
エルサレム:100名を超えるパレスチナ人と20名のイスラエル警察官が、併合された東エルサレムで起きた一夜の衝突事件で負傷したと当局が23日に発表した。集会が禁止され若者に対する襲撃を撮影した動画が出回り、緊張が高まっていた。
暴力に火が付いた場所は城壁に囲まれた旧市街入り口の1つの外側。イスラム教のラマダン断食月の間、通常ならパレスチナ人が大勢集まる地区への入場を警察が禁止した後だった。
デモ行進の終盤に極右のユダヤ教徒が加わり緊張が高まった。彼らはパレスチナ人に嫌がらせ行為をし「パレスチナ人を殺せ」とシュプレヒコールを上げた。
4月13日のラマダン開始以来、当該地区では毎日夜になると騒乱が起きる状態が続いている。パレスチナ人は警察が城壁の周りの遊歩道への入場を禁止したことに対し激怒している。この辺りはラマダンの時期に昼間の断食時間が終わった後、イスラム教徒が集まる場所として人気がある。
警察発表によると、旧市街にあるアルアクサ・モスクで夜の祈りが終わった後「数百名の暴徒たちが暴力で治安を乱し始めた。石や物を部隊に投げつけるなどの行為があった」という。
警察によると、スタン擲弾を投げ放水銃を使用して「暴徒たち」を解散させ、東エルサレムの中心部から排除したという。
警官たちは「暴徒たちと、祈りを済ませて」暴動に参加していない人々を区別すべく努力したという。
パレスチナ赤新月社は23日に声明を出し、少なくとも105名が手当てを受け、うち20名が入院したという。イスラエル警察によると警官20名が負傷、うち3名が病院に搬送されたという。
「戦場のような状態で、身の危険を感じました」と旧市街地の外で起きた衝突事件を近くで目撃したパレスチナ人がAFPに語った。「だからその場を離れたんです」
毎夜の衝突事件で、若いパレスチナ人が超正統派のユダヤ教徒に襲い掛かり、過激派ユダヤ教徒が通りに繰り出しパレスチナ人を脅す様子を撮影した動画が複数ネット上に投稿されてから、エルサレムでは緊張が高まっている。
22日夜にはイスラエルの極右勢力「レハバ」がデモを主催し、旧市街地の向こう側まで行進した。数百名が参加し反ユダヤ主義の暴力に対し抗議した。
警察はバリケードを設置してデモ隊がアラブ人居住地域に侵入するのを阻止した。
その一方でパレスチナ自治政府は「過激派極右イスラエル人入植者グループがパレスチナ人への殺戮を主張することにより暴力の扇動を強めており、ここ数日旧市街地でパレスチナの民間人に対する暴力行為が増えた原因となっている」と非難した。
22日夜にパレスチナ自治政府公式通信社WAFAは声明を出し、国際社会に対し「入植者」による攻撃からパレスチナ人を守るよう求めた。WAFAの主張によれば暴力をそそのかしたのはイスラエル政府だという。
SNSに投稿された動画の中では、23日未明にパレスチナ人が超正統派ユダヤ教徒を攻撃する様子も写っており、東エルサレム内部や付近でイスラエル軍車両に投石が行われたとの報告もある。
警察発表によると「一夜にして複数の事件が発生して民間人が攻撃され、うち数名は治療を要する状態だった」という。
エルサレムのモシェ・ライオン市長はレハバによるデモ行進を阻止しようとしたが、警察から合法的なデモを中止させるのは法に反すると言われたという。さらに過去2週間でパレスチナ人を攻撃したユダヤ教徒「数十名」が逮捕されたと述べた。
ライオン市長はイスラエルの公共放送KANの番組に出演し「この無意味な暴力を終わらせるため」東エルサレム地区のパレスチナ人指導者たちと協議していると語った。
警察発表によると、23日の朝には前日夜に身柄を拘束された50名以上が再拘留の審理を受けたという。
AFP通信