


ナジア・フサーリ
ベイルート:数千人のレバノン人が14日、国内の抗議活動で初となる犠牲者を弔った。活動家たちは彼を「革命の殉教者」と呼んでいる。
レバノンの国旗に包まれたアラー・アブ・ファフルの遺体が、彼の故郷であるベイルート南部のショイファットの最終的な埋葬地まで運ばれる中、「革命を、革命を」とのかけ声に合わせ、全国から集まったデモ隊が見守った。
彼らはまた、むせび泣きながらもVサインをつくってみせる息子のオマーも運んだ。
3人の子供を持つアブ・ファフル(39歳)は12日、ベイルートの南に位置する沿岸の街ハルダにおいて、道路を封鎖していたデモ隊に士官が発砲した際に死亡した。
彼が死亡したというニュースはデモ隊に衝撃を与え、怒りを生んでいる。彼らは能力の低さや腐敗を非難されている政治家の退場を要求し、29日間街に繰り出している。
デモ隊は12日夜、道路を封鎖してタイヤに火を放った。翌日には全国的な集会を開き、そこではアブ・ファフルの写真が高く掲げられた。
翌日の夜、自由愛国運動の支持者がジャル・エル・ディブでデモ隊に発砲して逮捕された。けが人はなかった。
その後、マロン派のビシャーラ・アル・ラヒ総大司教が「自制を示し、平和的な抗議活動を維持」するようデモ隊に呼びかけた。
12日の夜、ミシェル・アウン大統領のテレビインタビューを受けてデモ隊が封鎖していた道路を、軍が14日に再開した。
ガッサーン・オウイダット検察官は、13日にバーブダの大統領府付近での抗議中に行方が分からなくなっていた活動家のリーダー、ハルドゥーン・ジェイバーを釈放すると述べた。
銀行は、15日も4日連続で閉鎖されたままとなる。従業員は身の安全の不安を訴えており、銀行が厳格な限度額を設定した後に大量のドルの引き出しを要求する顧客におびえているという。
フランスのクリストフ・ヴァーノ特使はレバノン訪問2日目に、「レバノンが直面している困難について誰しもが心配している」と語った。
特使は、「レバノンの人々の強い要望に応えるような決断をし、信頼を回復できるような、効率的・効果的な政府」の早急な樹立を求めた。
一方、サアド・ハリーリー前首相に近い人物はアラブニュースに対し、「ハリーリー氏は、専門家が集まった政府以外では国を救えないと確信し、自身が国や経済の役に立てると強く主張している」と述べた。
ハリーリー氏は10月29日に辞任したが、アウン大統領はいまだに新しい首相を指名するための協議の日を設定していない。
前首相に近い人々は次のように語っている。「相手方からハリーリー氏の要求の是非を本人に知らせるのが普通だが、私たちはまだ何の通知も受け取っていない」