
レイ・ハナニア
シカゴ:パレスチナのマフムード・アッバス大統領は改革派米国系ユダヤ人のロビー団体、Jストリートの年次会議で、話し合いが1967年の国境線合意と東エルサレムの共有を基本とするのであれば、和平協議の場に戻ると述べた。
4月18日(日)、アッバス大統領は自身のプレゼンテーションの中で、現在のイスラエル政府は話し合いを拒否し、和平への障壁となっていると非難した。また彼は他の全スピー カーらと同様、2国家共存解決案への支持強化を訴えた。
2008年にアッバス大統領はイスラエルのエフド・オルメルト首相と35回にわたって会談し、合意達成に近づいていたのだが、オルメルト首相が失脚してベンジャッミン・ネタニヤフ氏が首相の座に就き、話し合いは頓挫してしまった。
「我々は1967年の国境線合意、それに東エルサレムの共有に基づいた2国家共存解決案を支持する。我々は交渉を再開する準備ができている」とアッバス大統領は代表たちへ告 げた。
継続するコロナウィルス感染症(COVID-19)への危惧から、Jストリートはバーチャル会議で開催され、5千人近い参加者がオンラインで集まった。
スピーチの中でオルメルト首相は、2国家共存解決案に基づく和平はイスラエルの適切な政府指導者が直接交渉に関与し、パレスチナ市民がその考えを公然と受け入れるならば、望みがあるばかりでなく実行可能であると信じていると述べた。
「イスラエルとパレスチナの歴史的対立を終結させるには、他に道はない。1967年の国境線合意については、国境について何らかの変更はなされるが、全体の大きさは1967年の合意のままとする。
「パレスチナ側とそれを基本に話し合えば、解決可能だと確信する」と彼は言及した。
オルメルト前首相はアッバス大統領との協議内容の詳細を述べ、パレスチナ国は領土に若干の修正を加えた1967年の国境線合意に基づくものとすると述べた。オルメルト首相によると、居留地区はウェストバンク内の3つのゾーンに統合され、残りの居留地に対しては、領地の取り替えを行うことによってパレスチナ側へ補償すると言及した。
オルメルト首相は、東エルサレムがイスラエルとパレスチナ両国の首都となり、米国、サウジアラビア、ヨルダンなどの国々の支援を受けるということにも言及した。
彼はJストリート会議で、和平合意には「イスラエル政府の姿勢の変化が必要だ。しかし現在のイスラエル政府にはその意思がない。パレスチナ側はそうした枠組みに適応することも必要だと考える。何れにしても和平合意は可能である」と述べた。
オルメルト首相とアッバス大統領は、パレスチナとイスラエルの間の和平を確立するという目標はネタニヤフ大統領が2009年に就任して以来「イスラエル側の政治討論から外されていた」が、「何らかの努力をすれば」復活させることが可能だという点で合意している。
J ストリートの議長で創始者でもあるジェレミー・ベン-アミ氏は、2国家共存解決案は「唯一のソリューション」であり、ウェストバンクの「じわじわと進められる併合」と、居留地区の拡大を止めることが優先的に行われる必要があると言う。
さらに彼は、イスラエルの現在の政治状況のもとで交渉が開始されると思えないとも言う。
アラブ・ハダシュ党の党首でクネセトのジョイントリストのメンバーでもあるアイマン・オデフ氏は大会の参加者たちに対し、「法律は取り消し可能」であり、「1967年の国境線合意に基づいたパレスチナ国は実現可能」だと述べた。
しかし、オルメルト首相とアッバス大統領同様、オデフ氏もネタニヤフ大統領がパレスチナのアラブ市民に対して平等の権利の提供を制限し続けている間は、大きな進展は期待できないという。
オデフ氏はイスラエル社会に、「ネタニヤフ大統領の腐敗した政権を打倒し、我々全員の利益となるような民主主義を構築する」よう訴えた。
さらに彼はこう述べる:「我々は希望であり、分断と恐怖にまみれた機械を停止させるレンチなのだ。我々は、敵対を拒否するアラブ人とユダヤ人だ」
イスラエル政権は混乱状態が続いており、2019年4月以降4回も選挙を行っている。そしてその4回とも、ネタニヤフ氏による弱腰で優柔不断な政府という結果に終わっている。
Jストリート会議のスピーカーらは、ネタニヤフ大統領が連合政権を結成して国を治めることに失敗すれば、彼にとって代わる可能性が一番高いのはナフタリ・ベネット氏であり、彼はネタニヤフ氏の過激派・反和平のプラットフォームを擁護してはいるが、中道寄りの政治組織による連合政権の結成には、ネタニヤフ大統領よりは前向きであるという。