • 経済不況の中、ベイルートのパン屋から客が遠ざかる

バサム・ザザ

ベイルート:ベイルートで、10歳の少年のサミールはラマダン中のイフタールのためのご馳走を購入するために、父親と一緒に興奮しながらスイーツ店に入って行った。

しかし、サミールの興奮はすぐさま落胆に変わった。父親が値段を確認し、「今日私たちにはケラジを買う余裕がない」と言ったからだ。

よく知られた伝統的なラマダンのスイーツ、ケラジはチーズやクリームの詰まった紙のように薄いフィロというパイ生地を揚げ、砂糖シロップに漬け、断食を終えて日没後に食卓に出るスイーツだ。

イフタールでは人気の食べものであるにもかかわらず、レバノンでは経済崩壊の中で価格が急騰しているため、今年レバノン国民は伝統的なスイーツを購入する余裕がない状態が続いている。

ケラジはクナーファ、シュアイベヤット・バクラヴァ、カターイフなどその他のよく知られたスイーツとともに、通常はあらゆる家庭でラマダンの食卓に彩を添えるものだ。しかし、今年はこうしたものは食卓から消えている。

4月13日にアイシュ・バッカル地区の店先で、悲しそうにしている理由を尋ねられて、サミールはケラジを食べるのが楽しみだったが、父親には一切買うつもりがないと語った。

「今日は十分稼ぐことができませんでした」と、タクシードライバーをしているサミールの父親、ラメズはアラブニュースに語った。「家族のために、カターイフを4個しか買えませんでした」

この父親は子どもたちにケラジを買ってやると約束していたが、ケラジの新価格は12個で48,000レバノン・ポンドだった。カターイフはもっと安かったので、父親は10,000レバノン・ポンドで4個買った。

レバノンの通貨、レバノン・ポンドは2019年以降、闇相場でその価値の85パーセント以上を失っている。

レバノンが政治的膠着状態と、悪化する経済危機で停滞したままの状態の中で、その通貨は闇市場で対ドル最安値を付け続けている。

ベイルート、カラコン・ドゥルーズ地区の賑やかな交差点にあるアル・シャミ・スイーツのマネージャー、カレドアル・アル・イマドさんはアラブニュースに、「ドル高により、スイーツの価格はほぼ1.6倍にまで急上昇」したと語った。

これは最終的に、これはおよそ40パーセントから50パーセントの購買者数の「恐るべき激減」を招いた。

「昨年はケラジ12個を36,000レバノン・ポンドで販売していましたが…今年は84,000レバノン・ポンドで販売しています」と、アル・イマドさんは語った。

アル・シャミでケラジを揚げる担当のスタッフは、この数年間、1日あたり15ダース以上を揚げたものだったと語った。今年のラマダンの期間、このスタッフは1時間ごとに数個しか揚げていない。

シュアイベヤット・バクラヴァの価格は、昨年のラマダンの時の販売価格、30,000レバノン・ポンドから倍増して、今年60,000レバノン・ポンドになっている。

これとは別の小さなスイーツ店から出て来たベイルート住民、マームードさんはアラブニュースに次のように語った。「イフタールの食卓は、その食卓を彩る伝統的なラマダンのスイーツがなくなって、ほぼ置き去りになっているようです」

アル・シャミのある場所から1ブロック離れたところに、マル・エリアス通り最古参のスイーツ店、メカリ・シェルカウィがある。オーナーのアフマド・シェルカウィさんは、ラマダン用スイーツの需要は、今年急激に減ったと語った。

「当店のお客様はご家族お1人ごとに1個しか購入されていません」と、12個のケラジを揚げ鍋に漬けながらシェルカウィさんは語った。購買客数は70パーセント減少した、とシェルカウィさんは見積もった。

レバノン・ポンドに対するドル高によって、多くの他のスイーツ店のオーナーと同様に、シェルカウィさんは価格を上げざるを得なかった。

スイーツの材料供給元は、ドル建て払いでしか品物を発送しない。しかし、銀行はドルによる引き出しを認めないように命令されているので、ドルは不足して世間に出回らない。

「それぞれの家族が特別なスイーツで、イフタールの食事に彩を添えるので、ラマダンは特別な好機なのです。私たちは注文が増えるのを期待していましたが、残念ながら需要は以前ほど高くありませんでした」と、シェルカウィさんは付け加えた。

商店経営者で、4人の子どもの父親でもアブ・マゼンさんは、スイーツ店のドアに貼られた価格表を見た後、店内には入らなかったと語った。

「残念です。子どもたちはケラジとカターイフが大好きですが、私には買う余裕がありません」と、マゼンさんは語った。「もっと安いクッキーを買うつもりです」

ザイダネイ地区の有名なエル・カロウのオーナー、ウィッサム・カロウは、今年のラマダンに価格は昨年の3倍になったと語った。

「製造量が減ったので、利益も減りました」と、カロウさんは語った。

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